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個別疾患研究

2015/3/27更新


<脊髄損傷>

Q1 脊髄損傷慢性期の患者が、iPS細胞実用化の日に備えてやっておくべきことは何でしょうか?また、脊髄損傷の再生医療への応用の見通しはどのような状況でしょうか。
A1

移植後には、待っているだけでは十分な機能改善は見込めません。移植された細胞を脊髄の神経ネットワークにできるだけ有機的に組み込んでゆくためのリハビリテーションが必要になると考えられます。そして、移植後に改善してくる機能を日常生活などに活かしてゆくためにも、現在残されておられる機能の維持が大切です。脊髄損傷への再生医療の応用は以前よりますます現実味を帯びてきたように思います。しかしなお、安全性等をしっかり担保する必要がありますから、私たち研究者は日夜、いかにしてできるだけ良質な細胞を安定的に作製し、さらに万が一がん化するなどした際の安全機構を施すか、研究を続けているところです。

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Q2 無髄線維損傷の再生は可能でしょうか?現在、どんな研究がされているか教えて下さい。
A2

一般的に有髄神経は中枢神経が、無髄神経は末梢神経が代表的な神経です。無髄神経の再生は有髄神経よりも旺盛なことはよく知られています。末梢神経では損傷部を超えるのに少し時間はかかりますがおしなべて1日1mmで再生します。スカフォールド(再生の足場となる生体材料)や栄養因子、さらに細胞(シュワン細胞、間葉系幹細胞、iPS細胞など)をもちいた研究が行われています。

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<パーキンソン病>

Q1 パーキンソン病の再生医療の応用のロードマップを教えてください。iPS細胞を用いた再生医療を受ける際、何処でどのようにして受けられるのでしょうか?
A1

2015年中に京都大学内の特定認定再生医療等委員会へ臨床研究計画を提出する予定にしていますが、まだはっきりとした時期を申し上げるのは難しい状況です。また、京都大学や厚生労働省での審議は少なくとも半年以上かかると考えられますので、大臣承認を得て対象患者さんの公募を開始できるのは2016年以降になると思われます。大臣の承認後、対象となる患者さんの条件(病気の進行度、年齢、合併症の有無など)や受診方法を京都大学iPS細胞研究所のHP等で公表します。条件に合致する患者さんに対し臨床研究の内容について詳しく説明をさせていただき、患者さんから同意が得られれば実際の臨床研究に移ります。
なお、移植治療を前提とした外来受診は行っていませんので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

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<ALS>

Q1 ALSに関する創薬の取り組みと再生医療の可能性について教えて下さい。
A1

iPS細胞を用いることによって、ALS患者さんの運動神経細胞を直接調べることができるようになりました。健康な方とALS患者さんのそれぞれの運動神経細胞の違いを、培養皿の中で詳細に調べることによって、形が違うのか、タンパク質が違うのか、生存率が違うのか、などが判明しつつあります。ALS患者さんの運動神経細胞にふりかけることによって、健康な運動神経細胞との違いが少なくなる(健康に近づく)物質を探しており、見つかりつつあります。この物質が体内に入れても安全なものであれば、薬になるまでの時間は短くて済みますが、体内で安全なものでなければ、専門家である製薬会社の方々といっしょに、それらを安全なものに作りかえていく必要があります。また、製薬会社の方々はこのような物質、すなわちお薬の種を大変多く持たれています。このようなお薬を探す研究を製薬会社さんとも一緒に進めているのがALSに関する創薬の取り組みの現状です。一方、再生医療の可能性については、一般には、ALSは、病変が脳から脊髄へと広範囲に及ぶことや、細胞の再生のみでなく、脳から筋肉への信号を伝える配線も再生する必要があり、難しいと考えられています。しかしながら、細胞移植により、その治療有効性を検証する基礎研究は着々と進んでいます。

