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2011年12月15日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らは、カルボン酸エステルを水溶液中で安定して合成できる触媒の開発に成功しました。 親水性の反応活性中心が疎水性雰囲気で保護された酵素をモデルとした触媒で、嵩高い疎水性のN,N-ジアリルアミンに活性種のピロ硫酸塩が内包された 耐水構造をもっています。今後、通常と異なる選択性のエステル化反応やグリコールの脱水反応への展開が期待されます。この成果は、"Hydrophobic N,N-Diarylammonium Pyrosulfates as Dehydrative Condensation Catalysts under Aqueous Conditions" の表題で、Org. Lett., Article ASAP DOI: 10.1021/ol2027366 Publication Date (Web): November 29,2011に掲載され、中日新聞で報道されました。

2011年10月25日
原田明先生(原田チーム、大阪大学)らは、分子レベルのホスト−ゲスト相互作用を利用し、酸化還元などの外部刺激応答性や自己修復性をもつ、 より実際の生物に近い超分子材料の創製に成功しました。ホスト分子(β−シクロデキストリン)をもつ水溶性のポリアクリル酸ポリマー(PAA)と、 ゲスト分子(フェロセン)をもつPAAを混合するとホスト−ゲスト相互作用で結合し、固まった透明のゲルとなります。このゲルは切断しても、 切断面を再接触すると、同じホスト−ゲスト相互作用によって自己修復し、切断面が消失することがわかりました。しかし切断面に酸化剤を塗布し、 フェロセン部位を酸化するとホスト−ゲスト作用が消失し、自己修復しません。この成果は、"Redox-responsive self-healing materials formed from host-guest polymers" の表題で、Nature Communications 2, Article number511 doi:10.1038/ncomms1521に掲載されました。 また、大阪大学からプレス発表され、 東京新聞などで報道されました。

2011年10月25日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らは、酵素のような精巧な鍵穴をもつテーラーメイド触媒の開発に成功しました。シクロペンタジエンと α-置換アクロレインのディールス・アルダー反応では、通常エキソ体が主ですが、世界で初めてエンド体を主生成物として得ることができました。 この触媒は、ナフタレン骨格を含む光学活性配位子、ボロン酸及びボラン系化合物からなるキラル超分子触媒で、自己組織化によって形成される酵素類似の 深いくぼみに活性中心があり、内部でシクロペンタジエンとα−置換アクロレインどうしが立体的にエンド生成しやすい方向に配置されると考えられます。 ディールス・アルダー反応はプロスタグランジン(平滑筋収縮作用等)合成等に利用されており、医薬品創製のさらなる発展に繋がることが期待されます。 この成果は、"Enantioselective Diels-Alder Reactions with Anomalous endo/exo Selectivities Using Conformationally Flexible Chiral Supuramolecular Catalysts" の表題で、Angewante Chemie International Edition online 25 Oct 2011, doi: 10.1002/ange.201106497に掲載されました。 また、名古屋大学からプレス発表され、日経産業新聞、化学工業日報及び日刊工業新聞で報道されました。

2011年8月28日
森泰生先生(杉山チーム、京都大学)らは、好気性生物の細胞膜にあるイオンチャンネルタンパク質TRPA1が酸素センサーとして機能することを初めて突き止めました。 酸素は呼吸に不可欠なものですが、同時に活性酸素種に変化すると、毒性をもちます。酸素のこの相反する特性に生物がどのように反応するかを理解するためには、 酸素検知の分子レベルのメカニズムを明らかにする必要があります。TRP1を系統的に評価した結果、酸素不足状態と酸素過剰状態とでは全く異なるプロセスでTRP1が活性化・ 開口されることがわかりました。活性化・開口したTRPA1はカチオン電流を生じ、迷走神経細胞などを通じて呼吸反射を起こします。しかし、TRPA1遺伝子欠損マウスの場合、 この機能が阻害され、酸素不足状態と酸素過剰状態において、さらに重篤な肺障害を起こすことがわかりました。この成果は、"TRPA1 underlies a sensing mechanism for O2" の表題で、Nature Chemical Biology August 28, 2011, doi: 10.1038/nchembio.640に掲載されました。

