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研究成果の意義と将来性
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3.1 分子カイロモルフォロジーグループにおける成果
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| 固体状態のキラリティーを正確に測定するための必須の装置として、巨視的な異方性をもつ試料の真の円二色性 (CD)スペクトルを得ることのできる新しい円二色性分光計、Universal Chiroptical Spectrometer (UCS) の開発を行った。第1世代であるUCS-1を用いて、蛋白質BSAのキャストフィルムについて真のCDスペクトルの測定に初めて成功し、BSA はキャスト化しても元の二次構造を保持するという事実を新たに発見し、従来の説を覆した。また第2世代であるUCS-2を用い、β-アミロイド蛋白質の構成ペプチドの二次構造が、溶液からキャストフィルムへの相転移において、α-ヘリックスから β-シートに変化することを発見し、今後のアルツハイマー病進行の機構解明にも大いに貢献するものと期待されている。 |
| また、ビナフトールとキノン化合物の結晶を乳鉢で共にすり合わせた場合にできる電荷移動付加体において、分子が結晶相で拡散組替することで新しい結晶が形成される現象を発見し、これに伴う機構を明らかにし、さらに固体状態結晶化におけるキラリティー転移の機構を明らかにした。その他、結晶状態光反応において高い光学純度をもつキラル生成物が得られる新たな系を見いだした他、ポルフィリン誘導体のキラル会合体の構造が添加されるキラルアミンのキラリティーによって制御される事など、興味深い現象を新たな実験系を構築することで発見している。さらに、種々のキラルアミノアルコールを構築材とした金属超分子化学の研究では、二核金属錯体が異常なCDスペクトルを示すことを見出し、これは異なった核に配位した発色団間の励起子相互作用によることを明らかにした。またこれらに加え、超分子結晶場におけるキラルポケットを用いることにより、特定のキラリティーをもつ脂肪族アルコール分子が優先的に取り込まれる系を新たに見出した。 |
| これらの様々な現象を新たに発見した事に加え、特に上記の新規万能型キラル光学分光計を開発した事は、これが今後の分子キラリティーに関する様々な研究分野にとって有力なツールになり得、また生物学的分野への応用も期待できるという点で、多大な貢献があると評価できる。 |
3.2 生物カイロモルフォロジーグループにおける成果
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| Lymnaea stagnalisをモデル動物とし、その左巻き・右巻き両系統を入手し、それぞれを効果的に飼育して系統を維持し、恒常的に卵を得る系の開発に成功した。左右両系統の戻し交配系統を充分量確保し、実際に遺伝学的に右巻きが左巻きよりも優性であり、この遺伝子座が母性遺伝的に働くことによって卵割様式が決定されることを確認した。また、右巻き系統の細胞質を左巻き系統の卵に顕微注入し、第3卵割におけるキラリティーを解析する実験系について、様々な条件検討を行った。 |
| さらに、分裂期の紡錘体の傾き(SI)と割球の形態変化(SD)について、右巻き・左巻き両系統の第三卵割の時期に着目し抗チューブリンモノクローナル抗体と蛍光ファロイジンで標識することで、それぞれ細胞分裂装置とアクチン細胞骨格を可視化し、SIとSDが左巻き胚には無く、右巻き胚にのみ見られることを発見した。そこでアクチン重合阻害剤を用いて右巻き系統の胚における割球の形態変化を第三卵割中期に阻害する実験により、割球の形態変化が、右巻き系統の第三卵割における紡錘体の時計回りの傾斜が生ずるために必須であることを示唆する結果を得ている。また様々な問題点を克服し、細胞質移植については若干課題を残すものの、卵への物質顕微注入による候補因子のバイオアッセイ系を確立した。さらに候補遺伝子が巻型決定遺伝子であるか否かの判定を、表現型と遺伝学的に連鎖するかどうかで迅速に評価するF2パネル法も開発した。 |
| その他、左右性決定因子の同定やその遺伝子クローニングの試みとして、二次元電気泳動による右巻き・左巻きそれぞれに特異的な蛋白質の同定や、左右両系統の遺伝子ライブラリーを基にしたサブトラクティブ・ハイブリダイゼーション法等行い、いくつかの候補を得つつある。 |
| これら二つのサブプロジェクトを統合する知見としては明確なものは示されなかったものの、広く応用可能な解析手法を開発した点で、本プロジェクトの目標へ向かう方向性として、一定の評価は可能である。 |
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