永山たん白集積プロジェクト

nagayama_portrait

総括責任者 永山 国昭
(東京大学教養学部 教授)
研究期間 1990年10月~1995年9月

たん白質は、生命の基本物質として生体構造の組み立てと活動機能の両方に役立っています。たん白質はお互いに相手を認識し、自律的に集合し、大きな構造体を作り上げます。生物が持つこのすぐれたモノ作りの原理を「人間の工学」に応用する研究を進めました。その結果、”たん白質の自己集積化技術”に関して新しい展望が開けました。具体的にはi)超分子(複合蛋白質)の作成、ii)たん白質2次元集積体および微粒子2次元集積体の作成、iii)たん白質の凝集制御に新しい方法を見出しました。また固体、液体表面の微粒子集積、簿膜作成の新しいその場観察法を開発しました。
たん白質や微粒子を2次元的に集積し、結晶的構造体を作るには「液体薄膜」という作業空間がすぐれていること、この発見がプロジェクト最大のメッセージです。

成果

超分子=複合たん白質の作成

糖鎖-レクチン様結合による超分子構築を超分子設計に応用。たん白質表面にシスティン基を導入し、対称的たん白質多量体を作成。融合たん白質遺伝子の発現によるジュズつなぎの多量体たん白質を作成。

2次元集積体の作成原理

「液体薄膜」中での新しい集積メカニズムを発見。Ⅰ)移流集積:コロイド懸濁液の膜の蒸発固体を制御。Ⅱ)横毛管力:水の表面張力による粒子の最密充填。Ⅲ)ぬれ膜(wettingfilm)展開:薄い安定な液体膜を作る方法。

プロテオリポソームの作成

リポソームをテンプレートとして静電結合、生物的結合を用いてウィルス様巨大たん白質複合体を作成。

測定装置の開発

薄膜に関する新しい計測法を開発。カラーエリプソスコープ、たん白質1分子機能アッセイ、自由膜膜厚測定、ぬれ角測定。

2次元集積体の作成法

たん白質をはじめとする微粒子薄膜の作成法。水銀表面展開法、グルコース液表面展開法、連続引き上げ法、掃引法、セッケン膜法、非晶質膜法、2次膜法。

たん白集積のコンピュータシミュレーションの開発

ポーカチップモデル、立方格子上の最安定クラスター探策プログラム、静電相互作用による3次元結晶安定化プログラム、2次元結晶分子動力学プログラム。

graph1

▲粒子が流動薄膜中で液体の流れにのって自律的に集積する移流集積。

graph2

▲移流集積によるフェリチンたん白質の二つの結晶形。

研究成果