2011年7月6日
中嶋直敏先生(中嶋チーム、九州大学)らは、近赤外パルスレーザー照射によって、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を被覆した細胞培養基板から、 標的とする単一細胞の剥離、回収に成功しました。SWNT照射で生成する衝撃波によって剥離された細胞は、原形を維持し、その遺伝情報が保持されていることが確認されました。 培地からの、標的細胞回収は、単一細胞研究の幅広い分野に影響を及ぼす考えられます。この成果は、"Near-IR Laser-Triggered Target Cell Collection Using a Carbon Nanotube-Based Cell-Cultured Substrate "の表題で、ACS Nano, 2011, 5 (6), pp 4414-4421DOI: 10.1021/nn2012767に掲載され、Nature NanotechnologyのResearch Highlight(2011年7月)として紹介されました。

2011年6月5日
大越慎一先生(大越チーム、東京大学)らは、光を当てると常磁性から強磁性へと変化する新種の光スイッチング磁石の開発に成功しました。 この物質は、鉄イオンと有機分子を組み合わせた固体物質で、光照射によりスピンクロスオーバー現象 (遷移金属イオンのスピン状態が、低スピン状態と高スピン状態の間で変化する現象)を起こすことにより、 磁石の状態に変換する新しいメカニズムの光磁石です。光磁石の磁気相転移温度(Tc)は、20Kで、加熱処理により元の非磁石の状態に戻ります。 将来、構造的に柔軟性があるフレキシブル光磁性材料への第一歩であるといえます。 この成果は、"Light-induced spin-crossover magnet "の表題で、Nature Chemistry DOI:doi:10.1038/nchem.1067 online 05 June 2011に掲載されました。また、東京大学及びJSTからプレス発表され、日本経済、日刊工業及び化学工業日報で紹介されました。

2011年6月14日
戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ)の平成23年度第2期の 新規募集を開始しました。募集する研究領域はこちらです。

2011年3月7日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らの成果がNPG Asia Materialsに表題“Carbon nanotubes:Non-stick films(doi:10.1038/asiamat.2011.38)”で掲載されました。 この透明で、導電性の単層カーボンナノチューブ(SWNT)フィルムは、ディスプレイに用いられるITO電極やカメラなどの部品などの応用展開が期待できます。

2011年2月7日
京都大学物質−細胞統合システム拠点の杉山弘教授らは、長方形状のDNA自己集合体表面に設置したDNAレール上で、DNA分子鎖を人為的に移動させ、 その動きを直接観察することに世界で初めて成功しました。今後、数100ナノメートルサイズのナノ・メゾ空間を自在に移動できる分子ロボットを実現し、 狙った場所へ薬剤運搬するなどの技術につながることが期待されます。この成果は、”Direct Observation of Stepwise Movement of a Synthetic Molecular Transporter” の表題で Nature Nanotechnology DOI: doi:10.1038/nnano.2010.284 Published online 06 February 2011に掲載され、京都大学及びJSTからプレス発表されました。日本経済新聞、 日刊工業新聞で紹介されました。

2011年1月19日
環境問題となっている二酸化炭素は非常に安定で反応性が低いため、これまで工業原料としてあまり用いられていませんでした。岩澤先生(岩澤チーム、東京工業大学)らは、 ロジウム触媒を用いて、大気圧下の二酸化炭素で、2-アリールピリジンなどのアリールC-H結合を直接カルボキシル化する方法を初めて開発しました。 活性な求核性のアリールロジウム(I)中間体を経て、二酸化炭素を直接反応・固定化するこの成果は、”Rhodium(I)-Catalyzed Direct Carboxylation of Arenes with CO2 via Chelation-Assisted C-H Bond Activation”の表題でJ. Am. Chem. Soc., ASAP DOI:10.1021/ja109097zPublication Date (Web): December 30,2010に掲載され、読売新聞、朝日新聞などでも紹介されました。

