佐橋 政司
無充電で長期間使用できる
究極のエコIT機器の実現
プログラム・マネージャー
佐橋 政司 Masashi Sahashi
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1974年  名古屋大学大学院 工学研修士課程修了、同年東京芝浦電気株式会社(現 株式会社東芝)総合研究所(現 研究開発センター)入社
1999年~ 同社 研究開発センター技監
2003年~ 東北大学大学院 工学研究科 教授
2014年~ ImPACTプログラムマネージャー(東北大学/JST間のジョイントアポイントメント)
【プロフィール】
東芝では、全社プロジェクトマネージャーとして、世界初のGMRヘッド搭載HDDを開発、その製品化へと導き、科学技術庁長官賞(注目発明)、科学技術庁長官賞(研究功績者)、日経BP技術賞・大賞、恩賜発明賞、紫綬褒章を受賞。大学赴任後は、リスクが大きい革新的基礎研究を推進。企業に新規事業の芽を移植。


研究開発プログラムの概要

モバイル機器やクラウドコンピューティングの普及により、ITが日常生活を大きく変える時代になった。しかし、現状のモバイル機器は充電を頻繁に行わなければ使えない。また、コンセントに接続したままの充電器も増え続け、エネルギーの浪費となっている。ビッグデータやIoTでさらに増え続ける消費電力を如何に減らすかは社会的な課題の一つである。そこで本プログラムでは、電圧で磁気メモリに情報を記録する究極の不揮発性メモリや省電力スピントロニクス論理集積回路など、コンピュータの各メモリ/ストレージ階層の省電力化を極めることに挑み、社会的課題の解決を図る。そして、IT機器の電力使用量を極限まで減らし、充電ストレスのない快適なエコIT社会と大規模災害時でも情報にアクセスできる安全・安心な社会を実現して行く。

非連続イノベーション

非連続イノベーション(突破口、起爆剤)創出への挑戦

  • 不揮発性や書換えサイクル寿命(エンデュランス)とデータ保持期間(リテンション)に大きな利点を持つ磁気メモリ(MRAM)実用化の壁となっている「高速・省電力化」と「高集積・超省電力化」に挑み、「魔の川」と「死の谷」を克服、高速性と超高集積性を2大戦略軸に「ダーウィンの海」を勝ち抜き、エネルギーロスの大きな「揮発性の半導体エレクトロニクス」から超省電力化を可能とする「不揮発性エレクトロ二クス」へと非連続イノベーションを引き起こす。
  • ImPACT実施期間中には、その起爆剤/突破口となる研究開発成果の創出と実用化/事業化への橋渡しの筋道の明確化を必達。
  • 「高速・省電力化」では、いまだ基礎研究の端初にあるスピン軌道トルク(SOT)を研究開発軸に実験検証を行ない、スピントロニクス集積回路技術を確立、不揮発マイコンの実現を目指して、1ns以下の高速動作を可能とするSOT-MRAMの機能実証を行なう。
  • 「高集積・超省電力化」では、同じくいまだ基礎研究の端初にあり、究極の省電力駆動が期待される電圧トルクを研究開発軸に、「電圧による双極性磁化反転」の実現に、物理原理の創出、デバイス基礎開発、スピントロニクス材料・プロセス開発などの叡智を総合して挑み、超低消費電力(数フェムトジュール以下)を満たす新たな磁気メモリ駆動原理の実現を目指すと供に、高集積度(4F2~6F2)との両立、3Dへの展開可能性を示す。
  • いずれもが、桁違いの技術への挑戦であり、リスクも大きいが、そのインパクトは計り知れない。

技術あるいはマネジメント等において最も困難なポイント

  • いずれもが、いまだ基礎研究の端初にあり、基礎技術開発そのものに困難を伴い、知恵と根気が必要。
  • 異なる物理を研究開発軸とし、異なる出口戦略で取り組む2大テーマの技術マネージメント。
  • 知的財産、特に特許増出のための仕掛け/仕組みと出口戦略の策定。

PMの挑戦と実現した場合のインパクト

概要・背景

  • 現在のモバイルIT機器は、頻繁な充電が必要。
  • オフィスや家庭内でコンセントに繋ぎっぱなしの充電器が急増中。
  • 大規模災害・長期間停電時に緊急情報にアクセス困難になる恐れ。

実現したときに産業や社会に与えるインパクトは何か?

  • 電源を用いる必要が無く、電圧によってメモリの書き換えを行い情報を長期間保存する磁気メモリ・トランジスタによってIT機器の電力使用量を劇的に減らし、充電ストレスのない快適なライフスタイルを実現。
  • エナジーハーベスティングで駆動するスピントロニクス分散型ITシステムによって、大規模災害・長期間停電時でも情報にアクセス可能な安全安心のIT社会を実現。

成功へのシナリオと達成目標

具体的達成目標の実現に向けた戦略・シナリオ

  • スピントロニクス集積回路プロジェクトでは、第一ステージとして、H28年度までに目標である最先端300mm集積プロセスによる、従来比で1/20以下の待機時電力を達成する50万素子規模のコンセプト実証用スピントランスファートルク(STT)-MRAM集積回路の開発を行い、その後第二ステージとしてImPACT最終目標である革新的材料・素子技術(圧倒的差別化技術として先行するSOT)と300mm集積プロセスとの高度な技術統合により、分散型ITシステムに向けた、従来比で5倍以上の動作速度、ならびに1/20以下の待機時電力を達成する50万素子規模の革新的超低消費電力マイコンの基盤技術を、エナジーハーベスティングで駆動するスピントロニクス集積回路向け材料・素子開発、エナジーハーベスティングで駆動する集積回路向け回路・アーキテクチャ開発、およびエナジーハーベスティングで駆動する集積回路と300mm集積プロセスの開発の三つのサブ課題を置いて、一体となって目標達成を目指して研究開発を推進、SOT/STT- MRAM不揮発マイコンで世界のトップランナーとなる。
  • 電圧駆動MRAM開発タスクフォースプロジェクトでは、ラストレベルキャッシュメモリの不揮発化・高集積化を目指した「高速型電圧駆動MRAM」、および高集積化が進むメインメモリの不揮発化・省電力化を目指した「大容量型電圧駆動MRAM」の技術開発に、選択的双方向制御を含めて、回路設計、物理機構開発、新材料・素子、プロセス及びメモリアレイ開発をH27年度までに技術確立した評価技術、製造技術等を駆使して、ImPACT最終目標である選択的双方向制御を含む電圧駆動MRAM集積回路設計開発の完了とそのメモリ/ストレージへの展開に取組み、圧倒的な省電力技術である世界初の電圧駆動MRAM集積回路によるメモリ/ストレージの開発を推進、SRAM/DRAM代替および3Dメモリ/ストレージへの展開シナリオを示し、世界のトップランナーとなる。

達成目標

  • 世界初の省電力マイコンを目指して、300mmウエハ試作による「1nsを切る高速動作スピン軌道トルク(SOT)-MRAMの機能実証」とその不揮発マイコンへの展開
  • 選択的双方向制御を含む電圧駆動MRAM集積回設計開発の完了とそのメモリ/ストレージへの展開

PMが作り込んだ研究開発プログラムの全体構成

PMのキャスティングによる実施体制


佐橋 政司PMの実施体制の詳細は公式HPをご覧ください。    公式HPへのリンク

プログラム資料