ナノとマクロをつなぐ動的界面ナノテクノロジー
本研究では、界面環境にてバルクの刺激によって機能性分子・ナノシステムを駆動しうる「手で操るナノテク(Hand-Operating Nanotechnology):ナノとマクロをつなぐ動的界面ナノテクノロジー」を創始します。「自らの手の動きで分子をつかむ・並べる・見分ける・放出する」という夢の技術を実現し、あらゆるサイズで駆動するセンサー、DDS、物質分離などの革新技術の開発につなげます。
酸・塩基複合型超分子動的錯体を鍵とする高機能触媒の創製
従来の単一分子性触媒では困難な遠隔不斉誘導、カスケード反応、高度な分子認識などの酵素特有の機能を備えた、真に実用的な人工触媒の開発は有機合成化学の最重要課題です。本研究提案では、環境に優しい精密合成技術の実現を目標に、生体酵素を凌駕する高機能ナノ触媒の創製とその効率的調製法の確立を目指します。酸・塩基複合化学を基盤に多様な動的機能を備えた超分子自己会合型触媒を開発します。
ホウ酸エステルの動的自己組織化に基づく高次機能の開拓
本研究ではホウ酸エステル化合物の特徴的性質を活用し、ホスト-ゲスト相互作用に基づく動的自己組織化を基盤とするボトムアップ合成手法を確立すること、次いで分子レベルでホウ酸エステル化合物に特徴的な動的高次機能、特に分子触媒機能や分子分離・貯蔵機能などを実現すること、そして最終的には分子レベルで実現した各種機能をマクロな物質レベルでの機能発現へと展開することを目的とします。
キラルナノ分子ロッドによる機能の階層的不斉集積と組織化
触媒、キラル誘起、発光、可逆架橋、水素結合、配位結合などの多様な機能部位を集積・組織化したナノサイズのらせん形巨大棒状分子を、さらに精密に集積・組織化することで階層的な構造体を創りだし、新しい機能性材料の開発を行います。この巨大棒状分子の合成法の確立と集積化により、次世代のキラルテクノロジーとして期待されるキラル高分子触媒やキラル分離膜の創製を目指します。
多核金属クラスター分子の構造制御によるナノ触媒の創製
第1遷移金属や前周期遷移金属などの非貴金属について、金属核数、金属種、結合様式を制御することにより、2核より金属数の大きなナノスケールの多核金属クラスター分子を系統的に合成します。これにより、通常の貴金属の単核錯体が示す触媒機能を凌駕し、単核金属錯体では実現できないまったく新しい触媒反応の開発を行います。本研究により開発するナノ触媒により、医薬品や機能性材料の合成に優れ、環境負荷を低減できる新しい触媒反応を実現します。
ナノシートから構築する高機能ナノ構造体
厚さ1nm程度の二次平面単結晶無機ナノシートは、その組成に基づく化学的・物理的特性に加えて、量子サイズ効果、特異界面効果、高効率電荷分離効果を有する革新的機能材料です。本研究では、本来ナノシートが持つ静電的自己組織機能を利用し、異種ナノシート、機能性分子、液晶・高分子、DNAからなる未来型高機能ナノ層状体・ナノハイブリッド材料を構築し、新規機能の探索を行います。