宮田 令子
進化を超える極微量物質の
超迅速多項目センシングシステム
プログラム・マネージャー
宮田 令子 Reiko Miyata
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1982年 お茶の水女子大学理学部生物学科卒業
1982年 東レ株式会社入社
(基礎研究所合成化学研究室)
2001年 同社・ケミカル研究所主任研究員
2004年 名大産学官連携推進本部知財マネージャー
(東レより出向)
2010年~名大産学官連携推進本部特任教授
2014年~ImPACTプログラム・マネージャー
(名大/JST間のクロスアポイントメント、エフォート95%)
【プロフィール】
東レ株式会社では、一貫して研究開発に従事し、事業化・研究マネージメントを経験。日本生物工学会技術賞受賞。名大では、異分野融合領域の産学官連携共同研究等マネージメントに従事。産学官専門家との強力なネットワークを有す。博士・農学(京大)。

What's New
2018/3/7[プレスリリース]
持ち運び可能な微生物センサーを開発
2017/9/30[プレスリリース]
世界最高感度の電気計測システムを開発

研究開発プログラムの概要

 我々の身の回りには細菌、ウイルス、化学物質などの有害で危険な物質が取り巻いている。世界で年一つのペースで発生する新興感染症や、抗生物質が効かない薬剤耐性菌など、我々の目に見えない脅威はヒトや動物を介して伝播、環境中に拡散し、その被害は国境を越え地球規模に及ぶ。また、生物剤や化学剤を使ったテロの脅威も止まるところがない。このような危険・有害物質の脅威から身を守るためには、これらをオンサイトで簡便、迅速に検知し、グローバルに発信共有すると共に各人が危険に備える必用がある。しかし、現在これに資する検知技術はなく、こうした技術を開発し社会実装することで、安全、安心、快適な社会が実現される。

非連続イノベーション

 極微量物質を検出する従来のセンサは、装置が大きい、測定時間が長い、感度が不十分、多項目計測や定性定量の同時測定が困難など、大きさ、性能面で多くの課題が残っている。そこで本プログラムでは、全く新しい原理に基づくセンシングシステムを開発する。昆虫はわずか数mm程度の小さな触角と知覚中枢の中に、超高感度で物質を検出したり、数万種類の物質を識別できる驚異のセンシング能力を備えている。新原理のセンシング技術によって、このような昆虫の能力を超えるセンシングシステムを実現し上記課題を解決する。
 非連続イノベーションのポイントは、昆虫の触角、知覚中枢の機能を超微細エレクトロニクスによって実現し、超小型化、多項目、定性定量計測、超高集積化を同時に実現することである。人工触角を実現するために、物質を捕捉、識別、検出するシステムを超小型デバイスに落とし込んだセンサ素子を開発する。また、人工知覚中枢を実現するために、センサ出力のパターン認識技術を開発する。さらに、試作から製品化までの過程では微細加工技術やエレクトロニクスにおける原理的な技術障壁も突破しなければならない。企業や公的施設も積極的に活用し、将来の量産化に向けた研究開発を併せて進めていく。研究開発の進捗状況によって前倒しで進む場合には、開発費を集中させて早期実用化を具現化していく。

PMの挑戦と実現した場合のインパクト

PMの挑戦
  • 細菌・ウイルス、これらの大気中浮遊物のバイオエアロゾル、爆発物や化学剤などの危険・有害物質の他、空間ガスや生体ガスの空気質を簡便に検知できるセンシングシステムeInSECT®を開発、社会実装する。
  • 昆虫が進化の過程で獲得した優れたセンシング能力に学び、従来のセンサ技術では超えられなかった技術障壁を突破することでeInSECT®を実現する。
実現したときに産業や社会に与えるインパクトは何か?
  • eInSECT®によって新興感染症や薬剤耐性菌の発生など、迫り来る脅威を可視化しグローバルに情報共有することで、これまで殆ど得られなかった危険・有害性に関する情報が手軽に入手できるようになる。これにより各人が危険に備えることができるようになり、真に安全、安心を実感できる社会が実現する。
  • また、生活空間の危険有害性や個々人の体の状態が見えるようになり、より快適な空間でより健やかに生活できる社会が実現する。

