ImPACT Program 量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現

プログラム概要

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最後に量子シミュレーションの分野について述べます。
この研究テーマの最終目標は、室温超伝導体など材料科学のブレークスルーの実現に向けたシミュレーション・ツールの開発です。一言で目指すところを言えば、“材料研究者の直感に頼らない科学的材料開発”に役立つツールの開発です。そのためには、現実の物性に根ざしたハミルトニアンの提案、これを数値シミュレーションするソフトウェア、その手法を実装するハードウェアの開発を同時に行なっていく必要があります。特に、外部からのエネルギー注入や外部へのエネルギー散逸がある非平衡下でのボーズアインシュタイン凝縮を扱える理論的・実験的手法の開発が必要です。この研究テーマにおいて、進むべき方向は、

  • 1室温超伝導・超流動につながる物質と物性を特定し、量子シミュレーションのターゲットとなるハミルトニアンを明示する。
  • 2その目標となるハミルトニアンを十分な近似精度で数値シミュレーションできる手法を開発し、発現する物性を予測する。
  • 3その数値シミュレーション手法の背景にある重大な仮定を明確にし、その点に特化した実証実験を企画し、実行する。

の3つであります。
量子シミュレーションの研究にとって最も危険なことは、実証実験をする必要がない自明なことをシミュレートする実験を行うために大切なリソースを投下することです。理論モデルのどの部分に確信を持てないかで実験を計画する必要があります。