行政と研究者、両方の現場を視野に入れ、若手研究者の支援に力を尽くしています。

戦略研究推進部 ICTグループ 副調査役

庄司真理子

園芸学部生物生産科学科修了/科学技術・学術政策プログラム博士課程修了
1998年入職

PERSON JSTの人

01 3種類の異なる業務を経験

 私の学生時代もそうでしたが、学生にとってJSTは研究支援のための機関というくらいにしか知られていないように思います。しかし私が経験してきた仕事を知っていただくと、さまざまな部署があり、業務内容も多岐に渡っていることがわかると思います。
 これまで経験した仕事は大きく3種類あります。最初の業務は学術論文のデータベース化。研究者・技術者の方々が使いやすいように、論文の抄録・索引を作る仕事で、私は学生時代の専攻である農学分野を担当しました。その後、文部科学省の科学技術政策研究所(現 科学技術・学術政策研究所)に出向し、ライフサイエンス・医療分野の研究開発動向調査に携わりました。行政官が政策を考える際、知っておくべき最新の研究開発動向を調査し、レポートを作成する仕事です。ここで2年間勤務し、2003年にJSTに帰任、ファンディングや日本全体の研究開発戦略の企画立案に携わりました。

02 若手研究者のためのファンディングに携わる

 JSTのファンディングにはさまざまなプログラムがあります。私がJSTに戻ってすぐ担当したのは「CREST」という国内トップクラスの研究者を代表としたチーム型研究の事業でした。現在は「さきがけ」という、将来有望な若手研究者個人を対象としたプログラムを担当しています。ファンディングに関する業務には、公募、選考、進捗管理、成果の広報や展開などがあります。行政と研究者をつなぐ役割を担っているので、両者の視点で考えることが必要です。資金は税金であり、それを社会に還元する仕事なので、客観的に、税金を使う意義があるかどうかを意識するようにしています。
 強く印象に残っている仕事の一つに、CRESTやさきがけを担当する若手職員が注目する研究者に「どうしたら科学者になれるか」を取材し、原稿をまとめ、書籍として出版するというプロジェクトがありました(『科学者になる方法 -第一線の研究者が語る-』(2005年、東京書籍))。私は後にiPS細胞を開発した山中伸弥先生の取材を担当しましたが、その後、先生が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された時にはとてもうれしく思いました。

03 どのようにキャリアを積んでいくかは自分次第

 このようにさまざまな仕事を手がけてきましたが、大切にしてきたのは、自分ならどうするかという主体性を持ち考え行動すること、どうしたら関係者の共感を得て進められるかを意識すること、そして適度なサービス精神を持つことです。
 JSTは、仕事をしていれば何かの専門家になれるという類いの組織ではありません。でも、自分がこういう方向でキャリアを積みたいという意思があれば、そのきっかけとなる情報や人脈はたくさん存在しています。私の場合、ファンディング事業の現場での経験をきっかけに、科学技術政策をもう少しマクロな視点から勉強してみたくなったので、JSTの国内長期留学制度を利用して、働きながら社会人大学院生として学び、博士号(公共政策分析)を取得しました。またプライベートでは、数年前に産休・育休を取得しました。JSTでは産休・育休などの制度も充実していてワークライフバランスがとりやすい組織だと思います。今は仕事と育児で手一杯で研究は中断していますが、将来は自分の研究も続けてみたいと考えています。

1日のスケジュール

9:00 メールチェック、問い合わせ対応
10:00 部内打ち合わせ(研究機関との研究契約に関するものなど)
11:00 募集・選考に関する各種調整、資料作成
12:00 昼休み
13:00 外出、文部科学省で行われる会議へ参加
16:00 研究者から提出された応募資料の確認、問い合わせ対応
17:30 保育園のお迎えがあるので、基本的には定時退勤
※所属部署および掲載内容は取材当時のものです
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