戦略的創造研究推進事業
CREST -概要

研究統括 須田 年生

「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・
制御等の医療基盤技術」研究領域

戦略的創造研究推進事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを誘起するシステムの一環として、戦略的重点化した分野における課題解決型基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる、革新的な新技術の創出を目指すものです。
この中でCREST(チーム型研究)に設定された「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術」研究領域では、細胞リプログラミングのメカニズム解明、新たなiPS細胞作製技術・リプログラミング技術の探索、幹細胞・組織細胞への分化誘導技術の開発などによって、新たな技術シーズの創出を目指しています。
平成20年度から3年度に亘って公募・選考を実施し、10課題(20年度)、7課題(21年度)、6課題(22年度)が採択され、幹細胞を取り巻く多彩な研究がチームで推進されています。
CRESTとは制度の英語名の略称ですが、「頂点、頂上」を意味する言葉でもあり、その名の通りトップレベルの基礎研究が進められています。

トピックス成果紹介

筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞における遺伝子修復に成功

「筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞における遺伝子修復に成功」の図

鳥取大学・押村教授の研究チームでは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(次第に筋肉の萎縮と筋力の低下が進行するという、遺伝子の問題で起きる疾患)の患者の皮膚細胞において、原因遺伝子であるジストロフィンを載せた人工染色体ベクターを導入することによって、ゲノムを傷つけることなくジストロフィン遺伝子を完全に修復することに成功しました。また、この細胞からiPS細胞を作製して筋肉細胞に分化させると、修復したジストロフィン遺伝子が機能することを確認できました。従来は不可能とされていたジストロフィン遺伝子の修復が、筋ジストロフィー患者由来のiPS細胞において証明されたことになり、今後、新たな遺伝子治療の方法として発展が期待されます

iPS細胞から免疫治療に「役に立つ」リンパ球を作製
-抗がん効果を発揮するNKT細胞だけを作ることに世界で初めて成功-

「iPS細胞から免疫治療に「役に立つ」リンパ球を作製」の図

理化学研究所・古関グループディレクターの研究チームでは、マウスによる実験において、抗がん効果を持つ免疫細胞の一つであるナチュラルキラーT(NKT)細胞からiPS細胞を作製し、そのiPS細胞からNKT細胞だけを大量に作り出すことに成功しました。皮膚などに由来するiPS細胞から免疫細胞を作ると、狙いとする細胞以外に他の種類の細胞が多く作られてしまい効率が悪いという問題がありましたが、NKT細胞から作製したiPS細胞の場合には、産生してくる細胞はほぼNKT細胞になるということが見出されました。NKT細胞は数を増やすことが難しいとされていましたが、この方法で格段に増加させることができるため、NKT細胞を活性化してがん細胞を攻撃する抗がん治療に大きな改善が期待できます。

領域アドバイザー

氏名 所属 役職
石田  功 帝京平成大学 薬学部 教授
佐々木 裕之 九州大学 生体防御医学研究所 教授
塩見 美喜子 慶應義塾大学 医学部 准教授
高井 義美 神戸大学 大学院医学研究科 研究科長・教授
竹市 雅俊 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長
仲野  徹 大阪大学 大学院生命機能研究科/大学院医学系研究科 教授
林崎 良英 理化学研究所 オミックス基盤研究領域 領域長
宮園 浩平 東京大学 大学院医学系研究科 教授