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<その他神経疾患>

Q1 脳の神経細胞の再生は可能でしょうか。
A1

神経細胞は分裂もせず、再生しないと信じられてきましたが、1990年代に入って脳の中に神経幹細胞(神経の元となる細胞)があることが報告されました。少なくともラットやマウスでは、大人になってからも新たに神経細胞が生まれて再生し、特に運動や刺激のある環境下でそれが促進されることが明らかになっています。ヒトでも同じことが起こっているかどうかは議論のあるところです。

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Q2 知的障害、精神障害を持たれた方にも、iPSを利用して状態を良くすることはできますか?
A2

従来の医学では脳を直接調べることは難しく、知的障害や精神障害において脳の「どこ」で「何」が障害されているかは、まだ詳しく分かっていません。しかし、近年のiPS細胞技術により、患者さんの血液や皮膚から、脳を構成する様々な細胞を作り出すこと、さらに立体的な脳構造を作ることが可能になってきており、精神・神経研究の飛躍的な進歩が期待されています。現在、統合失調症や躁うつ病をはじめ多くの患者さん由来のiPS細胞から脳神経細胞を作製し、障害が起こる原因や仕組みについて解析を進めているところです。また、様々な治療薬を培養皿上の神経細胞に試すことによって、特効薬を開発したり、患者さんが自ら服用する前に薬の効果や副作用を予測したりすることも、近い将来に向けて実現を目指しています。

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Q3 脳に細胞移植治療を施した場合、記憶への影響はあるのでしょうか?
A3

記憶に関係する部位(海馬など)に細胞移植をした場合に影響がでるかもしれませんが、おそらくそういう治療は認められないと思います。遠い将来のことは分かりませんが、まずは記憶への影響がない細胞移植治療を行うことになります。

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Q4 脳炎等の炎症による脳障害の治療に関する再生医学的な研究は行われているのでしょうか?又、現在中枢神経系の再生医学的な研究はどこまで進んでいるのでしょうか?
A4

脳梗塞に対しては骨髄細胞投与が試験的に行われていますが評価はまだ定まっていません。動物実験では、脳梗塞や頭部外傷に対して、失われた神経細胞を細胞移植で補う試みがなされており、少なくとも神経細胞の生着はみられるようです。また、脳の中にもともとある幹細胞を利用して、お薬やリハビリによって再生能力を高めようとする研究も行われています。これらはまだネズミを使った動物実験の段階です。

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Q5 脊髄小脳変性症、頸椎性神経根症、難治性てんかん症、ダウン症候群の再生医療研究の取組とその可能性を教えてください。
A5

結論から申し上げますと、これらの疾患に対する再生医療は現時点では難しいと思われます。なぜなら特定の神経回路や広い範囲の神経細胞を再生させるのはまだまだ難しいからです。 ES細胞から小脳の細胞を作ったという論文はありますが、移植によって症状が改善したという報告はまだありません。頸椎性神経根症については、整形外科や脳神経外科で手術することも可能です。また、難治性てんかん症についても、症例によっては発作の焦点を外科的に摘出することによって発作が抑えられることがあります。ダウン症については、ネズミを使った実験でノルエピネフリンという物質を与えて学習障害が改善したという報告がありますので、薬の開発は可能かもしれません。

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Q6 アルツハイマー型認知症の治療の実現には、あと何年ぐらいかかるでしょうか?実現すれば病気の進行を止められますか?
A6

アルツハイマー型認知症については、iPS細胞を用いた研究を進めておりますが、『治療の実現には、あと何年ぐらいかかるか』についてはまだわからないのが現状です。 現在、症状を緩和させる治療薬はあります。また、症状の進行を遅くする治療薬、発症を予防する方法(ワクチン等)等が開発されつつあります。

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Q7 自閉症やADHD(注意欠如・多動性障害)などの発達障害、知的障害に対してiPS細胞による治療ができる可能性はありますか?
A7

iPS細胞を用いて、自閉症やADHDに対する新たな創薬ができるように研究に励んでいます。近年のゲノム解析技術の飛躍的な向上により、いままで明らかとなっていなかった自閉症やADHDと関連する遺伝子変異について分かってきました。まずは、これらの遺伝子の働きが患者さんの神経細胞にどのように作用しているかを、iPS細胞を用いたモデルを使って示すことが重要と考えています。創薬研究にむけて、網羅的に薬剤試験を行う系を既に立ち上げており、iPS細胞を用いたモデルと組み合わせることで、患者さんの症状を改善する薬剤の開発を行えると考えております。