2010年11月15日
生体内反応ではDNAの相補的な核酸塩基対形成など分子認識による自律的な組織化が重要な役割を果たしています。原田明先生(原田チーム、大阪大学)らは、このような分子認識による自律的な組織化によって、センチメートルレベルのスケールで材料間の接着を制御できる方法を世界で初めて開発しました。
シクロデキストリンのようなホスト分子にゲスト分子を特異的に取り込む機能を利用したもので、今後、表面にホストやゲストを固定化し、いろいろな材料を自在に集積・配列させる新しい技術への展開が期待されます。
この成果は、”Macroscopic self-assembly through molecular recognition”の表題でNature Chemistry online: 14 November 2010 に掲載され、大阪大学及びJSTからプレス発表されました。
また、共同通信、日刊工業、日経産業新聞などでも紹介されました。

2010年9月15日
有賀克彦先生(有賀チーム、(独)物質・材料研究機構)らの" Mechanical Tuning of Molecular Recognition To Discriminate the Single-Methyl-Group Difference between Thymine and Uracil"に関する記事が、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132 (37), pp 12868?12870, Publication Date (Web): August 31, 2010に掲載されました。
アームドシクロノナンという分子を新たに合成し、それを水面上で膜として手で圧縮しながら適宜歪ませることにより、構造が類似した二つの核酸塩基チミンT と ウラシルU を識別できる最適な構造を人為的に微調整して作り出すという新しい方法で、最大64倍の精度でこれら二つの核酸塩基の識別が可能です。この方法は伸縮自在のポリマーの表面やゲルを用いて行うことも可能であり、DNA の遺伝配列の精密分析や、遺伝子疾患の検出、不斉アミノ酸などの他の生体物質の精密センシングへの応用が期待できます。この成果は(独)物質・材料研究機構からプレス発表されました。

2010年8月25日
「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」研究領域の平成22年度採択課題が決定し、JSTからプレス発表されました。

2010年8月25日
中嶋直敏先生(中嶋チーム、九州大学)らの"Strong Micro-Dielectric Environment Effect on the Band Gaps of (n,m)Single-Walled Carbon Nanotubes"に関する記事が、J. Am. Chem. Soc., Articles ASAPに掲載されました。
15種の分離した単層カーボンナノチューブ(SWNT)をそれぞれ含有するフィルムをITO電極に被覆し、DMSO、アセトニトリル、DMF、THFなど誘電率の異なる溶媒中で、その場フォトルミネッセンススペクトルによって、それぞれのSWNTの酸化・還元電位やバンドギャップを電気化学的に決定したものです。その結果、単に光学的に求めたバンドギャップと異なり、溶媒の誘電率が大きいほど、電気化学的に求めたバンドギャップは、小さいことがわかりました。電気化学反応の過程で荷電状態となるSWNTに対する溶媒和エネルギーに差を生じていると考えられます。

2010年7月26日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らの超原子価ヨウ素−キラル4級アミン触媒を用いたキラルなベンゾフラン誘導体合成の研究成果が、化学工業日報夏季特集号に「中京地区から未来の医薬創製切り拓く」として紹介されました。

2010年6月10日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らの" Quaternary Ammonium (Hypo)iodite Catalysis for Enantioselective Oxidative Cycloetherification"に関する記事が、Science 11 June 2010:Vol. 328. no. 5984, pp. 1376 - 1379に掲載されました。
金属触媒を用いず、超原子価ヨウ素−キラル4級アミン触媒と過酸化水素との組み合わせによって、キラルなベンゾフラン誘導体を高選択率、高収率で合成できるこの方法は、類似のベンゾフラン骨格をもつ、天然の生理活性物質の効率的生産への展開が期待されます。
この成果は、名古屋大学及びJSTからプレス発表され、中日、朝日、読売、毎日、日刊工業、日経産業新聞、化学工業日報及びChemistry World (Royal Society of Chemistry, UK)及びChemical & Engineering News, June 14, 2010で紹介されました。

2010年5月18日
浜地格先生(浜地チーム、京都大学)らの"Fluidic supramolecular nano- and microfibres as molecular rails for regulated movement of nanosubstances " に関する記事が、Nature Communications 1, Article number: 20, 17 May 2010 オンライン版に掲載されました。
ナノテクノロジーの鍵となる材料の1つとして期待されているナノメートルサイズの直径を持った新しい繊維(ファイバー)を開発し、それがたんぱく質分子やナノ粒子などの物質を輸送する線路「分子レール」として機能することを実証したこの成果は、京都大学及びJSTからプレス発表され、京都新聞、産経新聞、日経産業新聞などで紹介されました。

