レポート

ジェンダーサミット6(Gender Summit 6)(韓国) 参加&JST主催意見交換会レポート 2015年8月

2015年8月26日~28日の3日間に渡って韓国ソウルにてジェンダーサミットが開催されました。ジェンダーサミットは、ジェンダー(社会的性差)を科学にとって重要な要因ととらえ、世界の諸問題の解決を目指す国際会議で、2011年にヨーロッパで始まり、その後アメリカ、南アフリカ、今回の韓国、そして今後はベルリン、メキシコ、と積極的に世界展開しています。

JSTはこのジェンダーサミット6(韓国)に開催協力パートナーとして参加しました。ジェンダーサミット6には40の国及び地域から589名が参加し、口頭の発表105件、ポスター発表72件、合計177件の発表があり、活発な議論が行われました。東アジア、欧米をはじめ東南アジア、南アジア、オセアニアなどバラエティに富んだ地域から参加があり、各地域の問題や取り組みの発表がありました。

また、ジェンダー視点を取り入れた研究や開発の成果についても紹介がありました。例えば創薬実験においては大多数でオスのみの実験動物が用いられてきたため、女性にとって効かない、効きすぎる、副作用が生じる処方薬や治療法が存在するという例、また、自動車のエアバッグの開発では成人男性の体に合わせられていた結果、女性と子供、特に妊婦が重篤な損傷を受けるケースが多発、それを受け最近になって衝撃テストに用いるダミー人形に女性型のものを取り入れるメーカーが出てきている例など、様々な知見を共有する場となりました。

会議開催期間中には、JSTのダイバーシティに関する意見交換会を行い、JST含め日本の大学、学会、企業からの参加者、約30名にお集まりいただきました。
それぞれのダイバーシティに関する取り組みをご紹介戴いた後に、2017年のジェンダーサミット日本開催に向けた議論を行いました。日本開催に向けては、まず大きなテーマを決め、ジェンダーだけではなく他のテーマと組み合わせるのはどうか、あるいは男性の理解を深めるためのテーマはどうかなど大枠のテーマの話から始まり、東アジアのみならず、東南アジアとの連携や国内機関との連携について、また、若手・社会科学系研究者など多様な参加者を求める声も多く、ダイバーシティを積極的に推進する会となりました。

それぞれの立場、問題意識により活発に意見が交わされ、お互いに新しい知見、取り組みなどを得る良い機会となりました。意見交換会終了後も、ほとんどの参加者が会場に止まり、話し足りないこと、更に詳細な情報など、あちこちで熱のこもった議論の輪が生まれ、新しいネットワークが広がる場にもなりました。

このジェンダーサミットの最終日には2017年のジェンダーサミット日本開催も発表されました。今後2017年の開催に向け、多くの国内機関と海外との協力関係をつくって行きます。

ジェンダーサミット6(韓国)意見交換会の様子
意見交換会の様子

サイエンスポータルにもジェンダーサミットのレポートが掲載されました。