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更新日:2016年4月1日
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プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出
 

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2016年4月1日
CREST「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」研究領域は、2016年3月31日をもって終了いたしました。 皆様からの長らくのご支援とご協力に対し、心よりお礼申し上げます。

2016年2月8日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、独自に開発したキラルリチウムホスホリルフェノキシド超分子触媒を用いて、低反応性のケトンのエナンチオ選択的シアノシリル化反応に成功し、 α-シアノヒドリンの新たな合成法を開発しました。このシアノヒドリンは、4置換のキラル炭素をもつ化合物に変換可能であり、従来合成困難であった多種多様の医農薬品、工業化学品生産への 道筋が開かれました。本成果は、“Enantioselective Cyanosilylation of Ketones with Lithium(I) Dicyanotrimethylsilicate (IV) Catalyzed by a Chiral Lithium(I) Phosphoryl Phenoxide” の表題でAngewandte Chemie International Edition, Early View, DOI: 10.1002/anie.201510682に掲載され、名古屋大学から プレス発表されました。また、化学工業日報で紹介されました。

2015年12月8日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、医薬品や繊維などで幅広く使用されるアミドの効果的な合成法を開発しました。酸性触媒ボロン酸と求核触媒4-(N,N-ジメチルアミノ) ピリジン N-オキシド(DMAPO) を組み合わせた触媒系で、従来法に比べ反応条件が温和で、副生物分離工程が不要であり製造コストの削減が期待できます。また、糖尿病の治療薬であるアミドの一種、シタグリプチンの合成にも応用可能です。 この成果は、“Boronic acid-DMAPO cooperative catalysis for dehydrative condensation between carboxylic acids and amines”の表題でChemical. Science, 2016, Advance Article, DOI: 10.1039/C5SC03761Aに掲載され、 中日新聞、日刊工業新聞で紹介されました。

2015年10月26日
山口茂弘先生(山口チーム 名古屋大学)らは、数10nmレベルの生細胞の細胞内小器官などを可視化できる超解像顕微鏡(STED)の蛍光イメージングの新しい蛍光色素(C-NaPhox) を開発しました。このリンを鍵とした分子デザインによる色素は、従来の蛍光色素をはるかに上回る耐光性をもち、繰り返しSTEDイメージングにおいてもほとんど退色しないことが判明しました。 この色素によって、STEDを実用レベルに押し上げ、多くの生命現象を高精細にイメージングできる基盤技術の確立につながることが期待されます。 この成果は、“A Phosphole Oxide Based Fluorescent Dye with Exceptional Resistance to Photobleaching: A Practical Tool for Continuous Imaging in STED Microscopy”の表題で Angewandte Chemie International Edition, Early View, DOI: 10.1002/anie.201507939に掲載され、名古屋大学から プレス発表されました。

2015年10月6日
大越慎一先生(大越チーム 東京大学)らは、ナノサイズの世界最小ハードフェライト磁石、イプシロン型酸化鉄(ε-Fe2O3)ナノ磁性粒子の開発に成功しました。この材料は、 8nmで5キロエルステッドの保磁力をもち、超高密度磁気記録材料の素材としての可能性をもっています。特にビッグデータのアーカイブ用大容量記録メディアとして昨今産業界で その復活が大変注目を浴びている磁気テープストレージの未来材料として期待されます。また、薄い色の特徴を活かして、透明カラー磁性材料やプリンター用のカラー磁性トナーなどへの 用途も期待されます。 この成果は、“Nanometer-size hard magnetic ferrite exhibiting high optical-transparency and nonlinear optical-magnetoelectric effect”の表題で Scientific Reports 5, Article number: 14414 (2015) doi:10.1038/srep14414に掲載され、東京大学から プレス発表されました。

2015年10月5日
真島和志先生、 劒隼人先生、百合野大雅先生(真島チーム 大阪大学)らおよび佐藤一彦センター長、田中真司先生、清水禎樹先生(産業技術総合研究所触媒化学融合研究センター)らは、 独自に開発した有機ケイ素化合物の還元剤を用いてニッケルナノ粒子触媒を創製し、芳香族炭素−炭素結合形成反応に成功しました。また、非晶質ナノ粒子だけが活性を示し、反応後、 触媒ニッケルは還元によってナノ粒子に回収され触媒サイクルを構築することが明らかになりました。本成果は安価で入手容易なニッケルを用いる点に特徴があり、芳香環をもつ導電性高分子、 医薬品の合成触媒、さらには金属ナノ粒子を用いたナノマシンや量子ドットのような次世代材料への展開が期待されます。 この成果は、“Salt-Free Reduction of Nonprecious Transition-Metal Compounds: Generation of Amorphous Ni Nanoparticles for Catalytic C?C Bond Formation”の表題で Angewandte Chemie International Edition, Early View, DOI: 10.1002/anie.201507902に掲載され、 大阪大学およびJSTから、 共同プレス発表されました。

