さきがけ 研究者

研究課題名

構造規制相界面における重たいフォトンの利用

プロフィール

池田 勝佳
池田 勝佳
Katsuyoshi Ikeda

経歴:2002年 東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻、博士(工学)。1997年より(株)フジクラ、(財)神奈川科学技術アカデミー研究員、学振PD、理化学研究所 基礎科学特別研究員を経て、2006年より北海道大学大学院理学研究院化学部門 講師。2008年より北海道大学大学院理学研究院化学部門 准教授。2015年より名古屋工業大学大学院工学研究科 教授。
研究分野:光物理化学。特に、機能性界面の構築およびその分光解析手法に関する研究。
趣味:ダイビング

  • ※プロフィールは、終了時点のものです。

研究内容紹介

池田 勝佳

光エネルギーの有効利用は、エネルギー問題の解決において重要な課題のひとつです。太陽から地球に降り注ぐ光エネルギーの量は莫大ですが、エネルギー密度が低いため、光を効率的に捕まえる技術が不可欠です。また、捕まえた光エネルギーを無駄なく電気エネルギーや化学エネルギーに変換する技術も求められます。この点において、植物の光合成反応は極めて精密に制御された構造を持つ最もよい光エネルギー変換システムの例といえます。そこで本研究では、光エネルギー変換の効率向上に必要な機能性分子構造を明らかにし、精密に構造設計された光機能性有機超薄膜の構築を目指して、電極表面に機能性分子を3次元集積する技術を確立します。さらに、光と有機分子との相互作用を極限まで高めるために、自然界では用いられていない原理に基づく光捕集アンテナの導入を図ります。これらの技術課題を達成するためのカギは、電極/光機能性分子層/光捕集アンテナの界面構造を制御できるかどうかにあります。界面では電子やエネルギーのやり取りが行われるため、システム全体の動作効率に大きな影響を与えます。本研究では、原子レベルでの究極の界面構造制御を行い、光エネルギー変換システムのモデルを構築することで、将来的なエネルギー自立型分子デバイス開発に資する基礎技術の確立を目指します。分子集積による機能性界面の構築は、各種の機能性ユニット分子を電極表面で自在連結することで実現されるはずですが、このときユニット分子間の相対的な位置関係や配向性が精密に制御されていることが極めて重要です。そのため、有機超薄膜の土台となる電極表面の原子配列を規制することが不可欠です。一方、光と有機分子との相互作用効率を高めるには、光の性質そのものを変えてやる必要があります。光速で自由空間を飛び回っている光は、本質的に物質との相互作用が弱く、小さな色素分子がそのエネルギーを受け取る確率は非常に小さいといえます。そこで、プラズモニックな光捕集アンテナを用いて、光を重たいフォトンとして捕まえ、電極表面に集めれば、有機分子との相互作用効率が飛躍的に高まると期待されます。しかし、このような光捕集アンテナは原理的にナノサイズの大きさを必要とします。したがって、光捕集アンテナを導入した電極では、その表面原子配列を規制することが極めて困難となり、機能性分子システムとの併用が困難でした。本研究では、図に示すような構造の光捕集アンテナによって問題解決を図り、光-化学エネルギー変換の高効率化に必要な原理原則を明らかにします。

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