ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現

プログラムの概要

プログラムの目的

レーザーを超小型化し、いつでもどこでも使えるように“ユビキタス化”

20世紀に発明されたレーザーは、研究開発から産業分野まで幅広く応用され、多くの成果を上げています。
しかし、装置が大きく取り扱いが容易ではないため、より広い分野への適用を妨げています。
ImPACTプログラム「ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現」では、高出力パルスレーザーを手のひらサイズまで超小型化する技術や、究極の光といわれ世界にまだ2つしかないX線自由電子レーザー(XFEL)を超小型化する技術を確立し、安全・安心で快適な生活を送るための新技術・新産業を創出します。

X線自由電子レーザー(XFEL)

原子レベルの動的イメージングが可能

原子レベルの構造をフェムト病の時間分解能で観ることが可能。創薬(膜たんぱく質の構造解析)や触媒(化学反応時のダイナミクス)等、多くの研究開発分野で有用な最先端の研究開発基盤。

パワーレーザー

インフラ保守や製造革新が可能

高出力のパルスレーザーは、材料の材質改善や曲面形成が可能。構造物の寿命延長や製造工期の短縮、3Dプリンタのような新たな加工・成形技術への展開が可能。

レーザーの小型化
大型装置をいつでもどこでもつかえるように“ユビキタス化”

研究開発サイクルの短縮

新技術・新産業の創出

創薬
生体
社会インフラ
工場

原子レベルの計測技術であるXFELが各機関・企業でいつでもすぐに使えるようになることで、研究開発サイクルが大幅に短縮。競争が激しい創薬の開発など、国際的な研究開発力の 向上が可能に。 また、高出力パワーレーザーを超小型化することで、今まで適用が困難だった生産・製造技 術へ展開することが可能になり、生産技術の革新が可能に。さらには時間や場所を選ばないユビキタスな設備診断、インフラ補修、生体撮像や粒子線治 療など様々な応用が可能になり、安全で安心な長寿社会を実現

現状の課題

X線自由電子レーザー(XFEL)

世界に2つしかないため、利用機会・ユーザーが限られている。

XFELを使用できる装置は世界に2つしかない。そのため、装置を利用できるユーザーが非常に限られている。また、利用できる機会は多くて年に2回。研究や技術・製品開発の世界的な競争に勝つためにはより多くのユーザーがいつでも使える必要がある。

レーザー加速XFEL実証

パワーレーザー

装置が大きく、高コスト。主要部品の海外依存率が高い。

装置が大型・高額のため、産業界への普及が妨げられている。主要な技術・装置部品が海外勢に押さえられているため、国際競争力に欠ける。

超小型パワーレーザー

開発戦略

レーザー加速XFEL実証

  • 海外からも注目されているレーザープラズマ加速技術やマイクロアンジュレーター技術で、装置の超小型化(10m)を目指す。
  • XFELの超小型化をいち早く実現し、圧倒的な優位性を確保。開発技術や装置を海外にも展開し、日本発の技術として標準化を図る
  • 超小型XFELの技術を既存の加速器や放射光施設へ展開。施設の性能向上に寄与し、日本の科学技術力や産業競争力を強化。

超小型パワーレーザー

  • 日本独自技術であるマイクロチップレーザー技術や、セラミックレーザー媒質・高出力半導体レーザー(LD)で高出力パルスレーザーの超小型化を目指す。
  • ユーザーと一体となったニーズドリブンの開発により、超小型化したレーザーを産業に展開。日本が遅れをとっている高出力レーザー装置・システムのシェアを奪還。

開発目標

レーザー加速XFEL実証

小型化

長期的

長さ10m以下の超小型XFELの実現

  • 原子レベル計測技術の普及で世界を圧倒する研究開発と産業を創出

短期的

超小型XFELの実現に必要な基盤技術の確立

  • レーザー加速による1GeV超の安定な電子ビームの生成
  • マイクロアンジュレーターとの組み合わせによる1KeVのX線ビームの発生

研究開発機関に配備できるサイズ・コストに仕上げ、研究開発・商品開発のリードタイムを短縮。日本の研究開発力・産業競争力を強化。

超小型パワーレーザー

小型化

長期的

パワーレーザーを日本に復活し、新産業を振興

  • インフラ保守や材料の加工・改質技術を変革し、新たな「こと」づくりに展開。

短期的

超小型パワーレーザーの完成、ユーザー施設での生産デモ

  • 20mJ(ストレッチ100mJ)、100Hz、1kg以下のハンドヘルド
  • 1J、300Hz(ストレッチ3J)のテーブルトップ

国産技術/調達による超小型のレーザーを開発し、産業界へ展開。「こと」づくり立国を再建。