我が国は、1980年代のバブル経済の後、「失われた20年」とも言われる長期的な経済の停滞に苦しめられてきました。この間、 産業構造や生活スタイルの変化の中で、日本企業は従来からのモノ作り戦略を転換することができず、産業の国際競争力が失われつつあります。また同時に、企業経営者や国民が自信を失い、成長のためのリスクを負うことができなくなってきているとも 言われています。
これらの問題を払拭するためには、大学や企業が失敗を恐れずに困難な研究開発課題に果敢に挑み(チャレンジ)、新たな成長分野を切り開いていく(イノベーション)、新たな科学技術のシステムが必要です。
ImPACTは、政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・ イノベーション会議が、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を促進し、持続的な発展性のあるイノベーションシステムの実現を目指したプログラムです。
個々の組織が自ら所有する資源を活用する従来型の研究開発では、ハイリスク・ハイインパクトな取り組みは困難です。挑戦的な研究開発を促進するためには、自前主義から脱却し、優れた技術を国内外から採り入れて、より高い研究開発目標を達成し、技術革新に結びつけることが必要です。そのためには、以下のような要件を備えた仕組みが求められます。
ImPACTは、これらの役割を担う者として、従来の研究者とは異なるプロデューサーであるプログラム・マネージャー(PM)を採り入れました。PMは、大胆な裁量権と予算により、社会や産業に変革をもたらす高い目標を掲げ、最高の研究開発力をキャスティングして、非連続イノベーションの実現に向けてハイリスク・ハイインパクトな研究開発を主導します。
[非連続イノベーションとは積み上げではない、技術の連続性がないイノベーションのこと]
ImPACTの究極的な目的は「イノベーションに最も適した国」「起業、創業の精神に満ちあふれた国」の実現です。
それを成功に導くために、2つの目標があります。
ImPACTでは、成功すれば将来の社会や産業のあり方に革新をもたらす魅力的な構想をプログラム・マネジャーが掲げます。その構想を実現するために、トップクラスの研究開発力を結集し、研究開発プログラム全体を統率して機動的なマネジメントを実施しながら、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発に取り組み、非連続イノベーションの創出にチャレンジします。
「イノベーションに最も適した国」「起業、創業の精神に満ちあふれた国」とするためには、わが国の各界にImPACTにおける取り組みを拡げていく必要があります。プログラム・マネージャーの挑戦的な活動をイノベーション創出の行動モデルとして提示することにより、研究開発における内向き志向を転換し、わが国にオープンな起業風土を培うことを目指しています。
ImPACTにおける研究開発プログラムは、下記のようなステップに沿って進められます。