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Q8 脳梗塞や脳卒中の再生医療治療は可能でしょうか?
A8

骨髄の中の幹細胞や胎児由来の幹細胞を用いた細胞移植はすでに試験的に行われており、数年以内に有効性や安全性に関する結果が得られる見込みです。ただし、これらの場合、移植された細胞が新しい神経回路を再構築したというよりはこれらの細胞から分泌される様々な因子が元からある神経やグリア細胞の生存を助けていることが予想されています。特に長い運動神経回路の再構築には運動神経細胞の移植だけではなく、軸索の伸長やシナプス形成を助ける薬やリハビリなどを組み合わせた総合的な戦略が必要になると思われます。

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<心疾患>

Q1 心筋の梗塞部位に、直接心筋誘導因子を届けて心筋を再生する方法と、心筋細胞シートを移植する方法では、どちらがより安全性が高いのでしょうか?また、肉体への負担はどちらがより軽減されるでしょうか?
A1

直接梗塞部位に心筋誘導因子を届けて心筋を再生する方法は新しい方法で今後安全性を検討します。それに比べシートを移植する方法はこれまで研究の歴史も長く安全性が高いと考えます。肉体への負担は、もし心筋誘導因子を開胸手術でなくカテーテルなどで届けられるようになれば軽くなることが予想されます。

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Q2 拡張型心筋症の取組については聞きますが、拘束型心筋症はどうでしょうか?今後研究の対象になるのでしょうか?
A2

拘束性心筋症は心筋が徐々に瘢痕化した組織に置き換わっていくタイプと、異常な物質が心筋内に蓄積するタイプがあり、それぞれ疾患がおこるメカニズムは異なると考えられます。肥大型や拡張型心筋症と比べて頻度が低く、またその原因についても十分に分かってはいません。
一部の症例については遺伝性であると考えられており遺伝子解析も進められています。遺伝性の拘束性心筋症に関しては患者さん由来のiPS細胞を用いることで培養細胞において異常を再現することができる可能性があります。今後、遺伝性の拘束性心筋症の疾患のメカニズムの解明や病状の進行をくいとめる治療薬を探索する研究が期待できると思われます。

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Q3 心筋の梗塞部位に、直接心筋誘導因子を届けて心筋を再生させる場合、体内の他の細胞に影響はないのでしょうか?もし影響を及ぼす可能性があるなら、どのような対処法があるのでしょうか?
A3

マウスの動物実験では他の細胞に影響を及ぼさなかったと海外より報告されました。しかし今後大動物での検討が必要と考えます。影響を及ぼす場合は、心臓の梗塞部位などに選択的に薬(遺伝子)をとどめておく方法などを開発する必要があります。

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<眼疾患>

Q1 再生医療の臨床応用で一番進んでいる疾患は何ですか?いつ頃治療に使用できるようになりますか?
A1

再生医療という言葉は広い範囲で使われます。自己の細胞を使った細胞治療は形成外科や歯科口腔外科の領域の疾患ではすでに多くの施設で行われています。眼科領域でも角膜上皮が原因で角膜混濁が起こる疾患にはすでに再生医療が行われています。網膜では加齢黄斑変性が最も早く、海外ではES細胞から作った網膜色素上皮細胞を移植する臨床試験が2010年から開始されました。
いつ治療ができるかは、どの程度の治療かによって異なります。臨床試験開始から普通に受けられる治療になるまでには10年以上の時間が必要と思われます。

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Q2 網膜色素変性症の再生医療研究の現状と臨床応用の見通しを教えてください。加齢黄斑変性の萎縮型ではなく新生血管型を先に行うということですが、その理由を教えてください。
A2

