電界による原子の蒸発と移動 (理論)
STM探針と試料表面間における電界による原子授受のシミュレーション。
研究成果の概要
走査型トンネル顕微鏡(STM)は、鋭い探針で物質表面をなぞるようにして、その構造を原子スケールで観測することを可能にしたが、探針と表面の間に強い電界を与えると、表面の原子を引き抜くことができる。しかし、そのメカニズムはいまだに明らかではない。これを理論的に解明するために、探針と表面を一体としたクラスター模型を作成し、強い電界の中で表面と探針との間で電子や原子はどのようにふるまうのかを分子軌道論を用いてシミュレーションをおこなった。
下図のように表面原子のポテンシャル・エネルギー面が電界の変化により大きく変化し、原子の脱離過程が明らかにされた。
成果展開可能なシーズ、用途等
分子軌道論を用いたクラスター模型は原子の断熱的なポテンシャル・エネルギー面を記述できる極めて厳密な計算方法であり、ナノ領域で生ずる化学反応をともなう現象のメカニズムの解明に役立つであろう。特に電極の近傍やSTM環境下で起こる分子の解離や生成過程をシミュレーションする事を可能にするだろう。計算規模の増大に伴い高速計算機の一層の発展が望まれるところである。
特許出願
- なし
報告書他
- M. Tsukada and M.Sawamura, Surf. Sci. 283 (1993) 182.
- M. Sawamura, M. Tsukada and M. Aono, Jpn. J. Appl. Phys. 32 (1993) 3257.
- M. Sawamura, S. Watanabe and M. Aono, submitted to Nanotech.
〔研究者名〕沢村 誠

図
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