らせん型筒状分子の二重らせん階段

剛直な筒状構造をもつ分子が二重らせんを形成することを見いだしました.興味深いことに,右巻きのらせん構造をもった筒状分子は,左巻きの二重らせんを形成し,左巻きのらせん構造をもった筒状分子は,右巻きの二重らせんを形成しました.さらに筒状分子は,有機分子として史上最強となる強度の偏りをもった円偏光を発光しました.

笊状ナノカーボン分子の設計・合成

20枚のベンゼン環を五角形と六角形に組み合わせボウル状の分子を設計・合成しました.ベンゼンが形づくる多角形がナノカーボンの「孔」を模すことで,笊のような構造をしたナノカーボン分子が登場しました.さらに,この笊状分子は凹凸を重ねるように積み重なり,二量体を形成しました.湾曲構造を有するナノカーボン分子の新しい姿が見つかった研究です.

二輪型分子ベアリングの自発的・自己選別組み上げ

ダンベル状炭素分子を,二つの筒状分子内に配した「二輪型分子ベアリング」をつくり出しました.さらにその組み上げの際,筒状分子が,二つめに組み合わさる相手を自ら選ぶという「自己選別」現象が観測されました.筒状分子は,炭素と水素のみからできており,このような単純な化学組成でも複雑な分子認識が実現できることを明示した結果です.

有機化学・数学の連携によるベルト状分子の構造化学

カーボンナノチューブの部分構造となるベルト状分子の「堅さ」「柔らかさ」を解き明かしました.数学との連携により基礎となる構造化学の定式化,スペクトル分析による定量化を行ったものです.多くの研究者が挑んでいるベルト状分子の構造化学の発展に,基盤的知見を提供することと期待されます.

リチウムイオン電池の大容量負電極分子材料が誕生

炭素と水素を大環状分子に仕立て,「穴あきグラフェン分子」とも言える分子材料を設計・合成しました.この新分子材料は,従来の黒鉛電極を凌駕する高容量を実現し,充放電可能な全固体リチウム電池の負極材料に適していることを見いだしました.「穴」の設計により電極材料の開発が可能となることを期待させる成果です.

単層有機ELデバイスの革新材料を開発

「電子を運ぶ,正孔を運ぶ,電子と正孔を再結合させる,発光材に発光エネルギーを満たす,光る」.たった一つでこれら全ての機能を薄膜デバイス内で成し遂げられる分子を開発しました.それも炭素と水素のみからなる分子です.有機電子材料の設計を根底から単純化した成果であり,これから大きな潮流をなすことが期待されます.

カーボンナノチューブ分子の内部は「つるつる」

有限長カーボンナノチューブ分子の内部にフラーレン分子が取り込まれた超分子錯体(ピーポッド)の固体中分子構造を捉え,変曲点のない滑らかな極めて特徴的な曲面が存在することを明らかにしました.固体中でも内部のフラーレンが「くるくる」と回る要因であると考えられます.

カーボンナノチューブの長さの「ものさし」

有限の長さを持つカーボンナノチューブの長さの幾何学的指標(ものさし)を提案しました.一義的な分子構造をもつチューブ状炭素分子の長さを比較できるようにしたものです.さらにWeb上の「アプレット」を作製し,誰でも簡単に長さを測ることができるようにしています.

世界初:ジグザグ型カーボンナノチューブの化学合成

ジグザグ型カーボンナノチューブの、ボトムアップ化学合成に世界で初めて成功しました。2011年10月に発表した「らせん型」「アームチェア型」の有限長カーボンナノチューブに続き、最後に残っていた「ジグザグ型」有限長カーボンナノチューブのボトムアップ化学合成に成功したものです。

顔料からの有限長カーボンナノチューブ分子の合成に成功

顔料を原料とした有限長カーボンナノチューブ分子の製造法を開発しました。らせん型選択的合成法およびらせん型・アームチェア型の混合合成法の二種の手法の開発により、大量工業生産されている有機顔料を有限長カーボンナノチューブ分子へと変換する新製造法の開発に至ったものです。

「ナノサイズのコマ」回る!