網膜色素変性は網膜の中の視細胞という神経細胞が少なくなる疾患ですので、視細胞を移植する必要があります。これまで、ESやiPS細胞から視細胞を含む網膜細胞をバラバラに作ることは可能でしたが、平成23年に、網膜細胞だけが集まってきちんとシート状に並ぶという画期的な技術が開発されました。後は、その視細胞を移植して、もともとの網膜細胞とできるだけ正しく、多くつなげるという研究が必要です。
加齢黄斑変性の萎縮型ももちろん対象とはなりますが、理化学研究所の髙橋政代先生のチームでは世界でも類のない自然な網膜色素上皮のシートを作ることに成功していますので、現時点では、シートでしか治せない新生血管のあるタイプを最初の対象として選ぶ予定です。

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Q3 角膜損傷の再生医療の見通しを教えてください。また、現在のドナーからの移植手術と比較してどんなメリットがあるのでしょうか?
A3

病気やけがによって角膜が損傷すると、角膜が混濁し、透明性が失われた結果、視力の低下をきたします。角膜は外側から角膜上皮、角膜実質、角膜内皮の3層構造をしていますが、このうち、細胞成分のみで構成される上皮と内皮について、iPS細胞から作る研究を大阪大学の西田幸二先生のチームで現在進めており、すでに動物への移植実験を行う段階にきています。臨床応用にむけて研究者一同邁進しており、遠くない将来にiPS細胞を用いた角膜の再生医療が実現されるものと考えます。
現在のドナー角膜を用いた移植手術の問題点は拒絶反応とドナー不足です。上皮については特に拒絶反応が問題になりますがiPS細胞は患者さん自身の細胞から作るため、拒絶反応が起こることはありません。内皮については拒絶は問題になりにくいですが、iPS細胞から大量に内皮を作ることができるためドナー不足が解消できます。

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Q4 視神経細胞の移植治療の進捗状況を教えてください。
A4

視神経細胞(正確には網膜神経節細胞)は、細胞本体は網膜の表面に近いところに存在し、その電線のような足(神経軸索)を脳まで伸ばしています。細胞を作ることも移植することも可能であると思われますが、その軸索を正しく脳まで数十cm延ばしてつなげることはまだ困難です。20年以上前から切断された視神経(網膜神経節細胞の軸索の束)を脳につなぐ研究が行われており、ある程度の数の軸索を脳まで到達させることには成功していますが、それがつながって視機能を回復させることにはまだ成功していないと思われます。

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Q5 緑内障での視野、視力回復にも応用できそうですか?
A5

緑内障については眼から脳に信号を伝える神経節細胞が損傷を受けるのですが、現在の再生医療の技術ではこの神経節細胞を再生したとしてもこの回路を正確に眼から脳まで再構築することは非常に難しいと考えられています。

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Q6 緑内障について、iPS細胞を緑内障患者に役立てるための研究の進捗状況を教えてください。
A6

目はよくカメラに例えられますが、目の奥にはカメラのフィルムにあたる網膜と呼ばれる場所があります。外から目に入った光は網膜でうけとられ、その情報が神経節細胞と呼ばれる神経を通じて脳に伝わり、ものが見えます。緑内障ではこの神経が徐々に失われていくため、視野が狭くなったり視力が低下したりします。神経節細胞は目と脳を結ぶ神経で、一つの細胞の長さが約10cmと非常に長いのが特徴です。これは、一般的な細胞(数十ミクロン)の100倍以上の長さです。iPS細胞を用いた再生を考えた場合、このような巨大な構造を再生することは現時点では難しいと考えられています。したがって、緑内障に再生医療を適用しようとする研究は現段階ではあまり行われていないと思います。

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Q7 網膜剥離で失った網膜は再生可能でしょうか?
A7

重症の網膜剥離では網膜の全部の層が悪くなっているので再生することは難しいです。軽い症例では視細胞(網膜の細胞の一種)だけが悪くなるので細胞移植による再生は可能かもしれませんが、手術が必要ですので、効果よりも手術の危険の方が大きくなると思われます。 ですので、網膜剥離が再生医療の対象になることがないとは言えませんが、かなり遠い将来のことと思われます。

