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難波プロトニックナノマシンプロジェクト
総括責任者 難波 啓一
(大阪大学大学院生命機能研究科 教授)
(平成14年3月まで:松下電器産業(株)先端技術研究所 リサーチディレクター)
研究期間 1997年10月〜2002年9月
 
研究成果の概要
 細菌の運動機関であるべん毛は、20数種類の蛋白質からなる分子機械で、細胞壁にあるモーターがプロトンの流れをエネルギーとして、菌体外に長く伸びたらせん型スクリューであるべん毛繊維を回転させて推進力を発生させている。
 研究により、フックやべん毛繊維を構成している蛋白質の構造を原子レベルで解明しました。この構造を基にべん毛がそのらせん形態を変える時に原子1個の精度で働くスイッチ機構や、柔らかく曲がるがねじれには強いフックの仕組みを解明しました。電子顕微鏡本体の改良と画像処理ソフトウエアの改良で4Åの分解能を達成し、べん毛蛋白質の重合部を解明し、またべん毛尖端部の構造を明らかにし、キャップと呼ばれる部品がべん毛が自己構築されるのを助ける様子を解明しました。さらに、べん毛モータの回転計測を行い、回転角速度のゆらぎを観測できました。

成果
べん毛蛋白質の大量発現と精製法の確立
 べん毛繊維だけでなく、膜蛋白質であるMotA/B等多くのべん毛関連蛋白質の大量発現系の構築に成功し、さらに新しい精製法を開発することによりX線や電子顕微鏡による解析への道を開いた。

べん毛軸構成蛋白質の結晶化とX線による構造解明
 べん毛軸構成蛋白質から、両末端の重合構造安定化領域を同定、除去することにより6種類の蛋白質の結晶化に成功し、内3種類のものについてX線による原子レベルでの構造解析に成功した。

べん毛のらせん形態変換機構の解明
 構造解析で得られたフラジェリンの原子モデルに基づき、べん毛のらせん形態を変えるための高精度のスイッチ機構とその分子内での場所を解明した。蛋白質のしなやかで高精度なナノマシンの設計原理の一端を明らかにした。

べん毛構造の電子顕微鏡による観察
 様々な画像解析アルゴリズムの開発により電子顕微鏡によって世界最高の4Å分解能を達成し、べん毛繊維の構造解析を行い、X線構造解析では除去したために見ることのできなかったフラジェリン両末端の構造安定化の機構を解明した。

べん毛繊維の成長機構解明
 電子顕微鏡の画像の新しい解析方法を開発し、べん毛尖端の構造を解明した。5量体のキャップがその5本足でべん毛の螺旋階段を上がるようにして歩き、フラジェリンが重合しべん毛繊維が成長するのを助ける仕組みを明らかにした。

べん毛モーターの回転計測
 高い空間・時間分解能を持つ蛍光ナノ顕微光学システムを開発し、べん毛モータの回転を計測し、回転角速度の速いゆらぎの幅が平均角速度の数十%にも達することを見出した。

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▲細胞のエネルギー変換機構におけるプロトンの流れと役割

 
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