iPS細胞物語

第1回 iPS細胞の登場

掲載日:2009年2月9日

画像:山中伸弥 教授

山中伸弥 教授
1962~

科学のめざましい進歩が、これからの医療を大きく変えようとしています。

2007年11月20日、その先月のノーベル賞受賞者発表の熱が冷めやらぬうちに、「ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)というニュースが世界中を駆け巡りました。新聞やテレビでは「実現が近づく再生医療」、「再生医療の道を切り拓く」など、さまざまな見出しが躍りました。その渦中にいるのは京都大学再生医学研究所の山中伸弥(やまなかしんや)教授。その研究グループは通常は他の機能を持つ細胞に変化(専門用語では分化)しない皮膚の細胞から、さまざまな種類の細胞に変化する能力(専門用語では多能性)を持つ細胞を開発し、iPS(Induced Pluripotent Stem)細胞と名付けて発表したのです。

再生医療は、その可能性の大きさから多くの人の関心が集まっています。再生医療の目標は、細胞、組織、器官そのもの、またそれらの機能を再生させることによって病気の治療を行うことです。iPS細胞の誕生前はES(Embryonic Stem)細胞という、さまざまな種類の細胞に変化する能力を持つ細胞を用いて、組織や器官を構築する研究が主に行われてきました。しかしながら、ES細胞は順調に成長すれば生命になる受精卵を利用しているため、倫理的に大きな問題を抱えています。また、その使用については煩雑な手続きが必要であるため、実験を行うに際してのハードルも高いものでした。iPS細胞の作製技術では、受精卵でない細胞にさまざまな種類の細胞に変化する能力を持たせることができるため、再生医療の研究を加速することができると期待されているのです。

そこで、この「iPS細胞物語」では皆さんにiPS細胞について触れていただき、iPS細胞をもっと身近に感じていただければと思います。「iPS細胞物語」ではiPS細胞についてのお話を三つの章立てで進めます。

  1. iPS細胞誕生の背景(keyword:細胞の分化、全能性、ES細胞)
  2. iPS細胞、待望の誕生(keyword:細胞の初期化、iPS細胞の問題点)
  3. iPS細胞が切り拓く未来(keyword:再生医療、生命倫理、国際競争)

色々なトピックスを盛り込みながら基礎から応用にわたるの内容を、身近な現象や聞いたことのある言葉、時事的な事柄を踏まえながら進めていきます。

早速次回から「iPS細胞誕生の背景」について詳しく見ていきましょう。まずはiPS細胞をはじめとする細胞についての基本的なお話です。生物を形作る細胞に迫ります。お楽しみに。

制作 : 株式会社リバネス

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