事業の目的と背景(実例紹介)

日英研究交流−バイオナノテクノロジー・ワークショップ交流(イギリス)

英国との研究交流は2004年から始まっていますが、そのきっかけはオックスフォード大学の生物物理学John Ryan教授に相談し、英国のバイオテクノロジー・生物化学研究会議(BBSRC)のファンドを利用して始まっています。

Ryan教授の専門は「バイオナノテクノロジー」で、同分野ではこれまで11件の研究交流が進められていますが、毎年同分野に参加している研究者の多くが一堂に会し、研究進捗状況や問題点等を発表し合い、コメントや助言を行うワークショップを開いています。

英国・日本とで交互に開催されており、2007年は英国オックスフォード大学で開催されました。7件の交流に関わる研究者約50名(英国30名・日本20名)が参加し、18世紀の学術世界その雰囲気の色濃く残したオックスフォード大学の中で、3日間熱の入った発表と議論が行われました。

このような横の繋がりが強い交流は珍しく、Ryan教授の指導力と人望の賜と言えます。参加した研究者も、「自分とは異なる視野すら自分の限界を超えさせてもらえる可能性を感じる」と好評でした。2008年は神戸で第4回目が開催される予定です。

写真:バイオナノテクノロジー・ワークショップ交流の様子1

ハリーポッターの世界を再現する食堂

写真:バイオナノテクノロジー・ワークショップ交流の様子2

ワークショップでのJohn Ryan教授

廃水からの栄養塩除去プロセスへの微生物学的な視点の導入とその数学的モデル化(中国)

東京大学大学院新領域創成科学研究科
教授 味埜 俊
対象国:中国
交流期間:平成16年度〜平成19年度

[写真:集合写真]

↑味埜、Peng グループと 藤江、Yang-Hu グループ 合同ワークショップ 2007年10月25日北京

本プロジェクトは、廃水処理の分野において、日本・中国双方の研究グループがお互いの得意分野を活かしながら研究協力を進めようというものです。中国では現在、環境問題が国の重点分野として取り上げられており、特に水環境の問題は総体的に雨の少ない中国では重要であり、廃水処理も水資源管理の上で鍵になる技術なので注目されています。

このプロジェクトが始まる前から、中国・北京の清華大学とは交流を行っていましたが、このプロジェクトを通じて中国との関係がより密になったことを感じております。私やカウンターパートの北京工科大学の彭教授が双方を毎年訪問するとともに、博士課程、ポスドククラスの研究者を毎年数名ずつ派遣し合い、交流を進めております。また、プロジェクトに直接関わっている研究者以外の研究者との交流も活発になってきました。

実際の成果としても、3年間の交流を通じて、査読論文を2本投稿済みであり、査読のないものを含めれば、最終的に10本程度の論文を共同執筆することができそうです。

中国の経済成長が昨今、言われておりますが、中国との交流を数年以上続けていて最近、つとに感じるのが、科学技術分野での中国の成長です。国としての豊富な財政力や環境分野への重点的投資に支えられ、さらにトップダウン的な強い実行力により、驚くべき早さで研究環境の整備が進んでおり、実際にその研究レベルの向上には目を見張るものがあります。

しかも、中国の研究者、学生は、まだまだ強いハングリー精神をもって研究を進めていらっしゃいます。そういった人たちとの交流を通じて、刺激を受け、またいろいろな新しいアイデアを出し合うことができることは、このような交流を通じて得られる目に見えない利点だと思っています。
(談)