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水のエコシステムで、安全な水と衛生的なトイレを

 私たちの生活に欠かせない「水」は、食料,衛生環境,健康状態に深く関係しており,特に開発途上国に住む人々の健康状態を改善するためには、「水と衛生」の問題への取り組みは極めて重要です。しかし、サハラ砂漠の南側に位置するサヘル地域のブルキナファソでは、人口のおよそ半分の40%以上の人々が、安全な水を手に入れることが出来ず、衛生的なトイレにもアクセスできないでいます。また、農村部では適切な衛生施設を利用出来る人は1%にも満たず、下痢症などの伝染病が引き起こされ、多くの命が失われています。しかし、ブルキナファソをはじめ多くのアフリカ諸国では、衛生的なトイレに対する重要性や、そのニーズがなかなか認識されていません。
このような状況の下、ひとつのプロジェクトが始動しました。

船水 尚行日本側研究代表者名: 船水 尚行北海道大学大学院教授

北海道大学出身。同大学環境衛生工学水環境施設工学教授。研究トピックは、水分離・分散型排水処理とバイオトイレ。持続可能なサニテーションシステムの開発と水循環系への導入の研究を進めている。

Amadou Hama MAIGAブルキナファソ側研究代表者名: Amadou Hama MAIGA国際水環境学院(2iE)教授

マリ生まれ。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(スイス)出身。国際水環境学院副学長、教授。上水道・衛生・水資源管理・環境などを専門としている。

日本

日本国側の視点

■世界的な「水と衛生」問題の解決を目指して
日本発の大小の分散型バイオトイレや雑排水処理の研究を発展させることで、世界的な「水と衛生」問題の解決を目指します。
日本の将来の社会・経済状況の変化(高齢化・過疎化・中央政府や地方自治体の財政難等)に伴い上下水道の整備・維持管理が難しくなる中で、「循環型社会の形成」「パイプネットワークに依存しない水システム構築」への貢献を目指します。


ペルー

途上国側の視点

■安全な水を手に入れる為に
ブルキナファソでは降雨量の減少や干ばつの長期化等の環境問題の影響を受けています。安全な水を手に入れられない人々が人口の半数ほどいることに加え、農村部では、1%ほどしか適切な衛生施設を利用することができません。人々は、これによる健康被害を多く被っています。


プロジェクト概要

 現地の生活様式にあわせた水システムを構築し、トイレの大小から土、肥料、灌漑用水を生み出し、結果、農作物生産性(MDGs(注釈1)への貢献)と水・衛生環境の向上を図ります。農村モデルと都市モデル双方の構築に取り組んでいますが、今回は、農村モデルを取り上げて、プロジェクトを説明していきます。
 基本的には、大と小を混ぜずに分離させておくことで、用途に合わせて再利用します。
また、日本でも長い間利用され続けている、し尿を利用した農業技術を利用することで、肥えた土壌で青々とした野菜が育ち、農村地域の経済効果を上げることにもつながるのです。つまりこれは、日本が昔から持っている「し尿の価値を認める文化」を再構築すると同時に、世界・日本にお金をかけない新しい技術を提供するプロジェクトです。
(上下水道が1950-70年に爆発的に普及する前の日本では、汲み取り式トイレが一般的で、バキュームカーでし尿を収集・処理し、畑で使っていました。)

(注釈1)MDGs=ミレニアム開発目標:「2015年までに世界の貧困を半減する」ことなどを目指す、期限付きの8つの目標

レップスくん×プロジェクトインタビュー

レップスくん

なぜ、ブルキナファソでのバイオトイレの研究を行うようになったのですか?

船水先生

私が育ち親しんだ、北海道の未来を考えたことから始まりました。
年々人口が減り、過疎化が進み、財政が年々厳しくなっていく北海道は、今後おそらく水道事業が衰退していくと思われます。その前に、私のような研究者にできることとして、既にお金や水資源の少ないアフリカでの研究を進めることは、北海道の未来、日本の未来に大きく貢献するだろうと思ったのがきっかけです。

トイレをもたない現地の人はどのように用をたしているのですか?

船水先生

サヘル地域野に直接、用をたしています。
乾燥しているサヘル地域の農村では、野に直接用をたしても、すぐに乾き、においも発しなくなるので、現地の人々はトイレの必要性を感じていないようです。しかし実際には、その中に潜む寄生虫は3か月近くも生き続けます。それらは風で飛び散ったり、土に染み込むなどして、結果、現地の人々の様々な病気の原因となっているのです。

コンポストの中で分解に欠かせない、微生物はどう入手するのですか?

船水先生

適度な空気を与えれば、微生物は自然に発生します。つまりタダです!

どのようにプロジェクトを進めていますか?

船水先生

トイレで用をたす習慣のない彼らがまず、トイレを持ちたいと思うにはどうすればよいか、という視点から考え始めました。そこで行き着いたのは、必要性を感じてもらうために、トイレのデモンストレーションを行うことです。さらに、トイレで抽出した大小を基に、実際に畑をつくってみせます。

このプロジェクトによる経済的効果はどのくらいですか?

船水先生

農作物ブルキナファソで農業のために購入する化学肥料は日本と同じ値段で、彼らにすればとても高額です。このプロジェクトを導入すれば、購入する化学肥料の量は1/2に減るため、農家の人々の暮らしは楽になります。

共同開発である意義は何ですか?

船水先生

そのままの答えになりますが、同時に、共同で開発を行うことに一番の意義があります。現状に差はあれど、世界的に共通の課題を抱えることが見込まれる物事に対して、先行して研究ができることだと思います。

今後はどのように進めていく予定ですか?

船水先生

デモンストレーションを終え、試験的に現地の数世帯にトイレを導入、実証実験を行う予定です。
課題としては、塩害を防ぐことや、排せつ物に含まれる生活者が摂取した薬の成分をどう分解するか、といったことです。こだわり続けたいのは、現地の文化や生き方をなるべく変えずに仕組みを導入し、衛生状態の改善、収益の増加に繋げていくことです。


レップスくん豆知識

ブルキナファソでは、人間が出した排泄物には悪霊が存在するという言い伝えがあるんだよ。だから絶対に家の中にトイレを持つことはないんだ。 今回のプロジェクトでもトイレを敷居内に作ることはなく、現地の文化に寄り添ったものになっているんだ。



環境・エネルギー(地球規模の環境課題)

アフリカサヘル地域の持続可能な水・衛生システム開発

研究課題HP

研究代表者(所属機関) 船水 尚行(北海道大学 大学院工学研究科 教授)
国内共同研究機関 東京大学、高知工科大学
採択年度 平成21年度(2009年度)
研究期間 5年間
相手国名 ブルキナファソ
相手国研究機関 国際水環境学院

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