イベント報告

サイエンスアゴラ あなたと創るこれからの科学と社会

2014年11月7~9日 東京・お台場地域

掲載日:2014年12月2日
(独)科学技術振興機構 再生医療研究推進部

『サイエンスアゴラ2014 あなたと創るこれからの科学と社会』が11月7日~9日、東京都江東区のお台場地域(日本科学未来館、産業技術総合研究所臨海副都心センター、東京都立産業技術研究センター、東京国際交流館、フジテレビ湾岸スタジオ、シンボルプロムナード公園)で開催されました。

このイベントの3日間の参加者数は1万人を超え、わたくしども科学技術振興機構(JST)再生医療研究推進部のブース『再生医療の工場見学~どんな技術でつくられてるの?』にもたくさんの方々が足を運んでくださいました。再生医療と産業の関わりについて説明したパネルの展示の他に、JSTで支援している再生医療実現拠点ネットワークプログラム・技術開発個別課題『立体浮遊培養の再生医療への実用化のための自動化技術の開発』(代表機関:川崎重工業株式会社)で取り組むiPS細胞自動分化誘導の試験装置のデモンストレーションも行いました。培養液に見立てた液体を12個のチップで吸い上げ、規則正しい動きで細胞培養ウェルプレートに注入するロボットの作業に、様々な年代の人たちが足を止め、見入っていました。ロボットならではの動き、すなわち作業の早さ、正確さ、継続性は、高品質な移植細胞の大量培養装置には欠かせません。現状では、細胞培養の多くの過程を人が担っています。

デモ運転したiPS細胞自動分化誘導の試験装置

デモ運転したiPS細胞自動分化誘導の試験装置

今回は、iPS細胞自動分化誘導の試験装置が行っている作業の一部を体験してもらうコーナーも設けました。参加者には、研究現場でも使われているマイクロピペットを使って、培養中の細胞に見立てたカラフルな直径1mm大のナイロンビーズを吸わない(壊さない)ようにして、培養液に見立てた液体だけを吸い上げてビーカーに移す操作の体験をしてもらいました(※)。現役の研究者から4歳の保育園児まで3日間で延べ263人が参加しました。子供たちにとっては初めて使う実験器具。真剣なまなざしでピペットを操作していました。昨年もサイエンスアゴラに参加したという小学生の男の子は、初めてのピペットでの作業を楽しんでいたようです。理系への進路を考えていると話してくれた子や実験自体に興味を持った子、上手に実験ができて家族にほめられていた子など、再生医療の将来のサポーターである、子供たちにもアピールできたかと思います。

サイエンスアゴラのリピーターの小学生。わざわざ北海道から来てくれたそうです。

サイエンスアゴラのリピーターの小学生。わざわざ北海道から来てくれたそうです。

向かい側には、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が出展しており、幹細胞研究を題材にした“すごろく”の体験コーナー、iPS細胞そのものの性質からiPS細胞研究を支えるスタッフや仕組みについて紹介したミニCiRAカフェを開催し、多くの人で賑わっていました。

7日に行われたサイエンスアゴラの開幕セッション『アゴラ:あなたと創るこれからの科学と社会』では、中村道治・JST理事長が挨拶し「サイエンスアゴラは、科学と社会をつなぐ“ひろば”として、専門家のみならず様々な人が参加するイベントで、今年で9回目となります。東日本大震災以降、科学と社会の関係性はより重要性を増しました。社会と科学の間には対話や協力が不可欠です。そのため多くの人たちに参加してもらうおうと、幅広く声をかけました。会場は日本科学未来館を中心としたお台場地域で、実験や工作、サイエンスショーも行います。また、多くのセッションで、科学技術を取り巻く様々な課題を討論する予定です」と話しました。本開幕セッションのコーディネートを務めた大竹暁・JST理事は、来賓として出席した松本洋平・内閣府科学技術政策担当大臣政務官、土屋定之・文部科学審議官、永里善彦・日本経済団体連合会産業技術委員会産学官連携推進部会部会長を紹介しました。また、ピーター・グルックマン・ニュージーランド政府主席科学顧問は基調講演で「科学技術は将来発展の鍵になりますが、様々な問題の原因(二酸化炭素排出、人口爆発など)にもなっています。科学者が良いと思って研究を進めているものが必ずしも社会に自動的に受け入れられる訳ではありません。現在、様々な事件で科学者への信頼度は下がっています。まず、一般の人々から科学技術に対する信頼を得る必要があります」と話しました。

続くパネルディスカッションでは、進行役の金子直哉・横浜国立大学教授に加え、パネリストとして狩野光伸・岡山大学教授、高橋真理子・朝日新聞社編集委員、富田達夫・産業競争力懇談会(COCN)実行委員、原山優子・総合科学技術・イノベーション会議議員、ピーター・グルックマン氏が登壇しました。狩野氏は「科学の世界でも専門分野によって話が通じないことがあります。関係する人たちをつなげることが重要だと思います。科学の影響力は増大してきていますから」とし、高橋氏は「サイエンスアゴラを、まだ日本で浸透してない“科学のための専門分野を越えたオープンな議論の場”にすべき。アゴラの議論で何かを変えたという実績が必要です」と話しました。富田氏は「産業界の有志でCOCN(産業競争力懇談会)を組織していますが、ここでの検討テーマが内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)にいくつか取り上げられました。例えば、スパコンは災害や温暖化予測、心臓のモデルを動かすなどの医療など、社会に役立つものです。スパコンの性能が上がれば新たなイノベーションが社会にも起きます」と話しました。原山氏は「今回の副題の“あなたと創るこれからの科学と社会”にある『あなた』というのは、様々な人を指し、『創る』は対話にとどまらない共同作業をして積み上げることを示していると思います。その中で、例えば、サイエンスアゴラをアイディア・ファクトリーにするのはどうでしょうか。ゲームチェンジを起こすようなイベントになればと思っています」と話しました。サイエンスアゴラが手本とする欧米のイベントを主催するアラン・I・レシュナー・AAAS(アメリカ科学振興協会)CEO、ピーター・ティンデマンズ・ユーロサイエンス事務局長も出席し、議論に参加していました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

サイエンスアゴラは、その名の通り“科学について話し合うひろば”として、毎年恒例のイベントになっています。出展者や参加者は、同イベントが始まった当初と比べて多様になってきたように感じます。東日本大震災を経て、科学技術は多様な視点から捉えられるようになってきました。科学をもっと知りたいという人が増えて、よりわかりやすく研究成果やそれらについてのリスク/ベネフィットを説明することが社会から求められています。

科学でも、社会との関わり一番深く、一般の人からの関心が強い医学分野。特に再生医療は非常に期待されている一方で、まだ研究途上の部分があります。多くの人の不安を払拭し、研究を支援していただけるよう、JSTでは今後も研究の意義や成果をわかりやすく伝える努力をしていきたいと思います。

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