2015年4月1日
真島和志先生、 劒隼人先生(真島チーム 大阪大学)らは安価で入手が容易、毒性が低いマグネシウムを用いた有機金属触媒を分子設計し、炭素−水素結合活性化に基づく炭化水素の異性化反応に成功しました。 末端アルキンから選択的にアレンや内部アルキンを得ることが可能な有機マグネシウムを用いた新しい触媒作用です。この成果は、“Organomagnesium-Catalyzed Isomerization of Terminal Alkynes to Allenes and Internal Alkynes”の表題でChemistry - A European Journal, Article first published online: 26 MAR 2015, DOI: 10.1002/chem.201500179に掲載され、 大阪大学およびJSTから、 共同プレス発表されました。

2015年1月23日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らはカーボンナノチューブ(CNT)を用いて、軽量かつ柔軟な有機材料でできたn型の熱電変換材料の開発に成功しました。 CNTはP型の熱電変換特性であるため、ドーパント混合によってn型へ変換しますが、ドーパントが表面脱離するため安定性に問題がありました。 しかしドーパントとしてコバルトセンを選び、CNT内部にこれを収納する新しい手法を開発することによって、従来報告されているn型有機熱電変換材料中でも高レベルの熱電変換性能指数0.16を達成しました。 有機熱電変換材料の実用化にはその低い熱電変換性能と安定性が障害となっています。今後この材料をさらに改善することによって、軽量かつ柔軟な熱電変換材料の実用化の可能性が高まることが期待されます。 この成果は、“Development of n-type cobaltocene-encapsulated carbon nanotubes with remarkable thermoelectric property”の表題で Scientific Reports, 22 January 2015, doi 10.1038/srep07951に掲載されました。また、九州大学からプレス発表され、 日刊工業新聞から報道されました。

2015年1月16日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは創薬原料である光学活性アミノ酸の中でも、とくに化学合成が難しいα-第四級二置換アミノ酸エステルを効率的に高純度合成できる新技術の確立に成功しました。 原料に用いるα-イミノエステルのイミノ炭素への選択的異常アルキル付加について検討しました。その結果、グリニャール試薬(RMgX)に塩化亜鉛を組み合わせた亜鉛(II)エート錯体が優れていることを見出しました。 亜鉛(II)エート錯体は、ルイス酸部分[MgX]+、求核部分[R3Zn]-および2[MgX2]部分からなるため、イオン的に分離された[R3Zn]-が、 [MgX]+のキレート化で活性化されたイミノ炭素に高速かつ選択的にアルキル付加可能です。 さらにα-イミノエステルのアルコール部位に不斉補助基として嵩高い8-フェニルメンチル基を導入すると、イミノ炭素へのアルキル付加が完璧なジアステレオ選択性で進み、 対応する光学活性α-第四級二置換アミノ酸誘導体が高収率で得られました。 この方法で置換基としてイミノ炭素に三重結合のβ,γ-アルキニル基を導入すれば、その三重結合を利用して様々な官能基変換が可能です。 本方法によって合成可能なアミノ酸ライブラリーは、小分子医薬品やペプチド医薬品合成、ファインケミカルズのキラルビルディングブロックとして創薬スクリーニングにも有用であり、様々な実用展開が期待できます。 この成果は、“C-selective and Diastereoseletive Alkyl Addition to β,γ-Alkynyl-α-imino Esters with Zinc(II)ate Complexes”の表題で Angewandte Chemie International Edition, 16 January 2015, doi 10.1002/anie.201408916に掲載され、中日新聞、日刊工業新聞、化学工業日報などで紹介されました。

2014年10月3日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)は、半導体性カーボンナノチューブ(CNT)に対して選択分離能をもつ超分子金属錯体型可溶化剤を開発しました。この可溶化剤は再生可能で分離精製に繰り返し使用できます。 半導体性CNTは、高い移動度や、バンドギャップの多様性などから、超低電力駆動の半導体デバイスや次世代型太陽光発電の材料として期待されています。 本研究成果は、“Semiconducting single-walled carbon nanotubes sorting with a removable solubilizer based on dynamic supramolecular coordination chemistry”の表題でNature Communications doi:10.1038/ ncomms6041 03 October 2014に掲載され、 九州大学およびJSTから共同プレス発表されました。 また、科学新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞、財経新聞等で報道されました。

2014年9月5日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)は固体高分子形燃料電池に用いる白金触媒の粒径と担持密度を低減し比表面積を増加させることで、使用量をこれまでの10分の1に削減することに成功しました。 白金粒子を担持する導電性カーボン(カーボンナノチューブ)にポリベンズイミダゾール(PBI)と呼ばれる接着剤のような物質をあらかじめコーティングすることで白金粒子が均一に担持する独自の ナノ積層技術を利用してこれを達成しました。本研究成果は、“Enhancement of Platinum Mass Activity on the Surface of Polymer-wrapped Carbon Nanotube-Based Fuel Cell Electrocatalysts”の 表題でScientific Reports 4, doi:10.1038/srep06295 05 September 2014に掲載され、 九州大学およびJSTから共同プレス発表 されました。また、国立環境研究所環境情報メデア、日経産業新聞、日刊工業新聞、化学工業日報等で報道されました。

