イベント報告

Bio Japan2014-World Business Forum

2014年10月15日~17日 パシフィコ横浜

掲載日:2014年11月21日
(独)科学技術振興機構 再生医療研究推進部

『Bio Japan2014-World Business Forum』が10月15日~17日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されました。国内外から、再生医療、iPS細胞、細胞医療、個別化治療、診断薬、医療機器、機能性食品、バイオインフォマティクス、バイオイメージング、バイオエネルギーなどに関連する企業や大学、研究機関など678社が参加し、200を超えるセミナーが実施されました。実機なども多数展示され、華やかな展示会場になっていました。

3日間の延べ参加者は1万2734人を数え、科学技術振興機構(JST)のブースにも多くのお客様が関心を寄せ、立ち寄ってくださいました。JSTで実施している再生医療実現拠点ネットワークプログラムでは、パネルでの研究紹介の他に、同プログラムのリーフレットや幹細胞ハンドブック(10月9日改訂)を配布しました。ブースには幹細胞や再生医療を専門とされる方ばかりでなく、異分野、異業種の方も多く訪れ、研究内容に関心を示していただけました。初日には渡邊宏・経済産業省技術総括審議官、吉川伸治・神奈川県副知事、が、最終日には菱山豊・内閣官房健康・医療戦略室次長がJSTブースを視察しました。

JSTブース

JSTブース

開会式に続いて行われた基調講演では、和泉洋人・内閣総理大臣補佐官が、安倍政権の成長戦略における柱の1つである健康・医療戦略について、これまでの取り組み、法整備、体制作りを紹介。また来年4月に発足する日本医療研究開発機構の役割についても言及しました。

『ライフイノベーションフォーラム:科学の新展開とビジネス動向からみたイノベーション戦略』と題したセミナーでは、宮田満・日経BP社特命編集委員が、バイオ製品の研究開発の動向について解説。ITとバイオ技術の融合で新しい枠組み作りが進んでおり、技術環境を考えながら将来性の目利きにより長期的なビジネスプランを作ることが重要と語りました。江崎禎英・経産省製造産業局生物化学産業課長は、ベンチャー企業の育成に力を入れるとし、そのために税制や規制の改革も必要と考えていると語りました。また、ベンチャー企業の創業者である中冨一郎・ナノキャリア株式会社代表取締役社長は、米国と違い日本はベンチャー企業について護り育てるという国策がないという問題点について語りました。別所直哉・ヤフー株式会社執行役員社長室長は、検索エンジンのYahoo Japanを利用して、医者と患者の情報格差を無くすためのサービスや、個人の行動情報、歩数情報等を集約し解析することで、体質にあった病気の予防法や治療法を見つけるプロジェクト『Health Data Lab』を紹介。異分野との連携は、昨今は様々な次元で進んでいますが、再生医療の実用化にも他分野とのコラボレーションが鍵になります。

産業技術総合研究所(産総研)によるセミナーでは、産総研戦略的融合研究事業で推し進めているライフテクノロジー課題『革新的創薬推進エンジン開発プログラム(LEAD)』の試みを紹介。夏目徹・産総研創薬分子プロファイリング研究センター長は、産総研の保有するナノテクやロボット、データベース、計算技術等の技術を活かして、創薬開発のための候補化合物の最適化を目指しており、そのなかで多数の製薬会社と共同研究を行っていることをアピールしました。また、榑林陽一・医薬基盤研究所理事は、産総研、理化学研究所との連携で実施している『創薬支援ネットワーク』について語りました。同ネットワークの本部機能として医薬基盤研究所に設置された創薬支援戦略室では、目利き評価、ネットワークによる研究開発、導出など実用化支援を行っており、これまでの成果として、有望なテーマの発掘が184件(うち創薬支援が20件)あり、企業への導出はこれからとしました。アカデミア創薬の問題点として、創薬の標的として適当な分子を選定するターゲットバリデーションの不十分さ、化合物ライブラリーの未整備などを指摘しました。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるセミナーでは、再生医療に関する分野では成果発表1件、新規プロジェクト紹介2件が行われました。再生・細胞医療技術、製造インフラ最適化研究の事例として、関節軟骨再生と角膜上皮再生の報告がありました。また、再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発について、国際標準となるような分化技術と大量生産法の開発に関する発表がありました。その中でも、色素上皮細胞や肝細胞作製については、製造のユニット化、モジュール化を目指しているということです。

気軽に参加できる出展者プレゼンテーションでは、いくつかの再生医療に関するプログラムが組まれていました。『炎症と発癌における間葉系幹細胞(MSC)の多彩な作用』と題したセミナーでは有村佳昭・札幌医科大学講師が、炎症性腸疾患(IBD)に対するMSC治療について講演しました。急性腸炎モデルであるDSS腸炎に対して、MSCが腸炎の回復を促し腸上皮細胞の分化を是正したこと、発癌に関連してMSCがDNAに損傷がある細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することを報告しました。また、MSC馴化培地に含まれる成分が、腸上皮細胞の生存シグナルを活性化したり(腸炎の回復に有効)、免疫調整作用があることについて発表していました。

最終日には、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長、髙橋政代・理化学研究所プロジェクトリーダーによるセミナー『iPS細胞研究アップデート』が行われ、iPS細胞を用いた研究の最新知見に関する報告がありました。山中先生、髙橋先生は、午後から東京医科歯科大学で行われた再生医療支援人材育成ワークショップにも登壇されました。

山中所長の講演風景

山中所長の講演風景

バイオ分野の中でも熱い視線が注がれている再生医療。技術的な基礎も着実に積み上げられ、関連法やガイドライン等の整備も徐々に整い始めています。先日、世界で初めてiPS細胞を用いた網膜色素上皮細胞移植が行われました。今後、iPS細胞を用いた臨床試験も様々な疾患を対象に行われていく予定です。それらの有効性、安全性を慎重に検討して、多くの人が成果を享受できるような道を模索していかねばなりません。

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