さきがけ 研究者

研究課題名

原子分解能電磁場計測電子顕微鏡法の開発と材料相界面研究への応用

プロフィール

柴田 直哉
柴田 直哉
Naoya Shibata

1973年島根県松江市生まれ。2003年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。2003年 日本学術振興会 海外特別研究員、米国オークリッジ国立研究所 客員研究員を経て、2004年 東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 助手、2007年 助教、2011年より准教授。
専門は電子顕微鏡材料学、特に走査透過型電子顕微鏡法を用いたセラミック材料界面の原子・電子構造解析に従事。

  • ※プロフィールは、終了時点のものです。

研究内容紹介

近年、材料相界面を原子スケールから積極的に制御し、太陽電池、熱電変換材料、蓄電池、圧電体、触媒、パワーデバイス等のエネルギー材料の特性向上を目指した研究が精力的に行われています。中でも、相界面を原子レベルで制御する界面ドーピング制御、界面ダイポール制御、極性界面制御などの手法が注目されています。これらの相界面制御は、界面におけるポテンシャル構造及びそれに伴う局所電磁場を原子スケールから制御し、特異な界面機能を発揮させることに主眼が置かれています。しかし、現状のナノ計測手法では相界面におけるポテンシャル構造や電磁場変化を局所的に捉えることは極めて難しく、的確な界面制御が行えているのかを直接評価することは困難であると言わざるを得ません。そこで本研究では、近年高分解能化が目覚ましい収差補正走査型透過電子顕微鏡法(STEM)をベースとして、STEM信号検出系を高度に再構築することによって、サブÅレベルに絞り込んだ電子線と試料内部の電磁場との相互作用を高精度に計測することのできる新たなナノ計測手法を開発します。
 具体的にはSTEM検出器の検出面を複数分割し、検出角度、位置に敏感なSTEM像を形成できる多分割検出器を開発し(図1)、局所電磁場によって偏向された電子線を選択的に検出することを可能にします。また、理論計算法と組み合わせることで分割形状、分割数、画像処理法等を電磁場計測に最適化することによって、メゾスケールからナノスケール、さらには原子レベルの電磁場を直接計測することのできるシステムを構築します。これにより、材料相界面近傍のポテンシャル構造及び電磁場変化をその原子構造と直接対比させて議論できる次世代の界面ナノ計測手法を開発します。更に、本手法を実際のエネルギー材料・デバイス界面解析に応用することによって、相界面における機能特性発現の本質的なメカニズムを解明するとともに、新規エネルギー材料創出に資する原子スケールからの相界面制御指針の構築を最終的な目標とします。

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