2014年7月18日
石原先生(石原チーム 名古屋大学)らは、新たな不斉酸化的六員環化反応を開発し、天然型ビタミンE(α-トコフェロール類)に代表される生物活性を有するクロマン類の高収率かつ高選択的な合成に成功しました。 抗酸化作用をもつビタミンEに代表されるクロマン類の多くはキラル化合物であり、商業生産のためには薬理活性が強いキラル異性体を選択的に合成する必要があります。 石原先生らは日本の豊富な資源であるヨウ素に着目し、環境に優しいキラル次亜ヨウ素酸塩触媒などを用いて酵素のような深い触媒ポケット構造の形成、およびin situの酸化触媒再生系を構築することでこれを達成 しました。さらに、炭酸カリウムを添加することにより、触媒回転数(TON)を10倍以上に向上させ、触媒量の大幅削減を可能にしました。これらの成果は医薬品製造プロセスや新薬の開発研究に生かされるものと 大いに期待されます。本研究成果は、“High-turnover hypoiodite catalysis for asymmetric synthesis of Tocopherols”の表題でScience 18 July 2014: Vol. 345 no. 6194 pp. 291-294 DOI: 10.1126に掲載され、 名古屋大学およびJSTから共同プレス発表されました。また、中日新聞、朝日新聞、化学工業日報、日刊工業新聞および C&EN (Chemical & Engineering News)で報道されました。

2014年6月27日
有賀先生(有賀チーム (独)物質・材料研究機構)の著書 「材料革命ナノアーキテクトニクス」が 岩波書店から出版されました。

2014年6月17日
有賀先生(有賀チーム (独)物質・材料研究機構)らは、セシウムを吸収した植物の細胞内での分布の可視化に成功しました。 炭酸セシウムを含む培地でシロナズナを生育させ、独自に開発した蛍光プローブ「セシウムグリーン」を子葉に作用させたところ、細胞内の液胞が緑色に発光し、液胞にセシウムの蓄積があることが確認されました。 この手法を適用することで、セシウムの植物への輸送・蓄積メカニズムの解明、セシウムを効率的に吸収する植物の品種改良が期待されます。 本研究成果はACS-Applied Materials & Interfacesに掲載が予定されており、(独)物質・材料研究機構からプレスリリースされ、 NHK、読売新聞、毎日新聞などで報道されました。

2014年6月4日
本CREST研究領域「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」の第4回公開シンポジウムは終了しました。ご参加ありがとうございました。

2014年5月5日
浜地格先生(京都大学)及び池田将先生(岐阜大学)(浜地チーム)らは、疾病の指標(バイオマーカー)となる複雑な生体分子を識別して溶けるゲル状物質(ヒドロゲル)の開発に成功しました。 ヒドロゲルは生体適合性が高く、さまざまな医療・診断応用が期待され、その高機能化が進められています。 しかし、ヒドロゲルが識別できるバイオマーカーはその分子構造が単純なものに限られ、標的とするマーカーごとに応答する新しいゲル化剤を開発する必要がありました。 浜地先生らは新たなゲル化剤を開発し、ヒドロゲルが特定の化学反応によって溶けるように設計しました。さらに、ゲルの中にその化学反応に必要な酵素を活性を保ったまま埋め込みました。 このゲルはたった1種類のゲル化剤から作製できますが、埋め込む酵素を選ぶだけで標的とするバイオマーカー分子も変えることができます。 その結果、多様な生体分子(糖尿病や前立腺がん、痛風のバイオマーカー)を識別して溶けるゲルを作製することに成功しました。 また、異なる化学反応性を示す2種類のゲル化剤と数種類の酵素を混ぜることによって、複数のバイオマーカーが同時に存在してもしっかり見分けられるヒドロゲルも開発しました。 今後、新しいスマートマテリアルとして、診断材料や薬物放出材料の開発などの医療応用に幅広い貢献が期待できます。 本研究成果は、Nature Chemistryオンライン速報版doi:10.1038/nchem.1937.(2014)に “Installing logic-gate responses to a variety of biological substances in supramolecular hydrogel-enzyme hybrids”の表題で公開され、 京都大学、岐阜大学およびJSTから共同プレス発表されました。 また日本経済新聞、京都新聞、岐阜新聞、日刊工業新聞および化学工業日報で報道されました。

2014年4月4日
本研究領域CREST「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」第4回公開シンポジウムの登録受付を開始しました。 次のウェブサイトからお申し込みください。

登録受付

2014年4月11日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らは固体高分子形燃料電池(PEFC)の白金触媒の使用量を削減する方法を開発しました。 独自の粒径調整方法によって粒子径を1.2nmまでサイズダウンさせ、触媒活性を8倍向上させることに成功しました。 この成果は、日刊工業新聞および日経産業新聞で報道されました。