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<肝疾患>

Q1 今後の肝疾患患者において、臨床研究の対象となる疾患名は具体的に想定されていますか?
A1

現時点では、乳幼児の尿素サイクル異常症(Urea Cycle Disorders)などの代謝性肝疾患を対象として、安全性評価および有効性を確認することを目的とした臨床研究を実施することを想定しています。代謝性肝疾患への有効性を確認したのちには、肝移植治療の有用性が認められている肝炎や肝硬変など他の重篤な肝疾患への適応拡大を検討していく予定です。

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<骨疾患>

Q1 骨・軟骨の再生医療の現状について教えてください。
A1

骨には修復能があり、骨折しても固定すれば1-2か月で治癒します。しかし、骨折に広範な組織損傷や感染を伴ったり、腫瘍の切除によって、広範囲に骨が欠損した場合には、骨欠損部を埋めるために、以下の治療が行われています。
1) 自家骨移植:本人の体の他の部位の骨(骨盤や腓骨)の一部を採取して移植。血管柄をつけて血流を保って移植する方法もあります。
2) 骨基質の成分であるハイドロキシアパタイトを充填し、そこに骨を作る細胞(骨芽細胞)を欠損部周囲から呼び込んで骨を作らせる方法
3) 仮骨延長法:骨がもつ修復能力を利用し、手術で作った骨切り部を毎日少しずつ延長することで、体内で骨組織を作り出します。
再生医療としてはさらに、体外で骨を作る骨芽細胞を誘導して、細胞移植する研究が行われています。骨髄の間葉系細胞からの誘導が精力的に研究されています。今後、iPS細胞から骨芽細胞を誘導する研究も進むと思われます。

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Q2 後縦靭帯骨化症に対するiPS細胞治療の応用と今後の展望を教えて下さい。
A2

後縦靱帯骨化症の原因はまだ不明で、先天性の原因と肥満や糖尿病などの後天性の原因の両方が関わっていると考えられています。特にご家族の中に複数の後縦靱帯骨化症の患者さんがおられるような方は、先天性の原因が関わっている可能性が高いと考えられます。そこで、現在そのような患者さんから、iPS細胞を作製させて頂いて、その細胞が他の方から作製したiPS細胞と比べて骨になりやすいのかどうかを調べています。また遺伝子研究により、後縦靱帯骨化症の発生と関係している可能性のあるいくつかの遺伝子が同定されていますので、その遺伝子の機能に関してもiPS細胞を用いて解析しています。将来的な展望としては、手術で骨化した靱帯を除去した後の、再発を予防する薬剤の開発を想定しています。

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<リウマチ>

Q1 リウマチ膠原病等の臨床に移行できる時期や現在の状況を教えて下さい。
A1

制御性T細胞が自己免疫疾患の治療に役立つと考えられています。しかしながら、iPS細胞から膠原病に有効な制御性T細胞を誘導する技術はまだ確立されていません。そのような状況ですので、iPS細胞技術がリウマチなどの治療に適用できるのがいつ頃になるのか、まだ明確な見通しは立っていないと言わざるを得ないというのが現状です。

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<筋疾患>

Q1 デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療の現状について教えてください。
A1

現在の治療はステロイド剤内服による進行の抑制と、関節拘縮予防のためのリハビリが主です。
大きく期待されているのが、エクソン・スキップとリード・スルーという新しい治療法です。しかも心臓を除く全身の筋肉に作用させることができます。
しかし、両者とも、特定の遺伝子変異に基づく個別化医療ですから、全てのデュシェンヌ型の患者さんに適応できるわけではありません。まず、遺伝子検査を行ってジストロフィン遺伝子のどの部位に変異があるのかを判定する必要があります。すでに治験が行われている薬剤もあり、有効性が報告されています。
ステロイド以外の薬剤も次々と開発されており、動物実験から臨床試験への移行期にあります。また根治療法として、iPS 細胞を含めた細胞移植による再生医療も研究されており、現在、動物実験で、その有効性を確認している段階です。

