さきがけ 研究者

研究課題名

カーボン導電剤とバインダーの構造制御による電子物質輸送界面の高効率化

プロフィール

井上 元
井上 元
Gen Inoue
1977年 鹿児島県生まれ。2001年 九州大学大学院修士課程修了。2001年 九州大学工学研究院化学工学部門助手。2005年 博士(工学)。2007年 助教。2010年 米国コネチカット大学客員研究員。2011年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻 助教、現在に至る。
研究分野:反応輸送現象論、数値流体解析、電気化学システム
趣味:子供と遊ぶこと、ドライブ、サッカー観戦、旅行

研究内容紹介

エネルギーの高効率利用や負荷平準化、分散型システムや電子機器デバイスの普及拡大、将来のエネルギー問題の解決策としてのエネルギー貯蔵技術のニーズの高まりなどを背景として、各種電池技術の需要が高まっています。そしてそれに伴ってより一層の高出力化、低コスト化、高耐久化が求められています。二次電池や燃料電池は多孔質電極を有し、反応点となる電極触媒や活物質、カーボンブラック等の導電性材料、イオン輸送経路となる電解液や固体電解質などで構成され、その数nm~数μmの複雑な構造の中を、反応種、電子、イオンが移動し、すなわち多相多成分の反応輸送現象が内部で生じています。これら各種電池および電気化学システムの高出力密度化、低コスト化、長寿命化を図るためには、反応界面に反応種を如何に円滑に、迅速に、広範囲に供給するかが重要であり、そしてそれを考慮した電極構造の設計および製造が課題となっています。これら電極の中でカーボン導電助剤やバインダーが使用されていますが、活物質充填量の向上による体積エネルギー密度の増加と、イオン輸送性能の向上による不可逆損失の低減の観点から、これら副材使用量の低減が望まれています。しかしながらカーボン凝集体構造に起因した接触界面抵抗、電極層内での導電剤やバインダーの凝集・偏在によるマクロな導電パスやイオン輸送パスの断裂、そして活物質周辺の導電剤の減少による有効反応面の低下の問題があり、現状では極限までこれら副材量は低減されていません。また内部現象解明のために、反応輸送シミュレーションが行われていますが、活物質とこれら副材の合剤電極を、一次粒子が均一に充填された理想構造とみなしたモデルが多く、実際の粒子形状や二次凝集形態、バインダーとの相互作用や偏在など考慮されておらず、試行錯誤により経験的にモデル化されています。さらに電極構造の形成メカニズムも未だ十分に明らかになっていません。そこで、本研究では、カーボン導電剤やバインダーの凝集形態および凝集体間界面抵抗に着眼した物質輸送と電子伝導の律速評価を実測評価と数値解析の両面から行います。またバインダーとの相互作用ならびに塗布乾燥プロセスにおける偏在状況を把握し、成型プロセスの影響を定量化します。本研究により、現状部材の理論限界性能の極限に迫る電子物質輸送の最適環境と均一反応場の形成をめざします。

投稿記事一覧

学会発表・招待講演

2014/09/18
[学会・講演] 井上 元 助教(京都大学 大学院工学研究科)【さきがけ】
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