独自に化学合成した有限長カーボンナノチューブに、化学修飾したフラーレンを詰め込むことで、世界最小のカーボンナノチューブベアリングをつくりだしました。ボトムアップ化学合成により精密な分子構造設計を実現し、それによりカーボンナノチューブベアリングを従前の分子1 個の観察の世界から、モル量という分子1023 個の量産型の世界にまで引き上げました。

最短カーボンナノチューブ光学活性体の化学合成に成功

右巻・左巻らせん型カーボンナノチューブ最短構造のボトムアップ化学合成に、世界で初めて成功しました。有機合成化学を駆使した手法により、6種類の最短カーボンナノチューブを合成し、それぞれの分離、完全構造決定に成功したものです。

Our Mission

研究総括 磯部 寛之 Isobe Hiroyuki

構造化学を基盤に豊富なπ電子系を空間配置・集積した機能性固体を設計することで新機能有機材料の開発を行い、「ポスト・ナノカーボン」に向けた革新的分子技術の創成を目指します。

News

2017/11/28
キラル筒状分子の右手と左手 〜二重らせん型集積と有機分子での最強円偏光発光〜
2017/11/15
藤野智子助教が「第一回国際核酸化学シンポジウム(ISNAC)若手優秀講演賞(大塚賞)」を受賞しました
2017/10/4
磯部縮退π集積プロジェクトの東京大学研究施設(建築築事務所設計)が2017年度グッドデザイン賞を受賞しました
2017/3/17
須田理行助教が「日本化学会平成28年度(第66回)進歩賞」を受賞しました
2017/2/3
磯部寛之教授が「第33回井上学術賞」を受賞しました
2017/2/3
池本晃喜助教が「第33回井上研究奨励賞」を受賞しました
2016/11/28
AIMResearch が研究紹介「カーボンナノチューブ:輪になった分子の特性を解明」
2016/11/17
二輪型分子ベアリングの自発的・自己選別組み上げ「相手を選んで自ら組み上がる」
2016/9/26
AIMResearch が研究紹介「リチウムイオン電池:「穴あきグラフェン分子」の負電極で大容量」
2016/9/26
ERATO研究推進主任を募集しています(終了しました)
2016/9/1
プロジェクト研究員を募集しています(終了しました)
2016/7/19
ERATO研究推進員を募集しています(終了しました)
2016/6/28
化学と数学でひもとくベルト状分子の構造 〜カーボンナノチューブとベルト状分子の接点は?〜
2016/6/25
AIMResearch が研究紹介「フォトニクス: 多機能分子で有機発光ダイオードの設計を単純化」
2016/5/13
「タンスの中」から「電池の中」へ 〜大環状有機分子から全固体リチウムイオン電池の大容量負電極が誕生〜
2016/4/1
磯部研究総括が東北大学名誉教授の称号を授与されました.
2016/4/1
磯部研究総括が東京大学大学院理学系研究科教授に就任しました.
2016/3/26
磯部寛之教授が「日本化学会 平成27年度(第33回)学術賞」を受賞しました.
2016/1/20
「東北大学AIMR磯部研究室」の設計により望月公紀氏・市川竜吾氏が「AICA施工例コンテスト2015」優秀賞を受賞
2015/11/5
近未来の照明のかたち:「さっと一吹き、できあがり」
2015/9/11
有田亮太郎グループリーダーが第19回久保亮五記念賞を受賞しました.
2015/4/7
佐藤宗太准教授が平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました.
2015/3/2
「ナノサイズのコマ」も「歳差運動」と「自転運動」の二種で回る
2015/1/29
磯部寛之教授が2015年1月台湾国立台北科技大学の栄誉国際講座教授に就任しました
2014/10/14
伸長型有限長カーボンナノチューブ分子を用い分子ピーポッドの熱力学・分子構造の相関を解明
2014/10/1
磯部縮退π集積プロジェクト研究施設(建築築事務所設計)が2014年度グッドデザイン賞を受賞しました
2014/9/29
シクロメタフェニレンのワンポット新合成法とOLEDデバイス材料としての活用を報告
2014/9/2
佐藤宗太准教授が平成26年度錯体化学会研究奨励賞を受賞しました
学会サイト
2014/5/27
有限長カーボンナノチューブ分子とフラーレンとの超分子錯体(ピーポッド)の固体構造を解明
2014/1/22
有限長カーボンナノチューブ分子の「ものさし」アプレットを公開
2014/1/22
有限長カーボンナノチューブ分子の「ものさし」となる幾何学的指標を提案
2013/12/25
ERATO磯部縮退π集積プロジェクトのホームページを開設しました