さきがけ 研究者

研究課題名

金属-空気二次電池可逆空気極における三相界面

プロフィール

宮崎 晃平
宮崎 晃平
Kohei Miyazaki

【最終学歴】
2008年 京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 博士後期課程修了、博士(工学)
【研究歴】
2003年~2007年 金ナノ粒子アノード触媒、2005年~ アニオン交換膜燃料電池、2008年~ 金属-空気二次電池、2009年~ 亜鉛金属負極のデンドライト成長抑制
【専門分野】電気化学、燃料電池、電極触媒、二次電池
【趣味】日本酒の酒蔵見学+試飲

  • ※プロフィールは、終了時点のものです。

研究内容紹介

宮崎 晃平

エネルギー問題を解決するために我々が取り得る効果的な戦略は、いかに無駄なく効率よくエネルギーを生産し、用いるかです。そのなかで再生可能エネルギーである風力、潮力、地熱、太陽光などをエネルギー生産源として活用することが期待されていますが、自然エネルギーは出力がコントロールできず、需要とマッチングさせることが極めて困難です。そこで必要とされるのが電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄えることができる蓄電池(二次電池)です。蓄電池は低炭素社会を実現するための切り札と期待されており、特に高容量な"金属-空気二次電池"に熱い視線が注がれています。金属-空気二次電池は、正極の電池反応に空気中の酸素を用いる点が他の二次電池と異なり、電池内部に酸化還元の元になる正極活物質を保持する必要がありません。そのため電池に充填する負極活物質の量を最大限まで増やすことができ、電池の飛躍的な高容量化が可能です。金属-空気二次電池の模式図を図1に示します。空気中の酸素ガスを活物質として電極反応に用いるためには、数百μm~数mmの厚みのある電極触媒層中を酸素ガスが速やかに移動する必要があります。また電気化学反応であるため、電子伝導パスを通じた電子の移動と、イオン伝導パスを通じたイオンの移動も必要です。そこで、この"ガス"、"電子"、"イオン"の3つのエネルギーキャリアをいかに最適に輸送するか、すなわち、キャリアを輸送するパスを電極内にいかに構築するか、が電極の性能を決める大きな鍵となります。この3つのエネルギーキャリアが出会う領域は"三相界面"と呼ばれており、三相界面はエネルギーの変換場として重要な役割を担っています。
 特に、金属-空気二次電池の空気極(可逆空気極)は、放電時の酸素還元と充電時の酸素発生の二役を担い、バイファンクショナル性(二機能性)があります。そのため、酸素還元のみを用いる燃料電池と比べて、より高度な界面設計が要求されます。そこで、本プロジェクトでは金属-空気二次電池の空気極において、"ガス"、"イオン"、"電子"の三者のスムースな輸送を目指した三相界面の構造と相界面現象の解明、ならびに電極内に可逆空気極に適したイオン伝導体、電子伝導体、及び形態を制御した複合体触媒などの新たな電極材料を導入することにより、高効率・長寿命な可逆空気極を達成します。これにより、電極触媒のポテンシャルを最大限まで引き出す三相界面の最適化のための設計指針を見出し、ひいては人類が直面しているエネルギーと環境の問題に対処するための世界最先端エネルギー技術を構築し、ポストリチウムイオン電池に資する新しい電気化学デバイスの創出を目指します。

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