イベント報告

国際幹細胞学会(ISSCR)
第12回年次総会 学会報告

2014年6月18日~21日 カナダ・バンクーバー

掲載日:2014年8月13日
(独)科学技術振興機構 再生医療研究推進部

国際幹細胞学会(ISSCR)の第12回年次総会が6月18日~21日、カナダのバンクーバー・コンベンションセンターを会場に開催されました。科学技術振興機構 再生医療研究推進部も同学会に参加致しましたのでご報告します。

ISSCRは幹細胞に関する研究の推進を目的に2002年設立された学術組織で、世界55カ国以上の研究者、医療従事者、技術者など4100人以上が所属し、総会は毎年1回、成果発表と研究者関係者の交流を目的に開催されています。2012年は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥教授が理事長を務められました。
第12回となる今回は、ジャネット・ロサン理事長(トロント小児病院・主任研究員)のもと、3000人以上が参加し、約120件の口頭発表と約1500件のポスター発表が行われました。

国際幹細胞学会(ISSCR)第12回年次総会 学会報告1
 

iPS細胞、ES細胞、体性幹細胞など幹細胞に関する研究分野では、激しい研究競争のもと、日進月歩で新しい成果や技術が生み出されています。総会でも、幹細胞そのものを対象にした基礎的な研究から、iPS細胞やES細胞の増殖と分化や品質管理に関する研究、再生医療実用化のための臨床研究の最新状況、あるいは産業化を見据えた製品開発、患者さん等への聞き取り調査を含む社会科学的な研究成果まで様々な成果が、細胞や器官や疾患ごとに分かれたセッションで活発に議論されていました。
多岐にわたる研究成果が発表されていましたが、大きな割合を占めていたのは、幹細胞や前駆細胞が人や動物の発生・成長に果たす役割と、それがどのように変化すると疾患を引き起こすかに関するもので、未だ多くの謎が残されています。その中には造血幹細胞や血液系のがん幹細胞に関連する成果発表も多くありました。幹細胞や前駆細胞についての理解が進めば、幹細胞を目的の細胞に分化させる効率が飛躍的に向上すると期待されています。

山中伸弥教授は特別講演で、自身が取り組むiPS細胞の初期化メカニズム、特に細胞が初期化される際の遺伝子発現に関する研究成果について講演しました。山中教授の講演には多くの参加者が詰めかけ、最も大きな会場の1つで行ったにも関わらず立ち見が出る程で、参加者からは多くの質問が寄せられていました。
また当機構再生医療実現拠点ネットワークプログラムの赤澤智宏POは、我が国の再生医療研究の現状や、実施プログラムの研究成果を紹介しました。疾患特異的iPS細胞を用いた研究を実施している例として、慶應義塾大学の岡野栄之教授、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久教授と戸口田淳也教授の研究を紹介しました。会場から寄せられた質問はCiRAに関するものが多く、海外研究者のCiRAに対する注目度合いの高さや期待感がうかがい知れました。

バンクーバーは、穏やかな湾の入り江に位置する都会と自然の景観を併せ持った魅力的な都市です。総会のメイン会場となったコンベンションセンターの西館は2010年の冬季オリンピックではメディアセンターとして利用された建物で、1986年のバンクーバー万博のカナダ館をそのまま利用している5つの帆を持った東館とあわせて、市のシンボルになっています。

今回の参加で印象的だったのは、比率は基礎研究より小さいものの、臨床応用や産業化を見据えた研究開発について活発に議論されていたことです。
再生医療の実現には、基礎的な研究だけでなく、企業や官庁との連携が欠かせません。当機構でも再生医療研究をいち早く実用化するために昨年度から「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」を推進しており、疾患・組織別の研究のみならず、我が国のiPS細胞関連産業の育成を目的にした技術開発が行われています。よりよい連携のあり方や、時代に即した効果的な支援を探り実行することで、これからも再生医療の実現に貢献できるよう努力して参ります。

国際幹細胞学会(ISSCR)第12回年次総会 学会報告2

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