国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」における平成30年度新規課題の決定について

平成30年6月1日

 JST(理事長 濵口 道成)は、国際科学技術協力基盤整備事業「日本-台湾研究交流」注1)において、台湾行政院 科技部(MOST)注2)と共同で「超高齢社会における高齢者のケアと支援のためのICT」分野に関する研究交流課題の募集および審査を行い、平成30年度新規課題として以下の3件を決定しました。

(1)「独居高齢者のQOLのモニタリングと向上のための遠隔社会的インタラクション支援」

(研究代表者:京都大学 大学院情報学研究科 教授 熊田 孝恒、国立台湾大学 理学院心理学系、生物資源農学院生物産業伝播発展学系 教授 岳 修平)

本研究交流は、高齢者にとって使いやすいロボット型遠隔システムの開発と、遠隔システムによるバーチャルな共食を通じて提供される社会的交流の効果を科学的に検証するものです。また、食事場面の会話や動作から認知機能やQOLの低下を予測する技術開発を目指すものです。


(2)「超高齢化社会で活躍する高齢者を支援するソフトエグゾスケルトンならびに装着型アシスト機器の開発」

(研究代表者:広島大学 大学院工学研究科 教授 栗田 雄一、国立台湾大学 電機資訊学院資訊工程学系 副教授 陳 彦仰)

本研究交流は、柔軟・軽量で着脱しやすいSmart Assistive Soft Exoskeleton(SASE)技術を開発し、高齢者の歩行・立位機能を向上させ社会参加を支援するとともに、リハビリ現場における介護者の負担軽減への応用を目指すものです。


(3)「高齢難聴者を対象としたインクルーシブ音デザイン:音環境の分析とガイドライン構築」

(研究代表者:筑波大学 図書館情報メディア系 助教 寺澤 洋子、国立清華大学 電機資訊学院電機工程学系 副教授 劉 奕汶)

本研究交流は、模擬難聴システムを開発し、加齢性難聴を持つ高齢者の環境音・楽音の知覚様態をシミュレートします。音によるメッセージ伝達の鍵となる要因を特定し、高齢者に聞こえやすい製品音・メッセージ音・公共空間の音デザインのガイドライン構築を目指すものです。

 今回の研究交流課題の募集では29件の応募があり、これらの応募課題を日本側および台湾側の専門家により評価しました。その結果をもとにJSTおよびMOSTが協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、日本と台湾がともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。日本側と台湾側ともに平成30年6月に支援開始を予定しています。研究期間は支援開始から約3年間の予定です。

注1) 国際科学技術協力基盤整備事業「日本‐台湾研究交流」
 2007年9月にJSTとMOSTの前身である国家科学委員会(NSC)の間で覚書を締結。JSTとNSCの間では、2008年度(平成20年度)に「ナノデバイス」分野の研究交流課題の共同公募を実施して以降、「バイオエレクトロニクス」分野、「バイオフォトニクス」分野で公募を実施しました。2014年(平成26年)にNSCの科技部(MOST)への改組に伴いJSTとの協力もMOSTに引き継がれ、JSTはMOSTとの間で、「IoTにおけるセキュリティ技術」分野、「セキュアでディペンダブルなIoTポータブルデバイスのための研究」分野、「超高齢社会における高齢者のケアと支援のためのICT」分野で公募を実施してきました。2017年度(平成29年度)に、前回に引き続き「超高齢社会における高齢者のケアと支援のためのICT」で公募を実施しました。
日本‐台湾研究交流ホームページURL: https://www.jst.go.jp/inter/program/kiban/gather/taiwan.html
注2) 台湾行政院 科技部(MOST:Ministry of Science and Technology)
 1959年に設立され、科学技術発展の促進、学術研究支援、サイエンスパーク発展をミッションとする台湾の機関である国家科学委員会(NSC)から2014年に改組された機関。改組により、学術研究と産業発展のさらなる連携を促進し、科学技術発展に尽力するファンディング機関としての機能を果たし続けています。
MOSTホームページURL: https://www.most.gov.tw/

お問い合わせ先

科学技術振興機構 国際部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K's五番町
金山 晋司(カナヤマ シンジ)
Tel:03-5214-7375 Fax:03-5214-7379
E-mail:お問い合わせ先

This page updated on Jun. 1, 2018