電子スピンの制御とフント則一般性の実証
電子数、磁場の関数として、人工原子中の2電子スピン状態(1重項と3重項、及び両者の縮退)を自在に制御することに成功した。これにより、高スピン状態に作用するフント第1則の一般性を実証した。また、その要因として、クーロン直接項と交換項の寄与を解き明かした。
伝導におけるパウリ則の実証と単一電子整流素子の提案
非対称2重ドットのスピン3重項状態を経由する単一電子トンネル電流が抑制される現象を発見した。これにより、伝導におけるパウリ効果を始めて実証した。この素子は量子力学的な単一電子整流器である。他に、非対称3重ドットを使って、古典的な単一電子整流器が実現できることを提案した。
新しい近藤効果の発見
人工原子の電子スピン状態、外部電極とのトンネル結合を厳密に制御することによりスピン1重項-3重項縮退による近藤効果増強、ユニタリ極限の近藤効果、非平衡系の近藤効果など、数々の新しいタイプの近藤効果を発見した。これにより、人工原子の近藤物理の研究分野を開拓した。
単一電子スピン量子ビットの有用性の実証
量子ドット中の単一電子スピンのゼーマン制御、及びゼーマン分離エネルギーの差を利用した単一電子スピンの判別(スピンの上向きと下向き)に始めて成功した。これにより、電子スピン量子計算の課題とされていた「結果の読み出し」の問題を解決した。
人工分子の分子的軌道状態の実証
新しいトンネル結合2重ドットを開発し、電子軌道の混成に依存した結合度の変化、ドット間の対称-非対称性に合わせた電子の非局在-局在の変化を観測した。これにより、人工分子の分子的性質を実証することができた。この結果は、また、量子計算への応用の有用性を裏付ける。
自己形成ドット単一電子素子の開発と電子状態の解明
自己形成ドットを内包する単一電子トランジスタを開発した。これを用いて個々のドットの単一電子トンネル分光を行ない、強い量子閉じ込めや大きい帯電エネルギー、また、電子状態の明瞭な殻構造などの特徴を抽出した。これにより、単一電子-光子変換素子や量子ビットへの応用の指針を得た。
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