JST > 戦略的創造研究推進事業 > ERATO
ERATO
Exploratory Research for Advanced Technology 
戦略的創造研究推進事業(総括実施型研究)
創造科学犠実推進事業
TOP お問い合わせ サイトマップ English
HOME ERATOとは 研究プロジェクト 中間・事後評価 募集について
HOME > 評価 > 創造科学技術推進事業における研究プロジェクトの事後評価について > 大津局在フォトンプロジェクト事後評価報告書
大津局在フォトンプロジェクト事後評価報告書
過去のお知らせはこちら
総括責任者 大津 元一(東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授)
研究体制: 理論・解析グループ 研究員 小林 潔 他2名
ナノ・フォトニクスグループ 研究員 川添 忠 他4名
アトム・フォトニクスグループ 研究員 戸塚 弘毅 他1名
評価委員 北野 正雄 京都大学大学院工学研究科 教授
塚田 捷 東京大学大学院理学系研究科 教授
Oliver J.F. Martin ETH at Lausanne, Switzerland, Professor

 

1. 研究の内容
 本プロジェクトは近接場光学の特徴である、回折限界の制約を受けない高空間分解能を最大限に生かして、サブミクロンからナノメータ領域における新しい光のテクノロジーを開拓してきた.全体として、多くの充実した研究成果が得られたが、その中の少なからぬものは近接場光学の科学技術における革新的な知見と基盤技術の開発に寄与するものである。独創的なアイデアによって、ナノフォトニクスおよびアトムフォトニクスという未踏な領域の研究を開拓したことは、印象的である。前者は近接場光を媒介として、ナノスケールの光デバイスを生成し、動作させる原理と技術であり、後者は近接場光を用いた原子操作技術であり、いずれも光をもちいたナノテクノロジーを創出するための独創的な研究と言える。
 本プロジェクトは3つのグループから構成されたが、その内「ナノ・フォトニクスグループ」はナノ光デバイスの実現という、ロードマップの基幹ルートに近い部分を射程に研究を進めてきた。一方、「アトム・フォトニクスグループ」は光による原子操作という基本原理からのアプローチを通し、微細加工における大胆なブレークスルーを狙ってきた. 「理論グループ」は、 依然体系化が遅れている近接場の分野において、光近接場システムに適した理論モデルの構築を行うことで、実験グループの研究を支えてきた。
 全体として研究水準は極めて高く、世界的にもこの分野をリードする研究が実施された。研究班の構成も合理的であり、3グループ間の有機的な協力研究が実施され、優れた成果に結びついた。特に、理論と実験との非常に良い協力研究が行われ、代表者の優れた指導力が示された。中間評価でのコメントがよく生かされ、後半期の充実した成果が導かれている。
2. 研究成果の状況
 本プロジェクトの成果は成果報告書にも書かれている通り多岐に亘っており、ここでは1つ1つについて述べることは不可能である。しかし、全体的に充実した研究を反映して、活発な成果の発表がなされた。研究成果発表の水準はきわめて高い。これらの成果はいずれも内外の権威ある雑誌に収録されている。口頭発表も国際会議、国内学会ともにタイムリーに行われており、成果の公開と、関連研究の促進に大いに寄与したと考えられる。また、解説記事などによる啓蒙活動も積極的に行われてきた。
3. 研究成果の科学技術への貢献
 近年のナノテクノロジーの展開に呼応して、近接場光学のまた、量子光学などの基礎科学の分野においても、さまざまな形で近接場が利用されるようになってきた。このことは、 提案時点における本プロジェクトの先進性を示している。また、本プロジェクトの一連の成果が近接場の利用を各方面で促進してきたことは評価に値する.とくに未知の部分が多く、リスクの大きい課題に積極的に取組み、素晴らしい成果を挙げることにより、近接場光学の有用性をアピールしつづけてきたことは特筆すべきである。
 したがって本プロジェクトは、基礎科学へのすぐれた寄与と共に、高度情報技術の基礎研究としての貢献も大きく、産業界への波及効果は大きい。将来の光情報処理技術の分野を発展させる上で、その萌芽を形成したと考えられる。光ナノテクノロジーの新しい領域を創成したということもできよう。ナノスケールの光デバイスを動作させる原理と技術についての萌芽的な研究は、電子デバイス限界を超える可能性もあり注目される。
4. 波及効果
 近接場による原子制御は、 現在各方面で研究が活発に進められている量子情報デバイスの実現に大きく貢献するものと期待される。とくにアトムチップと呼ばれている、微細加工された基板上で冷却原子群を電場や磁場勾配で操作する方法との親和性がよいように思われる。このように、研究成果は基礎応用共に波及効果が大きいが、また優れた若手研究者の活発な研究が本研究プロジェクトの牽引力となった。研究者の育成という側面でも大きな貢献をはたした。
5. その他の特記事項
 本プロジェクトの成果が、近接場光学の実用化に向けて、新たな展開に引き継がれることは大変喜ばしいことである。このこと自体が本プロジェクトの成功を最も雄弁に物語っているといえる.ところで、本プロジェクトの研究によって、当初かならずしも明快ではなかった近接場の理論がかなりの程度整備されてきた。しかし、専門外の研究者が簡単に理解し、利用できるレベルにはまだまだ達していないと思われる。したがって、理論グループの仕事が何らかの形で継承され、さらに発展させられることを期待したい。

This page updated on April 27, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.

www-admin@tokyo.jst.go.jp

前へ戻る

 
独立行政法人
科学技術振興機構 過去のお知らせはこちら ERATO
Exploratory Research for Advanced Technology 
戦略的創造研究推進事業(総括実施型研究)
創造科学技術推進事業 ERATO