2010年5月10日
杉山弘先生(杉山チーム、京都大学)らの" Programmed-assembly system using DNA jigsaw pieces"に関する記事が、Chemistry - A European Journal Volume 16, Issue 18, 10 May 2010, Pages 5362-5368に掲載されました。
複数の2次元DNAおりがみナノ構造体(DNAジグソーピース)を、塩基配列のプログラムにしたがって、凹凸のコネクターを介して、一次元方向に配列できる新しい方法で、3〜5文字の単語(DNAなど)表示も可能です。

2010年4月23日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らの"Which Is the Actual Catalyst: Chiral Phosphoric Acid or Chiral Calcium Phosphate?" に関する記事が、Angew. Chem. Int. Ed. (Apr 20 2010 on line版)に掲載されました。
キラルなリン酸ジエステル系触媒を基礎として、Caイオンの有無で対掌的なエナンチオマーの合成を可能とする新しい技術で 2010年4月23日付の中日新聞で紹介されました。

2010年3月16日
戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ)の平成H22年度の新規募集を 開始しました。この研究領域の概要及び研究総括方針はこちらです。 

2010年2月18日
石原一彰先生(石原チーム、名古屋大学)らの"Enantioselective Kita Oxidative Spirolactonization Catalyzed by In Situ Generated Chiral Hypervalent Iodine(III) Species" に関する記事が、Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 2175-2177にhot paperとして掲載されました。
金属以外の、キラル超原子価ヨウ素化合物を不斉触媒に用いて光学活性スピロラクタンを合成するこの技術は、 抗癌剤等の医薬品製造への応用が期待され、2010年2月18日付の中日新聞、毎日新聞、読売新聞、日刊工 業新聞、化学工業日報、時事通信、共同通信、Yahooヘッドラインニュースで紹介されました。 詳細は、こちらにあります。

2010年2月10日
杉山弘先生(杉山チーム、京都大学)らの"Regulation of DNA methylation using different tensions of double strands constructed in a defined DNA nanostructure"に関する記事が、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132 (5), pp 1592−1597に掲載されました。 DNAおりがみ法を用いて設計作製した2次元DNAナノフレーム開口部に長さの異なる2種類の塩基対鎖を結合させ、メチル転移酵素と反応 させたところ、折り曲がり易い、緩い塩基対鎖がメチル化されやすいことが、AFMによる単一分子解析で明らかにされました。

2010年1月5日
中嶋直敏先生(中嶋チーム、九州大学)らの"Carbon nanotubes: Redox potentials"に関する記事が、NPG Asia Materials research highlight (5 January 2010 on line版)に掲載されました。
カイラリティが異なる個々の単層カーボンナノチューブのエネルギー準位及びバンドギャップを同定するこの新しい技術は、1月26日の日経産業新聞においても紹介されました。

2009年11月25日
平成21年度研究課題・研究代表者を掲載しました。

2009年10月15日
「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」研究領域のホームページを開設しました。

2009年9月23日
浜地格先生(浜地チーム、京都大学)らの論文が、Nature Chemistryに掲載されました(23 September 2009 on line版)。また、その成果が、京都大学及びJSTからプレス発表され、読売新聞、産経新聞、京都新聞、日刊工業新聞に掲載されました。

2009年9月17日
「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」研究領域の平成21年度採択課題が決定し、JSTからプレス発表されました。

2009年9月4日
平成20年度研究課題の実績報告を研究成果に掲載しました。

2009年3月30日
浜地格先生(浜地チーム、京都大学)らの論文が、Nature Chemical Biologyに掲載されました(29 March 2009 on line版)。また、その成果が、京都大学及びJSTからプレス発表され、読売新聞、日本経済新聞、京都新聞、産経新聞に掲載されました。

2008年8月27日
「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」研究領域の平成20年度採択課題が決定し、JSTからプレス発表されました。


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