成功へのシナリオと達成目標

 我々を取り巻く目に見えない危険・有害物質(細菌、ウイルス、バイオエアロゾル、有害化学物質等)から身を守るためには、これらを可視化するための効果的な方法が必要である。すなわち、いつでも、どこでも、誰でも使え、簡便、迅速に高感度で計測できる小型のセンシングシステムが必要となる。また、対象物質が多岐にわたるため、使用目的に応じて多項目の対象物を検知することが求められる。

具体的達成目標の実現に向けた戦略・シナリオ


上述の研究開発目標を達成するために、以下の戦略・シナリオに従い研究開発を進める。
研究開発体制の構築
  • ワークショップや研究会を開催することにより、ナノテクノロジー、半導体、人工知能、分子認識、集積化、モジュール化等の技術領域において世界トップレベルの技術を有する機関(大学、企業、公的研究機関)を選定し、研究開発体制を構築する。新規に他の優良技術が開発された場合は、速やかに組織に取り込み優位性を確保する。
  • 原理実証では実サンプルによって実使用環境でプロトタイプを評価するため、病原体が扱える医学系研究機関や国研、ユーザー候補を組織に取り込む。
研究開発の推進
  • 研究開発目標を課題に落とし込み、各機関はこれを分担すると共に相互に連携して課題解決に取り組む。
  • 複数の可能性のある技術を試行する体制で臨み、競争によって1~2年で技術の絞り込みを検討する。
  • 開発段階に即して設定したスペックのプロトタイプを試作し、動作検証を行いながら課題解決を進めていく。プロトタイプ試作を開発ロードマップにおけるマイルストーンとし、その達成状況を評価し、状況に応じ軌道修正、加速化を図っていく。
  • 四半期毎に全機関による研究進捗状況報告会等を開催することで、各機関の研究進捗状況を把握するとともに、機関間の連携強化を図る。さらにサイトビジットによって機関との意識共有を図り、また、開発を進める上での改善点を抽出し解決に当たる。これにより目標達成に向けたPDCAを確実に回していく。
  • 市場調査、技術動向調査結果やアドバイザーの意見を参考に、課題設定、ロードマップを柔軟に見直す。
  • eInSECT®の試作開発では先進微細加工プロセスが必須なため、大学の微細加工施設のみならず、企業や公的施設も積極的に活用し、将来の量産化を想定した研究開発を進める。
  • 持ち運び可能なプロトタイプを開発して実使用環境で評価する。その結果を要求仕様の策定に結びつけ社会実装に繋げる。

達成目標


 検知対象物のカテゴリー別に三つのプロジェクトを立ち上げ研究開発を実施する。プロジェクト1は細菌・ウイルス、プロジェクト2はバイオエアロゾル、プロジェクト3は化学物質、匂い物質を対象とし、高感度・迅速・多項目計測が可能なセンシングシステムを開発する。プログラム終了時までに下記の目標を達成する。
  • プロジェクト1、2は、高感度、迅速、多項目計測に必要な全く新しい原理に基づくセンサ技術を開発し、プロトタイプ・デバイスを用いてその原理を実証する。
  • プロジェクト3は、人工嗅覚システムのプラットフォームを完成させ、製品試作を行い実使用環境でその価値を実証する。
  • 各プロジェクトとも民間企業への橋渡しあるいはベンチャー企業の設立など、社会実装への道筋をつける。

PMが作り込んだ研究開発プログラムの全体構成

PMのキャスティングによる実施体制


宮田 令子PMの実施体制の詳細は公式HPをご覧ください。   

プログラム資料