2013年11月25日
大越先生(大越チーム 東京大学)らは、キラル光磁石を初めて合成し、光の波面を水平と垂直の間で光スイッチングするという新現象を発見しました。 この光磁石は、Fe、Nbをシアノ基で三次元架橋したキラル構造をもち、青色光と赤色光を交互に切り替えると、Fe(II)イオンのスピンクロスオーバー現象によって磁気的性質が可逆的に変化することがわかりました。 この材料を用いて第二高調波発生(非線形磁気効果)を調べたところ、青色光照射によって垂直偏光面が水平偏光面に変化し、赤色光によって元の水平面に戻ることがわかりました。 この現象は、キラル構造と光磁性変化の協奏によって誘起されると考えられ、光磁気記録や光電子デバイスへの応用が期待されます。 この成果は、"90-degree optical switching of output second-harmonic light in chiral photomagnet"の表題でNature Photonics doi:10.1038/nphoton.2013.310, 24 November 2013にオンライン掲載され、東京大学およびJSTから共同プレス発表されました。 また日本経済新聞、日経産業新聞、化学工業日報などで報道されました。

2013年10月29日
山子茂先生(山子チーム 京都大学)らは、独自に開発した手法を用いることで、ベンゼン環が三次元的につながった「ボール状」構造をもつ、新しい炭素ナノ構造体の化学合成に成功しました。この化合物は、六つの白金原子と四つのベンゼン単位との組み合わせによって正八面体構造をもつ白金錯体を「自己組織化」によって形成後、白金を還元脱離することによって得られます。 自己組織化によって、既に多くの三次元構造の遷移金属−配位子超分子が得られていることから、同じように還元脱離することによって、通常は合成困難なこれまでにない新しい三次元π共役分子を得ることが期待されます。この成果は、“Synthesis and physical properties of a ball-like three-dimensional π-conjugated molecule”の表題でNature Communications 29 October 2013, doi:10.1038/ncomms3694で発表され、京都大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)およびJSTから共同プレス発表されました。 また、日刊工業新聞、日経産業新聞で報道されました。

2013年10月18日
2013年10月17日(木)に、「プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製」3研究領域合同公開シンポジウムを開催致しました。 多数のご参加ありがとうございました。

2013年10月16日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の電子準位を決定できる経験式を確立しました。独自に開発したその場フォトルミネッセンス分光電気化学法によって実験的に測定した直径0.62〜1.1nmのデータを基にフィッティングによって経験式を誘導し、測定が困難な広範囲なSWNT直径0.5〜2.5nmの電子準位の計算を可能にしました。 電子準位はSWNTの基盤特性であり、様々な分野への応用展開に資することが期待できます。この成果は、”Empirical prediction of electronic potentials of single-walled carbon nanotubes with a specific chirality(n,m)” の表題でScientific Reports, 16 October 2013 DOI:10.1038/srep02959で発表され、九州大学からプレスリリースされました。

2013年8月11日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、慢性心不全治療薬の原料として用いられるα-ヒドロキシカルボン酸アミドの化学合成に、メチルボロン酸のような一級アルキルボロン酸が環境への負担が少ない高性能触媒として利用できることを見出しました。 この方法を用いれば、廃棄物が少なく1段階の反応で商業生産できる可能性があります。この成果は、"Primary Alkylboronic Acids as Highly Active Catalysts for the Dehydrative Amide Condensation of α-Hydroxycarboxylic Acids"の表題でOrg. Lett., 2013, 15 (14), pp 3654-3657 DOI: 10.1021/ol401537f, June 26, 2013に掲載され、中日新聞で報道されました。

2013年7月17日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、医薬品開発向けの中間体として有用な光学活性スピロラクトン類を、99%の高収率で合成可能な新しいヨウ素系不斉触媒を開発しました。 反応時間は従来の半分で、触媒量も1〜5モル%と大幅に削減できることがわかりました。新触媒の構造を解析した結果、分子内水素結合によって折りたたまれた柔軟な立体配座をもち基質に合わせて反応場が形を変え反応促進する「誘導適合能」があることがわかりました。 また反応中間体の安定性を基質の電気的性質に合わせたアルコール添加によって制御できることがわかりました。 この成果は、"Hydrogen Bonding and Alcohol Effects in Asymmetric Hypervalent Iodine Catalysis: Enantioselective Oxidative Dearomatization of Phenols"の表題でAngewante Chemie Early View 19 JUL 2013 DOI: 10.1002/ange.201303559に掲載され、 中日新聞、化学工業日報で報道されました。

2013年7月17日
有賀克彦先生(有賀チーム (独)物質・材料研究機構)らはキラリティおよび光学純度を、核磁気共鳴分光法(NMR)および独自に開発したキラル構造をもたない対称構造型ポルフィリン誘導体試薬を用いることで、簡単に測定できる新技術の開発に成功しました。 この技術の特徴は、測定するキラル分子とポルフィリンとの水素結合によってポルフィリンのβ-ピロール位プロトンの対称性が崩れ、NMRシグナルが2本に分裂することにあります。 また、その分裂幅は測定するキラル分子の光学純度に比例することがわかりました。キラルな測定試薬でエナンチオマーをジアステレオマーに変換後、NMR測定するこれまでの常識を覆す方法です。 このアキラルなポルフィリン試薬はカルボン酸、エステル、アミンなど多様な分子の光学純度測定も可能であることがわかりました。本研究成果は、 "NMR spectroscopic detection of chirality and enantiopurity in referenced systems without formation of diastereomers"の表題でNature Communications 4, Article number: 2188 doi:10.1038/ncomms3188, 17 July 2013に掲載され、 (独)物質・材料研究機構からプレスリリースされました。

