さきがけ 研究者

研究課題名

超低摩擦摺動メカニズムの解明と新規相界面の創成

プロフィール

平山 朋子
平山 朋子
Tomoko Hirayama
1975年 大阪府生まれ。2001年 京都大学大学院博士課程中退。2003年 博士(工学)。2001年 龍谷大学理工学部 助手。2005年 同志社大学工学部 専任講師、2008年 同大学理工学部 准教授、2014年同教授、現在に至る。2010-2011年 スイス連邦工科大学チューリッヒ校材料部門 客員教授(兼任)。
研究分野:トライボロジー、精密機械工学
趣味:ドライブ、読書

研究内容紹介

 機械工学技術において、要素間の摩擦およびそれに伴う摩耗の発生に関する諸問題は極めて重要な課題であり、トライボロジー分野において多くの研究が進められています。トライボロジー技術の発展による摺動面の低摩擦化は機器の高効率化、高性能化を促進し、引いては、機械の長寿命化、無故障化を招くことができます。
 言うまでもなく、摩擦現象とは界面で生じる現象であり、一般的には、固体/固体、あるいは、固体/液体/固体といった界面を有する系でのダイナミックな運動に伴うエネルギーの散逸現象を指します。これを実機械における摺動面の状態に当てはめると、前者は乾燥摩擦、後者は潤滑摩擦と区分することができ、さらに潤滑摩擦は、境界潤滑状態、混合潤滑状態、流体潤滑状態の三態に分類できるとされています。一般的な機械においては90%以上の摺動面が固体間に潤滑油を要する潤滑摩擦状態にあり、さらにこのうち、約60%の摺動部が境界潤滑状態にあると言われています。よって、高効率な低摩擦摺動の実現を目指す上で、境界潤滑摩擦の現象理解および超低摩擦を発現する境界潤滑層の設計指針の提示は極めて重要な課題であり、省エネルギー社会の構築において決して避けて通ることができません。
 境界潤滑状態においては、固体表面あるいは固体間に形成される何らかの柔らかい「層」(一般的に『境界潤滑層』と呼ばれる)の存在がキーとなっています。このような数nm~数十 m オーダの分子鎖状の柔らかい境界潤滑層が、場合によっては巨視的な摩擦係数を1/100~1/10,000にまで低減しうることが報告されています。一般的な機械において、そのような境界潤滑層形成の素となるのは、主として、潤滑剤中に混入されている添加剤であり、それらが摩擦面に吸着し、固体同士の直接接触を防ぐ役割を果たします。この形成メカニズムを把握し、より良い境界潤滑層の形成を促すことは、機械の省エネルギー化、性能向上、長寿命化にとって極めて重要な課題です。しかしながら、境界潤滑層の形成メカニズム解明に関する研究は古くからその重要性が認識されていたものの、微量検出を要する分析や精密な実験系の構築の難しさから、検証が困難とされてきました。
 そこで本研究では、トライボロジー研究用に改良した中性子反射率計や摺動機構付き赤外分光計等、独自の分析機器を用いて各種境界潤滑層の構造や摺動場での挙動を調査するとともに、周波数変調型超高感度原子間力顕微鏡および当研究室で設計・開発した平行平板型ナノすきま精密摺動試験機を用いてその力学応答や摺動特性を調査します。それらの知見を総合し、境界潤滑層による超低摩擦摺動の発現メカニズムを明らかとし、より良い境界潤滑層形成のための界面設計指針の提示を目指します。また、最終的に、設計した摺動界面を軸受、シールといった摺動部を含む具体的な機械要素に応用し、実機試験を通して低摩擦特性を確認するとともに、エネルギー効率を測定することによって高効率化への貢献を定量的に示すことを目標とします。

投稿記事一覧

論文(原著論文)発表

2014/10/24
[論文発表] 平山 朋子 教授(同志社大学 理工学部)【さきがけ】

学会発表・招待講演

2014/05/19
[学会・講演] 平山 朋子 教授(同志社大学 理工学部)【さきがけ】
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