実施体制

「実施体制」の図

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研究課題一覧

平成20年度採択研究代表者

研究代表者(所属) 研究題目 キーワード
石井 俊輔
理化学研究所 基幹研究所 主任研究員
胚細胞ヒストンによるリプログラミング機構 ヒストン、受精卵、多能性
岩間 厚志
千葉大学 大学院医学研究院 教授
造血幹細胞のエピジェネティクスとその制御法の創出 造血幹細胞、エピジェネティクス、ポリコーム遺伝子
奥田 晶彦
埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター 教授
iPS細胞誘導の為の分子基盤の解明による安全性の確保 安全性、c-Myc、分子機構、ES細胞、多能性
押村 光雄
鳥取大学 染色体工学研究センター 教授
ヒト人工染色体を用いたiPS細胞の作製と遺伝子・再生医療 人工染色体、遺伝子治療、筋ジストロフィー、糖尿病
古関 明彦
理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター グループディレクター
ヒトiPS細胞の分化能と腫瘍化傾向を反映するマーカー遺伝子群の探索 免疫細胞(B細胞、NKT細胞)、安全性評価、癌
佐谷 秀行
慶應義塾大学 医学部 教授
人工癌幹細胞を用いた分化制御異常解析と癌創薬研究 癌幹細胞、人工癌幹細胞(iCSC)、創薬研究、ニッチ、骨肉腫
篠原 隆司
京都大学 大学院医学研究科 教授
精子幹細胞のリプログラミング機構の解明と医学応用の可能性の検討 精子幹細胞、生殖細胞、多能性、精子形成、mGS細胞
千住 覚
熊本大学 大学院生命科学研究部 准教授
iPS細胞由来の樹状細胞とマクロファージを用いた医療技術の開発 樹状細胞、マクロファージ、免疫療法、癌、アルツハイマー病
丹羽 仁史
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター プロジェクトリーダー
分化細胞に多能性を誘導する転写因子ネットワークの構造解析 転写因子、ネットワーク、多能性、外来性/内在性遺伝子
米田 悦啓
大阪大学 大学院生命機能研究科 教授
人工染色体を用いた新たな細胞リプログラミング技術開発 人工染色体、核ー細胞質間情報交換、核輸送因子

平成21年度採択研究代表者

研究代表者(所属) 研究題目 キーワード
井上 治久
京都大学 iPS細胞研究所 准教授
iPS細胞を駆使した神経変性疾患病因機構の解明と個別化予防医療開発 疾患iPS細胞、神経変性疾患、予防医療
江良 択実
熊本大学 発生医学研究所 教授
iPS細胞を用いた組織幹細胞誘導の確立と分子基盤の解明 間葉系幹細胞、造血幹細胞、腎前駆細胞、発生分化分子機構
斎藤 通紀
京都大学 大学院医学研究科 教授
生殖系列におけるゲノムリプログラミング機構の統合的解明とその応用 生殖細胞、細胞系譜分化、ゲノムリプログラミング
高倉 伸幸
大阪大学 微生物病研究所 教授
生理的細胞リプログラミング機構の解明とその応用 生体内リプログラミング、造血幹細胞、組織再生
高橋 淑子
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授
神経堤細胞をモデルとした生体内での細胞リプログラミング法の開発 生体内リプログラミング、神経堤細胞、転写因子
妻木 範行
大阪大学 大学院医学系研究科 独立准教授
組織幹細胞/前駆細胞を誘導するディレクテッドリプログラミング技術の開発 ダイレクトリプログラミング、軟骨前駆細胞、軟骨疾患治療
西田 栄介
京都大学 大学院生命科学研究科 教授
細胞リプログラミングと分化における転写調節機構 転写因子、遺伝子発現パターン、バイオインフォマティクス

平成22年度採択研究代表者

研究代表者(所属) 研究題目 キーワード
家田 真樹
慶應義塾大学 医学部 講師
直接リプログラミングによる心筋細胞誘導の確立と臨床への応用 ダイレクトリプログラミング、心筋誘導、iCM細胞
黒川 峰夫
東京大学 大学院医学系研究科 教授
iPS細胞を用いた造血器腫瘍の病態解明と治療法の探索 疾患iPS細胞、白血病、発症機構解析
花園 豊
自治医科大学 分子病態治療研究センター 教授
ヒトiPS細胞の高品質化とその検証・応用 基底状態、マウス/ヒトiPS細胞、大型動物、高品質化
宮島 篤
東京大学 分子細胞生物学研究所 教授
肝分化指向性iPS細胞からの高機能性肝組織の構築 肝細胞誘導、三次元組織化、肝組織構築
山村 研一
熊本大学 生命資源研究・支援センター 教授
iPS細胞による肝臓ヒト化モデルの構築と治療実験 肝細胞誘導、肝臓ヒト化マウス、病態モデル
吉田 稔
理化学研究所 基幹研究所 ケミカルゲノミクス 研究グループ 分子リガンド探索研究チーム チームリーダー
核エピゲノムとミトコンドリアゲノムの化学的制御とその応用 化合物探索、ケミカルエピジェネティクス、ミトコンドリアゲノム

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