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舛本単一量子点プロジェクト中間評価報告書
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1. 研究の進捗状況と今後の見込み
 本プロジェクトでの研究は、おおむね軌道に乗り、水準に達する研究が数多く展開されつつあることが認められる。
 (1) 量子点形成グループ
 既存のガス・ソースMBEに引き続き、新たに設置したMOCVD装置も順調に稼動をはじめ、成果が出始めた状態である。量子点分光解析から、現在得られた、あるいは近いうちに得られるであろう成果は、InP や InAs などIII-V族化合物である。これらは、分光測定が容易であり、実用上の観点から見ても重要であるので、これらを重点的に研究することにはそれなりの意味が認められた。一方、試料作製については、他に例を見ないドット形成や、あるいは画期的な手法についての成果はまだ得られていない。
 現在のところ、本グループが、分光解析により量子効果を引き出すための試料の最適化に主眼を置くのか、独自の材料開発にも重点をおくのかが必ずしも明確でない。創造科学という観点から見た場合、他に例のない新しい試料作製への果敢な挑戦も期待したい。
 (2) 分光解析グループ
 グループリーダーの経歴、設備の設置と稼動状況から、本グループが、本プロジェクトの中心的な成果を生み出すものと期待できる。中でも、狭帯域レーザーの連続スイープ、2色超短パルスレーザーの同期利用など、独自の手法の開発も試みられており、今後の展開が期待できる。
 今後は、既存の手法だけでなく、新しい手法も取り入れて、世界に誇れる新しい量子効果を引き出す試みを期待したい。
 (3) 計算解析グループ
 本グループは、他のグループの補完的役割を担うとみなすことができるが、この点で多少人材不足とみられる。しかし、本プロジェクトのねらいを考えると、本グループにこそ新しい量子効果の指針を与えるような先導的役割を期待したく、グループの強化が望まれる。
2. 研究成果の現状と今後の見込み
 今後、着々と成果が生み出されることが十分期待された。
 (1) 量子点形成グループ
 InAs、InP系でなされた, ガス存在下エリプソメトリーを用いたin situでの自己形成ドットの形成開始を読み出す手法と、誘電率の虚数部分が単原子層の成長毎に振動する現象の発見は新しい成果である。本法が今後、試料形成にとって優れた手法となりうるかどうかは、現状では定かではない。
 InP系を用いた、擬似量子ドット形成、巨大ステップ上のドット配列などは、分光測定に適した試料作成という点からも、1.3 ?m 光通信波長に近い独自の特徴を有する点などからも、高く評価される。一方、これらは独自性の高い試料であるので、基礎データの不足が目立ち、今後の検討が期待される。
 量子点の厳密な配列技術は、現状では基板の自然表面の物性に依存するために、実用化の視点からは未だ十分な制御ができていないと結論される。今後は、さらに革新的な着眼点と手法を加味した独自の展開が期待される。
 以上、InGaAs 系を中心とした量子点形成の物理機構の研究と、InP 系を中心とした長波長材料の開発とが同時に進められている点に、本グループの独自性が認められるので、新技術の流れを作り出すことが十分期待できる。
 なお、InP 系自己形成ドット研究では成果へのオリジナリテイーは十分期待できるが、未踏性を十分発揮できるかは疑問である。むしろ、CuCl 系などは、励起子の束縛エネルギーが大きく量子ドット中の励起子物理の特徴を打ち出すためには興味深い材料であり、今後の展開を強く期待したい。
 (2) 分光解析グループ
 単一ドットの分光研究として世界のトップ水準にある。InP 単一ドットの発光強度の異常な温度依存性、GaAs 量子ドットのイオン化に伴うフランツケルディッシュ振動、及びポーラスシリコンの重水素終端化による発光劣化の現象などは、世界的にも新しい発見であり、量子ドットの光物性研究の今後の展開が期待される。
 フォトルミネッセンスの明滅現象は、それ自体類似例が報告されており、特に新規性は認められないが、現象の詳細な検討は、今後、少数電子系の統計性をもとにした揺らぎという量子点特有の物理研究に発展する可能性を秘めている。
 (3) 計算解析グループ
 CuCl 量子点で、1個の励起子形成によるLOフォノン・モードのソフトニングの理論的基礎を確立した。本成果は、現在のところは量子ドットとは直接結びつかないと思われるが、励起子分子のからんだ非線形光学現象の定量的解釈に有効なことが期待でき、本グループの成果として高く評価できる。また、励起子の反結合状態、3励起子状態エネルギーのサイズ依存性の研究は、多体効果の特徴を示すものであり、確実な成果といえる。今後は、単なる量子閉込効果を越える成果を得るために、本グループの一層の研鑚を期待したい。特に、我が国で、これまで伝統的になされてきた光物性研究手法の殻を破る新たな取り組みがなされるかどうか、今後を見極めたい。
3. その他
 以上述べたごとく、通常のプロジェクトとしては、質および量ともに中間評価としては合格点である。一方、一般論であるが、創造科学プロジェクトという観点からみた場合、他で開始された研究に若干新しい貢献をつけ加えるだけで満足するとすれば創造科学プロジェクトとしての期待を十分に果たしたとは言い難い。創造科学プロジェクトは、(1) 未踏領域をいかに自ら設定しかつそれに挑戦したか、(2) いかに創造性の高い成果を生み出したかという二つの観点から評価がなされるのがその趣旨から望ましい。たとえ、(2) の創造性の高い成果が十分達成されなくても (1) が十分満足されていればプロジェクトとして成り立ったと評価すべきであろう。現在、多くの研究機関で半導体量子ドットの形成技術や単一量子ドット分光の研究がしのぎを削って推進されている。その中にあって、本プロジェクトの一層の展開を期待するものとして、今後さらに、(1) がビジブルになるような研究の推進を期待するものである。

This page updated on December 8, 1999
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