iPS細胞物語

第14回 iPS細胞が切り拓く未来-4 オールジャパン体制で取り組むiPS細胞研究

掲載日:2009年8月19日

画像:国内の主な研究拠点

国内の主な研究拠点拡大表示

京都大学の山中伸弥教授が世界に先駆けて樹立したiPS細胞。アメリカに先行されがちなバイオテクノロジー分野において、iPS細胞の領域は日本が主導権を握れる領域になる可能性を秘めています。
日本政府はこれまでの生命科学関連の研究費と比べると、異例のスピードと予算規模で研究体制の構築を進めています。
現在、日本では文部科学省が管轄する15の基礎研究に関するプロジェクトが進んでいる他、経済産業省では2009年度から産業利用に向けて、大学・公的研究機関だけでなく民間企業を巻き込んだプロジェクトを推進しています。さらに、厚生労働省はいまだ定まっていない臨床応用に向けた指針の策定に着手しています。

文部科学省は「再生医療の実現化プロジェクト」と命名したプロジェクトを推進中です。
京都大学の山中教授をはじめ、慶応大学の岡野栄之(おかのひでゆき)教授、東京大学の中内啓光(なかうちひろみつ)教授、理化学研究所の笹井芳樹(ささいよしき)グループディレクターが中心になって課題に取り組んでいます。
ここでは、iPS細胞がどのような機能を持っているかを明らかにするだけでなく、iPS細胞を効率よく安全に作り出すための実験系の開発やiPS細胞を角膜や血液のもととなる造血幹細胞へいかに分化させるかといった具体的な治療に近い研究も進んでいます。
さらに、国内各所にある11の研究拠点が細胞の操作方法や、個別の病気に対する治療法開発に向けて動いています。

経済産業省では、2009年から「iPS細胞等幹細胞産業応用促進基盤技術開発」と銘打ったプロジェクトが始まり、9つの大学・公的研究機関以外に27の企業が参加しています。
目的は大きく分けて3つ。
1つ目はiPS細胞を心臓、肝臓、皮膚といった体の各組織を構成している細胞に変化させる物質の探索と変化させる方法の開発、2つ目は作製したiPSを評価・選別するための技術と、安定して細胞を供給するための技術開発。3つ目はiPS細胞を使って薬が毒性を示すかどうかを調べるためのシステムの構築。このシステムは体の組織と同じ特徴をもつiPS細胞を作り、それを利用して薬が毒性をもつかどうかを実際に評価しようという試みです。
また、厚生労働省は研究者などが難病患者を治療する際に必要な安全性の確認手続きや、治療対象となる病気の種類などを定めようと、2009年から動き始めています。

このように、いかにiPS細胞を安全かつ効率的に作り出し、それをどのように治療に結びつけ、さらに安全に利用するための手続きを整えることで、日本のiPS細胞技術を世界に普及させるための取り組みが今まさに進んでいるのです。(政策的な取り組みのページもご覧ください。)

次回は最終回です。iPS細胞がもたらす未来について考えてみましょう。

制作 : 株式会社リバネス

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