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【アートな科学015】  〜JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します〜

原子のさざ波が描く時空間模様

無断使用を禁ず

【解説】

カラフルで立体的なグラフは、分子の中を動き回る原子の波の形状です。

原子の波とはなんでしょう?原子は原子核を中心に電子が回っている粒子ではないの?

原子や電子、光(光子)などあらゆるものは、
粒子であると同時に波でもあるという、一見矛盾した性質を持っています。
(電波や音波などは、波の性質を理解しやすいかと思います。)

グラフは、10兆分の1秒の間だけ光るレーザー(レーザーパルス)を2発、ヨウ素の分子に照射して、
2億分の1ミリの極微小な空間を特殊な手法で観察し、分子内の時間変化をとらえたものです。
レーザー光のエネルギーを吸収した2個の原子の波が
互いにぶつかって、美しいカーペットのような時空間の模様を描きました。

照射するレーザーパルスの間隔を、研究チームが開発した装置で更に細かな精度で調節すれば、
原子の波を自在に変化させ、さまざまなカーペット模様をデザインすることができます。

このように、原子や分子が持つ波の性質を特殊なレーザー光で操作すると、
ナノテクノロジー技術を1000倍も上回る史上最高の精密加工を行うことができます。

研究チームは、電子や原子の波を光で観察し制御する研究を進めており、
今後、粒子と波の二重性を解き明かす検証実験や分子コンピューターの開発、
あるいはナノテクを超える精度で物質内の化学結合を操作する未知の量子テクノロジーの開発への寄与が期待されます。

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【課題名・研究者名】
文部科学省 光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発事業
最先端の光の創成を目指したネットワーク研究拠点プログラム
課題名「融合光新創生ネットワーク(c-phost)」
拠点責任者:兒玉了祐(大阪大学 大学院工学研究科 光科学センター 教授)
参画機関責任者:大森賢治(自然科学研究機構 分子科学研究所 教授) *当課題は、大阪大学を中核機関とし、自然科学研究機構は再委託機関にあたります。
*本事業は文部科学省からの受託事業として実施しております。

【作成者】
大森 賢治(自然科学研究機構 分子科学研究所 教授)