iPS細胞研究 再生医療への道

1. iPS細胞研究 過去最大の予算規模

掲載日:2010年4月8日

2010年度予算が3月24日、参議院本会議で可決、成立した。科学技術予算の中核をなす科学技術振興費は総額1兆3,321億円(今年度比455億円減)で27年ぶりのマイナスとなったが、iPS細胞研究関連予算については約60億円程度を確保している。
iPS細胞関連研究への支出は2009年度当初予算に比べて増加し、主なものだけでも約60億円程度を計上している(競争的資金の内数を2009年度程度と想定)。2009年度補正予算でも約54億円を計上し、関連研究機器等の整備を進めている。補正予算を含めれば、約110億円程度になり、さらに世界最先端研究開発支援プログラムには、山中伸弥・京都大学物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所教授が採択され、2013年度末までに50億円の支出が認められたことから、2010年度のiPS細胞研究関連予算は過去最大規模になる。

日本の主なiPS細胞研究関連予算 (億円)

文部科学省は、再生医療の実現化プロジェクトで、京都大学、慶應義塾大学、東京大学、理化学研究所の4拠点と個別研究事業を実施している11機関において、iPS細胞を用いた再生医療の実現に向け、安全性・有効性を確認し、技術開発を一層加速すべく、中型以上の動物やサル等の霊長類動物を用いた前臨床研究等を実施する。また、難病患者の細胞を用いた疾患研究の推進や創薬研究等を進めるため、iPS細胞リソースの収集・保存・提供を行うiPS細胞バンク(理化学研究所)を整備する。また、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業では、細胞リプログラミングに立脚した幹細胞作製・制御による革新的医療基盤技術の創出に向けて、人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術の開発を加速する。

厚生労働省は、厚生労働科学研究費補助金で関連研究を進める。再生医療実用化研究事業では、神経・運動器、肝臓・膵臓、皮膚・感覚器、歯等における再生医療技術の早期臨床応用を目標としたエビデンス創出のための研究や関連する細胞・組織等を用いる治療技術の安全性・品質の確保に関する技術開発などを進める。また、創薬総合推進研究事業(生物資源・創薬モデル動物研究事業を他事業と統合)において、細胞等の評価系を含む疾患モデル動物を開発する。

経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「iPS細胞等幹細胞産業応用促進基盤技術開発」で、安全かつ効率的な新規誘導因子及び誘導手法を確立するとともに、最も早い産業利用が期待される創薬分野において、iPS細胞等幹細胞を安全性評価等に利用するため、細胞のネットワーク効果を活用してデバイス上に再構成したスクリーニング技術の開発を進める。

その他、JSTによる研究加速強化システムによる国際化支援、国立大学法人運営費交付金、科学研究費補助金、理研発生・再生科学総合研究センターの運営費交付金等によってもiPS細胞研究は進められている。

※ ※ ※

オバマ大統領が昨年発表した2010予算教書(2009年10月1日~2010年9月30日の予算)では、NIH(米国立衛生研究所)の幹細胞研究に23億5900万ドル(約2123億円、1ドル90円換算)が計上された。また、一昨年のリーマンショックに伴う景気悪化に対応するため、2009米国経済再生・再投資法(ARRA)が09年2月17日に成立し、09年度に4億500万ドル(約365億円)、10年度に2億4200万ドル(約217億円)が別枠で計上されている。

NIHの幹細胞研究関連予算

もちろん、これらが全てiPS細胞関連研究に使われるわけではないが、日本の関連研究費と比べると10倍以上の開きがある。さらに、政府予算とは別に、カリフォルニア州のカリフォルニア再生医療機構(CIRM)が2007年からの10年間に3000億円をiPS細胞関連研究を含む幹細胞研究に助成することを表明していることなどを考えると、日本のiPS細胞研究関連研究費はまだまだ足りない。

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