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その他応用研究

2015/3/27更新


Q1 ダイレクトプログラミング(直接誘導法)の現状と仕組みについて教えて下さい。
A1

体内の各組織の細胞の中では、各細胞にそれぞれ特有の因子が働いていることがわかってきました。ダイレクトリプログラミング(直接誘導法)は、目的の細胞で働いている因子の中でもキーとなる幾つかの因子を元の細胞に導入することで、目的の細胞で起きている遺伝子発現を引き起こすことで成し遂げられると考えられます。現状では、全てのタイプの細胞でダイレクトリプログラムは可能ではありませんが、例えば皮膚線維芽細胞にそれぞれ特異的な因子を導入することにより、神経、心筋、肝臓、軟骨の細胞など幾つかのタイプの細胞へ変えうることが報告されています。また、皮膚線維芽細胞を軟骨細胞に変えるときには、iPS細胞を誘導する時に使う4つの因子のうちの2つと、軟骨因子1つを導入します。これは、線維芽細胞を少し若返らせておいて、そこに軟骨因子が働くことで軟骨細胞へと分化させていくと考えています。しかし、ダイレクトリプログラミングの仕組みについてはまだまだわからないことが多く、今後の研究が必要です。

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Q2 直接誘導法のメリットとデメリットについて教えてください。特に腫瘍化のリスクは如何でしょうか?
A2

直接誘導法のメリットはiPS細胞を経ずに心筋のみ直接作製するので幹細胞が混入することによる腫瘍化のリスクが低い、早く目的の細胞を作れる、ステップがシンプルなどがあげられます。デメリットはiPS細胞のようにいろんな種類の細胞を作れない、作製した細胞が増殖しない、などがあります。

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Q3 心筋細胞などへの直接誘導法(ダイレクトリプログラミング)において、細胞は受精卵や幹細胞のような未分化な状態を経て目的の細胞へと変化するのでしょうか?また、直接誘導因子はリプログラミングの過程においてどのように働くのでしょうか。
A3

心筋細胞への直接誘導法では受精卵や幹細胞のような未分化な状態を経ずに直接心筋細胞等に変化します。誘導因子の作用機序は不明なところも多いですが、因子はすべてDNAに結合するたんぱく質なので、おそらく心筋に必要な遺伝子の上流に結合することで遺伝子を働かせて心筋誘導をしていると考えています。

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Q4 人工染色体は娘細胞や次世代へは遺伝しないのでしょうか?
A4

私達の体を形づくる細胞は、体の大部分を構成する体細胞と、次世代に受け継がれる生殖細胞とに分けられます。人工染色体は体細胞にのみ入れるので、次世代へ遺伝することはありません。

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Q5 ヒト人工染色体を再生医療に応用する場合、筋ジストロフィー等遺伝子の欠損が原因となる疾患に限られるのか、遺伝子の重複による遺伝子疾患には応用できないのですか?
A5

この方法は遺伝子欠損を補う場合にのみ用いられます。遺伝子重複の場合には、過剰となっている遺伝子発現を抑制したり、「ゲノム編集技術」という別の技術を使って削除する等の方法を検討する必要があります。

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Q6 HACベクター(ヒト人工染色体ベクター)について関心があります。もう少し具体的に教えてほしいので、例えば、日本語の解説ページ等があればURLを教えてください。
A6

HACベクターは正常な人からとってきた染色体を改変した遺伝子の運び屋です。
鳥取大学染色体工学研究センターWebサイト

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Q7 遺伝的要因が大きい疾患に対してどのようなアプローチでiPS細胞技術が応用されるのでしょうか。
A7

『創薬』の研究に関しては、患者さんと、その病気ではない方の両方の細胞からiPS細胞を作製します。その後、それぞれのiPS細胞から、患者さんが病気を発症している臓器等の細胞へと変化させ、細胞内外の変化を、様々な方法で比較・解析します。そして、患者さん由来のiPS細胞から作製した病気の症状を再現させた細胞に、薬剤やその元となる物質を投与して効果を見ることで、治療薬の候補となる物質を見つけ出します。 例えば、京都大学ではこれまで、軟骨無形成症患者さんとそうでない方の細胞からiPS細胞を作製し、それぞれのiPS細胞から軟骨細胞を作製、比較しました。結果として軟骨無形成症患者さんのiPS細胞から軟骨細胞を作製する際に、細胞増殖と組織形成に異常がみられました。また、それらの症状を緩和する薬剤の探索を行い、高コレステロール血症の治療薬として既に使用されている薬剤が候補として見つかりました。今後、この薬剤や類似物質の効果/安全性を明らかにし、新たな薬剤候補物質を探索する研究を進めていきます。

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Q8 マーモセットモデル動物の作製とその活用状況について教えて下さい。
A8

ヒトの疾患を理解し、その知見に基づいて新たな治療法を開発することが期待されております。ヒトの患者さんのサンプルを用いて研究するのには大きな制限があるため、ヒトの疾患を模した動物モデルを用いて研究することが重要です。現在、遺伝子改変が容易ということでマウスを用いた疾患研究が盛んですが、臨床応用を目指す上で、よりヒトに近いモデル動物ということで霊長類であるマーモセットが注目を集めております。薬剤や飼育環境、物理的な刺激を用いて、パーキンソン病モデル、精神疾患モデル、脊髄損傷モデルが既に作製されておりますが、近年、マーモセットにおいても遺伝子改変を適用して遺伝子改変モデルも作製されております。これらの疾患モデルを使って、病態解明や治療法の開発が期待されております。

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Q9 Muse細胞の再生医療や創薬応用の可能性について教えて下さい。
A9

東北大学の出澤教授のグループが、成人ヒトの皮膚や骨髄などの間葉系組織から多能性幹細胞を同定して、この細胞をMuse細胞(Mutilineage-differentiating stress-enduring cells)と命名しました。 Muse細胞は、間葉系幹細胞と多能性幹細胞の両方の特徴を備えており、三胚葉全てに分化する能力を兼ね備えています。Muse細胞は、組織損傷部位から遊離される遊走因子により損傷部位に集積し、その場で必要な細胞に分化して組織修復に関与します。分離・製剤化のプロセスにおいて、分化誘導操作や遺伝子導入を行う必要がないため、腫瘍化の危険性がほとんどないという大きな利点があります。現在、国内企業との提携により、再生医療では自家未分化Muse細胞による臨床試験を開始すべく準備が進められており、最終的には他家未分化Muse細胞製剤の細胞治療を目指しています。また、人体に存在する細胞に近いアッセイ系の構築が可能ではないかとということで、Muse細胞を活用した創薬ツールの商品化研究も進められています。

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