2013年7月2日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、α-ヒドロキシカルボン酸アミドの新しい脱水縮合合成方法を開発しました。 これまで原料のアミンとカルボン酸の直接合成によるアミド合成においては、両者の混合で比較的安定なアンモニウム塩が生じ、脱水縮合が抑制される問題がありました。 しかし、石原チームはメチルボロン酸やブチルボロン酸を触媒として用いることで収率は90%以上に到達できることを見出しました。 この方法で得られる光学活性α-ヒドロキシアミドを還元することによって、慢性心不全治療薬に用いられるβ-アミノアルコールを合成するなど医薬品原料への展開が期待されます。 この成果は、"Primary Alkylboronic Acids as Highly Active Catalysts for the Dehydrative Amide Condensation of α-Hydroxycarboxylic Acids"の表題でOrg. Lett., 2013, 15 (14), pp 3654-3657 DOI: 10.1021/ol401537f, June 26, 2013に掲載され、化学工業日報で報道されました。

2013年6月5日
2013年6月4日(火)に、第3回公開シンポジウムを開催致しました。 多数のご参加ありがとうございました。

2013年5月3日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らはりん酸の代わりにポリホスホン酸ビニル(PVPA)をドープした、高耐久性の中/高温型固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発に成功しました。 中/高温型PEFCは、低温型に比べて、高い発電効率、加湿器・冷却器が不要などの利点があります。しかし、発電のための移動水素イオン源として用いるりん酸が高分子電解質膜や触媒層から漏出するため耐久性に問題があります。 中嶋先生らはこのような酸漏出がなく、非常に高い耐久性をもつ新しい中/高温型PEFCを開発しました(単一電池テスト繰り返し 400,000回以上)。 このPEFCは、独自のボトムアップナノ集積法によってカーボンナノチューブにPVPAをドープしたポリピリジンベンズイミダゾールを被覆し白金を坦持した電極触媒と、PVPAをドープしたポリベンズイミダゾール電解質膜からなります。 この成果は、"Remarkably Durable High Temperature Polymer Electrolyte Fuel Cell Based on Poly(vinylphosphonic acid)-doped Polybenzimidazole"の表題でScientific Reports 3, Article number:1764 doi:10.1038/srep01764に掲載されました。 また、九州大学から プレス発表され、日経、読売、西日本および日刊工業新聞で報道されました。またNature Asiaでも注目論文として最近取り上げられました。

2013年3月13日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、ミネラルとして体内の必須元素でもあるマグネシウムイオンと入手容易で安価な光学活性ジオールを 2:3のモル比で混ぜるだけで自己組織化し一種類の超分子錯体に収束することを見出しました。 さらに、この超分子錯体を不斉触媒として、不飽和カルボニル化合物への有機リン化合物の付加反応を試したところ、 用いる基質に応じて、高選択的に光学活性β−ホスホリルエステルや光学活性α−ヒドロキシホスホン酸エステルが合成できることがわかりました。 光学活性β−ホスホリルエステルは様々なP,N−配位子へと合成変換できるため、新たな不斉触媒の開発に繋がります。 また、光学活性α−ヒドロキシホスホン酸エステルは、加水分解酵素であるプロテアーゼやエステラーゼの阻害剤合成の鍵中間体となることが知られているため、新薬の開発への貢献が期待されます。 本触媒反応はグラムスケールでも再現性よく進行し、簡便な実験操作で実施できるため、極めて実用性の高い技術です。 酵素は環境に優しい理想的な高機能触媒ですが、その精巧な鍵穴をもった数万から数10万の分子量を有する触媒を単一分子として人工的に設計・合成するのは技術的に極めて困難です。 石原先生らは、今回の成果のように「予め分子設計しておいた数種類の小分子をフラスコ内で混ぜ、分子が自発的に集まって機能化する自己組織化を利用し、 一種類の超分子錯体に一気に収束させて得られる、酵素機能を凌駕するナノサイズの高機能触媒」の設計・開発を目的に研究を行っています。 本研究成果は"Chiral Magnesium(II) Binaphtholates as Cooperative Br?nsted/Lewis Acid?Base Catalysts for the Highly Enantioselective Addition of Phosphorus Nucleophiles to α,β-Unsaturated Esters and Ketones "の表題でAngew. Chemie (Early View) Article first published online: 13 MAR 2013 DOI: 10.1002/ange.201300938で紹介されました。名古屋大学−JSTから 共同プレス発表され、中日新聞、朝日新聞、日刊工業新聞および化学工業日報で報道されました。

