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吉里再生機構プロジェクト
総括責任者 吉里 勝利
(広島大)
研究期間 1992年10月〜1997年9月
 
研究成果の概要
 動物の体には、損傷を受けた部分を再生したり、新しい環境に対応して変態したりする能力があります。本プロジェクトは、再生・変態を動物の姿・形の再構築としてとらえ、細胞外マトリックスと呼ばれる物質の役割に焦点を当てながら、動物のもつ高次な組織形成の機構を解明し、さらに組織・器官を人工的に再構築する技術の探索を行いました。
 研究では、カエル幼生の組織構造転換やイモリの四肢再生に関わる遺伝子群の解明、肝臓の幹細胞や毛パピラ細胞の培養法の確立、インスリン分泌性人工皮膚による糖尿病マウスの実験的治療、組織タンパク質を網羅的に記載したデータベースの作成などの成果が得られました。これらの成果を踏まえて、人工臓器や動物代替法に関するバイオテクノロジーの開発や損傷した体を元通りに復元する医療技術の発展に、新たな展開をもたらすことができました。

成果
カエル幼生の組織構造転換に関わる遺伝子群の探索
 ビタミンD依存性カルシウム結合タンパク質、6-ホスホフラクト-2-キナーゼ / フラクトース-2,6-ビスホスファターゼ、タウタンパク質、ケラチン、未知の遺伝子(HLRP)などがカエル幼生の組織構造転換に関与していることを証明しました。これらの遺伝子は、組織の部位及び甲状腺ホルモンの濃度に依存的に発現が調節されていました。

イモリ四肢再生に関わる遺伝子群の探索
 マトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子群を再生肢より初めてクローニングし、その構造と再生肢における組織分布ならびに分泌様式を解明しました。ディファレンシャルディスプレー法によって、再生に関わる新しい遺伝子(K22,K214)の単離に成功しました。また、ソニックヘッジホグ遺伝子が再生肢の前後軸決定に関与していることを明らかにしました。

肝臓の幹細胞の培養法の開発
 ラット成体肝から分離した幹細胞と思われる小型肝細胞を増殖させる方法を開発しました。この細胞が成熟肝細胞と肝管細胞の二方向に分化する能力を持つことを証明しました。また、増殖因子と細胞外マトリックス成分が協調的に働くことによって、小型肝細胞の増殖と分化が調節されていることが分かりました。

新たな肝細胞増殖因子の発
 Swiss 3T3 細胞に由来する新たな肝細胞増殖因子(プレイオトロフィン)を発見しました。このタンパク質は小型肝細胞、成熟肝細胞のいずれに対しても高い増殖効果を示しました。

毛パピラ細胞に特異的な遺伝子の探索
 これまで困難とされてきた毛パピラ細胞の長期継代培養法を確立しました。この細胞を用いて毛パピラ細胞特異的に発現する遺伝子(ALP,C15)を見つけることに成功しました。また、パピラ細胞のプロテオーム解析を行っておよそ150種におよぶタンパク質を同定し、データベース化しました。

フィブロネクチンとコラーゲンの相互作用の解明
 線維芽細胞とコラーゲン線維との結合様式の研究から、フィブロネクチンが両者の結合に重要な働きをしていることが明らかになりました。フィブロネクチンがコラーゲンを認識する部位を特定したところ、全く新しいドメインであることが分かりました。

インスリン分泌性人工皮膚による糖尿病マウスの実験的治療
 インスリン遺伝子を導入した線維芽細胞を用いて人工的に皮膚を再構築しました。この人工皮膚を糖尿病を惹起させたヌードマウスに移植したところ、血糖値の低下と延命効果が確認されました。

組織タンパク質データベースの構築
 肝臓、線維芽細胞、毛パピラ細胞の全タンパク質を、二次元電気泳動、タンパク質分解酵素処理、高速液体クロマトグラフィー、タンパク質シーケンサー、飛行時間型質量分析器をもちいて分離・同定しデータベースを作成しました。また、新しいデータベース(プラクティカルデータベース)構築法を開発し、迅速かつ高精度に試料タンパク質の同定ができるようになりました。

通液性基質を用いた三次元培養法の開発
 外科手術ガーゼとコラーゲンを用いて、毛細血管の機能を代行する細網状の通液性三次元構造を持つ従来にない基質を開発しました。これに線維芽細胞を三次元的に培養して通液し、長時間にわたって良好な状態で維持することに成功しました。培養体は正常な結合組織様の構造をとっていることが分かりました。

graph1
▲▲細胞外マトリックスがもつ形態情報と細胞
コラーゲンやプロテオグリカン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスは細胞と情報のやりとりをしていると考えられる。

graph2
▲再生および変態
イモリの肢は切断しても元の形を再生する(左)。オタマジャクシはカエルへと変態する(右)。これらは姿・形の再構築である。

 
研究成果
一般の方向け
研究成果ビデオ
成果の概要
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