プロジェクトへの関心と期待の高さを実感!:地元 川崎市長など市関係者への研究施設内覧会と,ライフサイエンスセミナー

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8月2日(水)に地元 川崎市の市長 阿部孝夫氏を始めとする川崎市の関係者や,プロジェクトのもう一つの研究サイトを置く英国の大使館関係者,マスコミ関係者がERATOの研究室と理研の研 究室を見学に訪れ,阿部市長には蛋白質結晶を作る実験にも挑戦していただきました.人数が多かったため見学は二手に分かれていただいたのですが,研究で一 番難しいステップはどこか,蛋白質の形を知ることと創薬やテーラーメード医療との関連は?,といった質問も飛び出し,関心と期待の高さを窺わせました.

実は内覧会の準備をしていた時に,一般の方に研究を身近に感じていただくにはどうすれば良いか,というところに頭を悩ませました.ミラクルフルーツ (これを食べるとレモンなどのような酸っぱい食べ物が甘く感じられる,という不思議な果物です.酸があると,フルーツに含まれているミラクリンという蛋白 質がヒトの味蕾にある甘味受容体の活性部位に結合して「甘い」という信号を送らせるのだそうです.)を試食していただいて生化学的な説明をする,という案 も出たのですが,話が込み入っているので断念.結局蛋白質結晶の作成に挑戦していただくことになりました.ホームページのデザインにも色々な種類の蛋白質 結晶を使っていますが,色々な形の結晶があって本当にきれいなものです.

引き続き行われた,第8回かわさきライフサイエンスネットワーク会議では,川崎市,理研の横浜研究所,JSTの共催で「~川崎発~最先端のタンパク 質研究の今」というセミナーが行われ,研究に協力していただいている理研 タンパク質構造・機能研究グループの横山 茂之 プロジェクトディレクターが「蛋白質研究の新展開」,当プロジェクトの岩田 想 研究総括が「ERATO岩田ヒト膜受容体構造プロジェクトについて」というタイトルでプレゼンテーションを行いました.岩田研究総括はアンジオテンシンと いうホルモンによる血圧調整を例に,膜受容体の立体構造を解析することが,いかに生活のクオリティー向上に役立つかを説明しましたが,企業関係者の参加が 多いセミナーであったこともあり,技術開発をターゲットにするプロジェクトなので,エンジニアリング関連を含め,色々な企業や大学の研究室との研究協力を 積極的に行っていきたい,という部分に関心が集まったようです.こうした研究協力からどんな新しい技術開発やブレークスルーが生まれるか,これからが楽し みです.岩田研究総括がセミナーの中で強調していた通り,いまの膜蛋白質構造解析が置かれている状況は,可溶性蛋白質の構造解析が,技術の開発に伴い解析 数を飛躍的にのばしていった時ととても似ています.このようにダイナミズムに満ちた時期に技術開発を目的とした私たちのようなプロジェクトを進めていくこ とができるというのは,幸運でありまたエキサイティングなことだと思います.