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<糖尿病>

Q1 I 型糖尿病に向けた 再生医療の実用化の見通しを教えて下さい。
A1

実用化に向けては様々な課題を克服する必要があります。例えばヒトiPS細胞技術を利用した再生医療では、iPS細胞から作製した膵島を糖尿病のモデルマウスに移植すると、血糖値を正常化することができることは確認されていますが、ヒトに投与する前に、高等動物で機能と安全性の評価を行う必要があります。そのため、小型霊長類などの新しい糖尿病のモデル動物が作成されているところです。また、大量の膵島を低価格で作るということも大きな課題です。マウスへの移植実験と比べて、大型動物やヒトへの移植となりますと、その数千倍の細胞を培養する必要があります。そのための技術開発とともに、培養コストの削減も大きな課題です。細胞の培養液などは大変高価ですので、実用化には効率のよい培養系と低価格の培養液が必要です。ただ、これは膵島に特有の課題ではなく、iPS細胞などを使う再生医療における一般的な課題でもあります。この解決には産業界の協力が必要です。こうした課題の解決にはかなり長い時間が必要ですが、文部科学省のiPS細胞研究ロードマップによれば、平成30年頃に臨床研究が見込まれています。

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<癌>

Q1 癌の研究やその治療法の開発にiPS細胞技術はどのように活用できるのでしょうか?
A1

iPS細胞技術を活用することで、がんの理解や新しい治療法の開発に繋がることが期待できます。例えば、いわゆるがん細胞と正常な幹細胞、そしてiPS細胞のゲノムやエピゲノムなどのパターンを比較解析することで、がん化のメカニズムの理解が進みます。また、iPS細胞になりきれずがん細胞化した細胞を、正常なiPS細胞と比べることによって、癌の研究に役立つだけでなく、治療に使うiPS細胞の品質向上にも役立てることが出来ます。
また、がんの治療法として、NK細胞やT細胞、そしてNKT細胞などの免疫系細胞を利用した方法が研究されています。いずれの細胞もがん細胞を傷害する機能をもっており、iPS細胞からNKT細胞などを大量に作製し、それを患者さんに移植する方法が開発されています。患者さんによっては、このようながんと戦う細胞の数が減っている場合があり、必要な免疫系細胞を体の外で増やすことの出来るiPS細胞技術はとても期待されています。

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<歯科>

Q1 歯科領域におけるiPS細胞の研究は進んでいるのでしょうか?例えば、虫歯等で失われた歯の再生は可能でしょうか?
A1

歯のもととなる歯胚は、上皮性幹細胞と間葉性幹細胞の相互作用により、胎児期に作られます。これまでにマウスを用いた研究から、再生した歯胚を歯の喪失部位に移植することによって、天然と同等の歯を再生できることが明らかにされています。歯の再生に必要な幹細胞は、胎児組織にしか存在せず、大人のからだから採取することができないため、iPS細胞のような未分化な多能性細胞から誘導することが必要です。現在、歯胚再生に必要な上皮性幹細胞や間葉性幹細胞を誘導する技術の開発が進められています。これらの幹細胞から歯胚を再生し、虫歯などで失われた歯の部位へ移植することによって、歯の再生は可能になると考えられています。

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<聴覚障害>

Q1 難聴性疾患についてiPS細胞を使って治療することは可能でしょうか?
A1

iPS細胞を用い内耳の再生を目指した研究等が行われています。iPS細胞から内耳感覚細胞や蝸牛神経へ誘導した細胞を内耳に移植することにより内耳の再生(難聴の治療)をすることは可能であり、近い将来の臨床応用が期待されます。一方内耳の病態を正確に把握すること(難聴者の内耳のどの部分がどのように障害を受けているのか)は現在の診断技術では困難です。そこで疾患(難聴)特異的iPS細胞を作製し、内耳有毛細胞へ誘導することにより内耳の病態が把握することは可能となります。またこの技術・研究は創薬研究にも大いに役立つことになります。

