関口細胞外環境プロジェクト

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総括責任者 関口 清俊
(大阪大学 蛋白質研究所 教授)
研究期間 2000年10月~2005年9月

私たちの身体を構成する細胞は、周囲の細胞外マトリックスと呼ばれる構造物との相互作用を通じて、その運命や挙動を決めています。本プロジェクトでは、細胞ごとに最適化された細胞外マトリックスの分子的実体を解明し、それを生体外で再構築するための基盤づくりを目指しました。その結果、トランスリプトーム情報を活用して細胞外マトリックス蛋白質を網羅的に探索する方法を初めて確立し、40を超える新規細胞外マトリックス蛋白質を同定しました。また、細胞外マトリックスの中核となる基底膜に着目し、ほぼすべての基底膜蛋白質の生体内局在部位を網羅的に解析して、その結果が高解像度の免疫組織染色画像のまま閲覧できる世界初のデータベースを構築しました。さらに、細胞外マトリックスを構成する蛋白質の総体を表す”マトリオーム”と概念を提唱し、細胞外環境設計に基づく新しい細胞制御研究の領域を開拓しました。

成果

新規細胞外マトリックス蛋白質の網羅的スクリーニング法の開発

 バイオインフォマティクスによる候補クローンの絞り込みと組換え蛋白質の発現および機能解析を組み合わせて、新規細胞外マトリックス蛋白質を網羅的に探索する方法を確立した。この方法を理化学研究所で収集している10万を超えるマウス完全長cDNAに適用し、40を超える新規細胞外マトリックス蛋白質を同定することに成功した。

基底膜ボディマップデータベースの構築

 新規に同定された蛋白質を含めて、これまでに同定された53の基底膜蛋白質のほぼすべての生体内局在部位をマウス胎児および成体組織を用いて網羅的に解析し、細胞ごとにカスタマイズされた基底膜の分子的実体を解明した。さらに、得られた免疫組織染色標本を高解像度の画像として閲覧できる世界初の“基底膜ボディーマップ”データベースを構築し、ウェブ上で公開した。

器官形成時の発現が誘導される新規基底膜蛋白質の発見

 毛包形成時に発現する蛋白質を改良cDNAサブトラクション法を用いて検索し、インテグリン結合活性を有する2つの新規基底膜蛋白質(QBRICKとMAEG)を発見した。これらの蛋白質の毛包での発現部位は互いに相補的で、他の基底膜蛋白質の発現も明確な部位特異性を持つことが免疫組織化学的解析から明らかとなった。

人工基底膜の大量産生法の開発

 基底膜成分を大量産生する複数の腫瘍細胞の遺伝子発現プロファイルを解析し、これらが壁側内胚葉の性質を示すことを明らかにした。壁側内胚葉細胞において基底膜大量産生を誘導する遺伝子発現制御機構を解明した。これらの成果を踏まえ、相同組換え技術を利用して壁側内胚葉様細胞に任意の基底膜蛋白質を大量発現させる技術を開発した。

研究成果

評価・追跡調査