2013年3月15日
2013年6月4日(火)に、第3回公開シンポジウムを開催します。 詳細・参加登録は、左記「イベント情報」をご覧下さい。

2013年3月1日
有賀克彦先生(有賀チーム (独)物質・材料研究機構)らは人が与える力に応答して薬物を放出するゲル材料の開発に成功しました。 薬物投与は経口摂取や注射などによるものが一般的ですが、一般的な投与法では副作用や利便性の点で問題となることがあります。 この技術を用いると例えば抗がん剤治療時に吐き気を催している患者が、口から薬物を摂取することが可能になります。 開発したゲル材料に制吐剤であるオンダンセトロンを保持させ、指圧を想定した刺激を与えると薬物が放出され、少なくとも3日間効果が持続することが分かりました。 原料のゲルは、藻類などに含まれる天然由来成分であるアルギン酸を、糖類の一種であるシクロデキストリンで架橋することにより作製しました。 シクロデキストリンがホストとなり、これに放出される薬物がゲストとして取り込まれます。 本研究成果は、"β-Cyclodextrin-crosslinked alginate gel for patient-controlled drug delivery systems: regulation of host-guest interactions with mechanical stimuli"の表題で英国の科学雑誌Journal of Materials Chemistry B, 2013,1, 2155-2161 DOI: 10.1039/C3TB00503H 14 Feb 2013のオンライン速報版に掲載され、物質・材料研究機構から プレスリリースされました。

2013年2月7日
原田明先生(大阪大学 原田チーム)らは、アミノ酸(ヒスチジン)と金属錯体(鉄ポルフィリン(ヘム))をそれぞれ導入した高分子材料を「配位結合」を介して、 センチメートルを超える大きさに集積させることに世界で初めて成功しました。この集積体にヒスチジンの水溶液を添加すると材料が離れ、洗浄すると再び集積します。 このことは、配位結合を利用して目で直接見ることのできる大きさの物体を接着させたり、離したりできる可逆的なシステムを実現できることを示しています。この成果は"Reversible self-assembly of gels through metal-ligand interactions"の表題で、Scientific Reports 3,Article number:1243doi:10.1038/srep01243, 07 February 2013に掲載され、大阪大学からプレスリリースされました。

2013年1月23日
有賀克彦先生(物質・材料研究機構有賀チーム)らは無数のナノ細孔を持つフラーレン結晶を世界で初めて開発しました。フラーレンは、電子材料などへの応用が期待されていますが、 高い性能を出すためには高表面積化などの構造を精密に制御することが課題です。今回、異なる溶剤を用いてフラーレンの結晶を析出させるという簡単な手法で、無数のナノ細孔と従来材料よりも 約10倍高い表面積を持つフラーレン結晶を作り出すことに成功しました。今後二次電池の炭素電極や、高いホール輸送性を活かしたキャパシタなど新たな材料への展開が期待されます。この成果は、 "Fullerene Crystals with Bimodal Pore Architectures Consisting of Macropores and Mesopores"の表題でJ. Am. Chem. Soc., 2013, 135 (2), pp 586-589 DOI:10.1021/ja3108752に掲載され、物質・材料研究機構からプレスリリースされました。

2012年12月20日
有賀克彦先生(物質・材料研究機構有賀チーム)らは、固体表面や生物中におけるセシウムの分布を蛍光によりミリメートル以下の精度で可視化できるプローブを開発しました。 この成果は、"Micrometer-level naked-eye detection of caesium particulates in the solid state"の表題でScience and Technology of Advanced Materials Volume 14 Number 1、2013 doi:10.1088/1468-6996/14/1/015002に掲載され、物質・材料研究機構からプレスリリースされました。

2012年12月12日
阿部二朗先生(阿部チーム 青山学院大学)らは、磁気浮上したグラファイトの運動を光により自在に操作することが可能な新しい光運動制御技術の開発に成功しました。負の磁化率を有する反磁性体は、 磁石に対して反発力を生じるため、反磁性体を非常に強い磁石の上に置くことにより磁気浮上することが知られています。 反磁性体であるグラファイトの磁化率は温度に依存することが知られていましたが、本研究グループは、磁気浮上したグラファイトに光を照射すると、グラファイトの持つ優れた光熱変換特性により 光照射部位の温度が速やかに上昇して磁化率が大きくなることで浮上距離が短くなりますが、光照射されなくなるとグラファイトの温度は高熱伝導特性のために速やかに室温に戻り、 磁化率が元の大きさに戻ることで元の浮上距離に戻ることを発見しました。このようなグラファイトの性質を利用して、磁気浮上グラファイトの2次元面内方向の運動を光で自在に操作する技術の開発に成功しました。本技術では、超電導磁石のような強力な磁石ではなく、一般に市販されている安価なネオジム磁石を使用していることが特徴です。 本研究グループでは磁気浮上した円板状グラファイトを太陽光で1分間に200回転以上の高速で回転させることにも成功しており、今後は光による物質輸送や、光アクチュエータのみならず、 新しい太陽光発電への応用が期待されます。
本研究成果は、 "Optical Motion Control of Maglev Graphite" の表題で J. Am. Chem.Soc., 2012, 134 (51), pp 20593-20596 DOI: 10.1021/ja310365k December 12, 2012に掲載され、朝日新聞、毎日新聞、日刊工業新聞、化学工業日報、TBS、Wall Street Journalなどで報道されました。

