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アートな科学

【アートな科学012】  ~JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します~

ジュエリー・バイオテンプレート


無断使用を禁ず

【解説】

トカゲの仲間には、ネコのような縦長の瞳孔を持つ種類がいます。
彼らの妖しく輝く瞳の虹彩を見たことがありますか?
きっと不思議な魅力に引き込まれてしまうでしょう。

この画像の美しい目。縦長の瞳孔は見えませんが、どんな生き物なのでしょう?
実は、隠れているのは爬虫類ではないのです。

美しい模様が刻まれたガラス質の殻に覆われ、
水中の宝石とも呼ばれる珪藻(ケイソウ・単細胞性の藻類)をニッケルでめっき加工したものです。
ニッケルは優れた柔軟性のある物質で、素材により密着します。
細かな装飾にニッケルが入り込んで独特の色と形を生みだしています。

生き物の複雑な構造を金属や半導体などいろいろな素材に置き換えた鋳型(テンプレート)をバイオテンプレートといいます。
生き物のかたちを写し取ることで、人工的には作り出すのが困難な微細な三次元構造を、簡単に再現することができます。
研究者は、自然界の構造から、いろいろな使い道を思い浮かべます。

プロジェクトでは、さまざまなテンプレートを利用した画期的な方法論による、新しい機能材料の開発をめざしています。

【JST課題名・研究者名】
戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究 ERATO
彌田超集積材料プロジェクト
研究総括:彌田 智一 教授(東京工業大学資源化学研究所)

撮影者:鎌田 香織 グループリーダー(東京工業大学)