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<腎疾患>

Q1 腎疾患の再生医療の取組について教えてください。
A1

ヒトiPS細胞から腎臓の構成細胞や糸球体や尿細管などを含む腎組織が一部作製可能となっています。今後、それらの腎細胞を移植に用いる細胞移植療法やバイオ人工臓器の開発が期待されます。また、iPS細胞から動物の体内で三次元の腎臓を作製する研究や、拒絶反応の起こらないように遺伝子組み換えを行った異種動物の腎臓を移植に使用する研究も進められています。

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Q2 膀胱の再生についての可能性と研究動向について教えて下さい。
A2

iPS細胞を用いた膀胱の再生はほとんど報告がありません。膀胱は2つの起源となる細胞群が組み合わさって形成される複雑な臓器ですので、iPS細胞から完全な膀胱の再生を実現するのはかなり難しいことが予想されます。

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<不妊治療・生殖細胞研究>

Q1 ヒトiPS/ES細胞から、生殖細胞をつくることは、一定条件下で容認とのことでしたが、生殖細胞をつくることができるようになった場合、不妊治療の1つになる可能性は、ありますか?
A1

ヒトiPS/ES細胞からの生殖細胞作成については、「ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針」及び「ヒトES細胞の使用に関する指針」により、不妊症や先天性疾患の解明等の新しい診断法、予防法や診断法の開発等に資する基礎的研究の目的に限って容認されています。一方、これらの指針では、生命倫理上の問題から、作成された生殖細胞から受精胚を作成することが禁止されていますので、不妊治療に用いられるものではありません。

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Q2 生殖細胞研究の進捗状況について教えてください。
A2

最近、iPS/ES細胞を使った生殖細胞研究においてひとつの進展がありました。それはヒトと同じほ乳類であるマウスを使った研究において、iPS/ES細胞から精子や卵子のもととなる「始原生殖細胞」を試験管内で作ることに成功したことです。試験管内で作られた始原生殖細胞はマウスの体内に移植することにより、雄では精子に、雌では卵子になりました。また、それぞれの精子および卵子から健康な子供のマウスが産まれました。これらの研究は、将来的にヒトの生殖医療の開発(不妊症の解明等)に貢献すると思われます。しかしヒトとマウスでは細胞の性質に異なるところがあり、解決すべき技術的な課題が多くあります。これらに加え、ヒトの生殖細胞研究は生命の根源に関わる研究ですから、安全性や倫理面の問題をひとつひとつ解決して慎重に進めていく必要があります。

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<血液>

Q1 赤血球の再生に関する研究はどこまで進んでいるのでしょうか?
A1

理化学研究所バイオリソースセンター(つくば)の中村幸夫先生のチームがわが国では一番先行しています。京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之先生のチームの巨核球を大量に製造可能な方法とは違いますが、赤血球の元になる赤芽球を大量に培養可能な技術の開発に成功しています。江藤先生のチームも中村先生のチームとは異なった方法で大量に培養可能な技術の開発に成功しています(Hirose et al., Stem Cell Reports, 2013)。一方で、臨床応用可能な赤血球製造には、さらに以下の3つの課題克服が重要です。(1)10e12個(血小板輸血の5−10倍)以上を1回に輸血する必要があり、それを製造するための培養規模は血小板よりもかなり大きくなると予想されますのでコストを含めての製造ラインの革新が必須です。(2)赤芽球から脱核して成熟赤血球になる効率がまだ低いため改善が必要です。(3)ヘモグロビンという酸素を運搬するたんぱく質のタイプが、iPS細胞から製造する赤芽球では赤ちゃん型が多い、あるいは大人型に混ざって赤ちゃん型が存在することが多く、酸素運搬能を正常にするために大人型の赤血球を100%にする方法の開発も必要になっています。

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