2012年12月11日
原田明先生(原田チーム 大阪大学)らは環状多糖のシクロデキストリンと光刺激応答性分子であるアゾベンゼンをセンサー&コントロール機能分子としてヒドロゲルに組み込み、光の照射波長に応じて、 屈曲したり、収縮または伸長したりするゲルアクチュエータを開発しました。このゲルアクチュエータは、生体系の選択的な自己組織化と協同効果による、形状変化やシグナルの増強といったことを参考に 分子設計を行い、ホスト-ゲスト相互作用による可逆的な結合を利用して、光刺激に応じた形態変化を実現しました。今回の成果は、光刺激によりミクロレベルで分子認識を制御し、 このミクロレベルでの制御をマクロレベルの材料の形態変化まで組み上げた世界で初めての例です。今後、この光刺激応答性伸縮ゲルアクチュエータを用いて、機能性材料の開発や医療材料の素材として 使用されていくことが期待されます。
この成果は、”Expansion-contraction of photo-responsive artificial muscle regulated by host-guest interactions”の表題で、 Nature Communications 3, 1270, 11 December 2012 doi:10.1038/ncomms2280に掲載されました。 また、大阪大学からプレス発表され、読売新聞で報道されました。

2012年11月9日
阿部二朗先生(阿部チーム 青山学院大学)らは、リアルタイムで物体の3次元情報を記録・再生することが可能な新しいホログラム材料の開発に成功しました。 ホログラフィーは空間に自然な3D画像を作り出せる技術で、クレジットカードや紙幣の隅にある光る部分などで使用されています。そこでは、画像や数字が立体的に写っていますが、 実際は画像や数字そのものではなく、その3次元情報が暗号化されてホログラムという材料に記録されています。ホログラムに光を当てると、暗号化された物体の3D画像が浮かび上がります。 これまでは、展示やアート作品に、また複写機では複製できないことを利用して、偽造防止などに使われていました。リアルタイムで暗号を記録・再生できるホログラム材料が開発されれば、 3D画像の動画を再生できる3Dテレビの開発が実現するため、新しいホログラム材料の開発が求められていました。阿部先生らは、光を照射すると瞬時に着色し、 光を遮ると速やかに無色に戻る独自に開発した高速フォトクロミック化合物を応用して、暗号をリアルタイムで記録・再生することができるホログラム材料の開発に成功しました。 このホログラム材料では、物体の動きに応じて、古い暗号が消失し新しい暗号が新たにリアルタイムで記録されるため、3D映像を再生することができます。 今回開発したホログラム材料は、大面積スクリーンにすることも可能であり、今後は新しいタイプの3D映像表示システムをはじめとして、光コンピューター素子、エンターテインメントへの利用が期待されます。
この成果は、"A real-time dynamic holographic material using a fast photochromic molecule"の表題で、Scientific Reports 2,Article number:819doi:10.1038/srep00819,08 November2012に掲載されました。また、青山学院大学およびJSTから 共同プレス発表され、日刊工業新聞、化学工業日報、朝日新聞デジタル、 日経電子版プレスリリースおよび時事ドットコムなどで報道されました。

2012年10月12日
中嶋直敏先生(中嶋チーム、九州大学)らは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)と分子の相互作用が熱力学により定量的に評価できることを明らかにしました。 キラリティが異なる4種類のSWNTを可溶化したコール酸ナトリウムを、鎖長を変えたオリゴDNA(dCn(n 4-20)で交換する反応を用いて熱力学特性(ΔG、ΔHおよびΔS)を決定しました。 その結果、1)dC5との交換反応が発熱反応である一方、dC6,8,10,15との交換反応が吸熱反応である、2)dC4とdC7の交換エネルギーはキラル指数に依存し、 吸熱にも発熱にもなりうることがわかりました。この方法はSWNTと相互作用をするいろいろな分子に応用可能で、カーボンナノチューブの熱力学科学への道を開くものと考えられます。 この成果は、"Thermodynamics on soluble carbon nanotubes: How do DNA molecules replace surfactants on carbon nanotubes?"の表題でScientific Reports 2,Article number:733 doi:10.1038/srep00733,12 October 2012に掲載され、九州大学から プレス発表されました。

