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【アートな科学003】  〜JSTの研究開発課題の中の美しい1枚をご紹介します〜

数学が彩る3次元アニメーション

【解説】
青い空にぽっかり浮かんだ雲をながめていると、だんだん動物や食べ物のように見えてくる経験は、誰にもあることです。「ウサギにそっくりな雲が浮かんでいたら」なんて空想をしたこともあるのでは?

上では、まさに雲でできたウサギが大空を飛んでいます。
こんな場面に遭遇できるなんて、撮影者は幸運の持ち主!

と、お伝えしたいところですが、これは偶然の自然現象をとらえた画像ではありません。
現実の空の雲は加工できませんが、3次元コンピュータ・グラフィックス(CG)の世界でなら思い通りの造形が可能なのです。

この作品では、うさぎのシルエットを使ってリアルな雲をつくりました。三枚の画像は、アニメーションからの抜粋です。いくつかの雲が生まれ、しばらくしてまとまってウサギ雲になり、そして消えてゆくさまが描かれています。

水、雲、炎など形が定まらないもの(流体)の動きは、シミュレーション技術である程度の予測ができますが、途中経過としての形 (雲の場合はその密度分布)を詳しく描くのは大変困難です。
そこで、雲の発生過程におこる物理現象をコンピュータシミュレーションで再現しつつ、雲の分布を自由に制御できる手法を開発しました。雲の密度は、地面の熱源と大気中の水蒸気の分布によって大きく変わります。開発した手法では、逆算することでこれらの分布を自動的に調整して、指定された雲の形状をつくり出すことができるようになりました。
最新の数学を取り入れたCG技術は、映像のリアリティと作り手の意図や演出効果の両立により新たな可能性を生みだし、さまざまな分野に応用されつつあります。

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【JST課題名・研究者名】
戦略的創造研究推進事業 CREST
研究課題名:
「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」研究領域
研究課題名「デジタル映像数学の構築と表現技術の革新」
研究代表者:安生 健一(株式会社オー・エル・エム・デジタル 研究開発部門)

撮影者:土橋 宜典 准教授(北海道大学大学院 情報科学研究科 メディアネットワーク専攻)