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【アートな科学004】  〜JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します〜

廃熱から発電するナノスケール文様の美

ナノスケール文様

【解説】

迷路のように見えるけど、どこもかしこも行き止まり。
指紋にもありそうな模様ですが、やや途切れ途切れ。
顕微鏡を通して見た細菌にしては、散らばり具合が不自然です。

和柄の文様にも似て、風呂敷にして持ち歩きたいような趣があります。
この不思議な模様は、何の画像なのでしょうか?

実は、シリコン(珪素)にクロムという金属を混合したものを熱して溶かし、急冷してできた構造なのです。シリコン(Si)と二珪化クロム(CrSi2)という2種類の結晶が複雑に入り組んだ「共晶」と呼ばれる組織を形づくっています。

画像は、このような20〜30ナノメートル幅の共晶を電子顕微鏡で撮影した5枚の写真に色をつけ、組み合わせています。結晶ができる際のわずかな条件の違いが、しま模様やマダラなど、どこか懐かしく不思議な模様をつくり出しました。

シリコンは、ナノ(100万分の1ミリ)レベルの構造体にすると熱が伝わりにくい性質を持ち、熱を電気に変換する電子材料として使えるようになります。Si-CrSi2の共晶も、熱電素子としての性能が高いことが分かりました。
廃熱から電気エネルギーを取り出す研究の進展に期待がかかります。

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【JST課題名・研究者名】
戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発 ALCA
「耐熱材料・鉄鋼リサイクル高性能材料」技術領域
技術テーマ「革新的次世代高性能磁石創製の指針構築」
研究開発課題「ナノスケール構造制御による高効率シリコン熱電材料の開発」
研究代表者:山中 伸介 教授(大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)

撮影者:山中 伸介 教授、黒崎 健 准教授、牟田 浩明 助教、大石 佑治 助教、宮崎 吉宣 特任研究員(大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)