2012年9月5日
大越慎一先生(大越チーム 東京大学)らは、極めて大きな保持力を有する高性能フェライト磁石の開発に成功しました。この磁石は、イプシロン酸化鉄(ε-Fe2O3)のFe3+イオンの一部をRh3+で置換したロジウム置換型イプシロン酸化鉄です。保磁力は、フェライト磁石の中で最も大きく(室温で31kOe)、希土類磁石の保磁力に匹敵します。この磁石に電磁波の一種であるミリ波を照射したところ、220GHzという高い周波数においてミリ波の偏光面の回転を示したことから高周波ミリ波の磁気回転素子としての性能をもつことがわかりました。この周波数は「大気の窓」と呼ばれ、大気による吸収が少なく無線通信に適した周波数帯とされていますが、これまでにこのような高い周波数の電磁波を吸収する磁性材料は知られていませんでした。本材料は、高画質テレビ通話や基板内無線通信などで将来有望視されているミリ波通信において、電磁波干渉問題を抑制するミリ波吸収体や磁気回転素子であるアイソレーターやサーキュレーターなどとしての役割が期待されます。この成果は"Hard magnetic ferrite with a gigantic coercivity and high frequency millimetre wave rotation"の表題でNature Communications Volume:3,Article number:1035 DOI:doi:10.1038/ncomms2038, Published04 September 2012 に掲載されました。
また東京大学、JSTから 共同プレス発表され、 日刊工業新聞、日経産業新聞で報道されました。

2012年8月27日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、ポリエステル樹脂の原料モノマーとなるエステル類製造において溶媒に水を使用できる画期的な脱水縮合触媒(ピロ硫酸アンモニウム塩)の開発に成功しました。大量の水が存在する生体内でさまざまな化学反応を可能とする疎水的な活性中心をもつ天然酵素の構造に着目し、疎水性で立体的に嵩高い置換基をもつ弱塩基のジアリールアミンと反応活性部位としてピロ硫酸を組み合わせた構造とすることで縮合反応の進行を阻害する水の影響を極力排除しました。この触媒系は工業的に幅広い分野への展開が期待できます。この成果は"Hydrophobic N,N-diarylammonium pyrosulfates as dehydrative condensation catalysts under aqueous conditions” Org. Lett. 2012, 14(1), 30-33. DOI: 10.1021/ol2027366及び”N,N-Diarylammonium pyrosulfate as a highly effective reverse micelle-type catalyst for hydrolysis of esters” Org. Lett. 2012, 14(12), 3194-3197. DOI: 10.1021/ol301290cに掲載され、化学工業日報で報道されました。

2012年8月15日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らはナイロン樹脂用モノマーであるε−カプロラクタム原料のε−カプロラクトンなどの合成に使用されているBaeyer-Villiger酸化反応において、環境負荷が小さく、新たな高選択性の技術を確立しました。工業レベルで酸化剤として通常用いられる過酢酸は、爆発の危険があり、副生するカルボン酸の除去が必要です。酸化剤として過酸化水素と酸化促進剤である脂溶性のCa[B(C6F5)4]を組み合わせることでこの問題を解決しました。この成果は"Baeyer-Villiger Oxidation and Oxidative Cascade Reactions with Aqueous Hydrogen Peroxide Catalyzed by Lipophilic Li[B(C6F5)4] and Ca[B(C6F5)4]2"の表題でAngewante Chemie International Edition, Article first published online:15 Aug 2012, DOI:10.1002/anie.201204286に掲載され、化学工業日報、日刊工業新聞及び中日新聞で報道されました。

2012年8月8日
石原一彰先生(石原チーム 名古屋大学)らは、ポリエステル樹脂や繊維、医薬品の原料となるエステルを、無色で毒性がない硝酸ランタンを触媒として合成する技術を開発しました。毒性があるスズやアンチモン触媒は医薬品原料エステルに、また着色性のチタン触媒は繊維原料エステルに不向きでした。石原先生らは、アンモニウム塩やホスホニウム塩を添加することで硝酸ランタンの活性を高め実用化可能としました。 この成果は"In situ generated “lanthanum(III) nitrate alkoxide” as a highly active and nearly neutral transesterification catalyst "の表題でChem. Commun., 2012,48, 9465-9467, DOI: 10.1039/C2CC34987F に掲載され、日刊工業新聞で報道されました。

2012年8月8日
有賀克彦先生(有賀チーム、(独)物質・材料研究機構)らは動物細胞に特定の遺伝子を高効率かつ安全に導入できるナノ構造のシートを開発し、 その成果を実証しました。遺伝子の導入方法の一つに固相トランスフェクション法があり、導入促進剤として動物由来のタンパク質である フィブロネクチンという細胞外マトリクスが用いられてきました。そのために遺伝子導入された細胞を体内に戻すような臨床応用の場では安全面で かなりハードルが高いと考えられています。しかし今回開発されたナノスケールの壁が無数に突き出たナノシートを用いると、導入促進剤なしで、 極めて効率よく遺伝子が導入されることがわかりました。本研究成果は、先天性代謝異常症、血友病などの遺伝性疾患、糖尿病などの難治性疾患の 細胞治療に貢献することが期待されます。この成果は、Chem.Commun., 2012,48, 8496-8498, DOI: 10.1039/C2CC34289Hに "Silica-based gene reverse transfection: an upright nanosheet network for promoted DNA delivery to cells "の表題で掲載されました。また、 (独)物質・材料研究機構から プレス発表されました。

2012年8月1日
中嶋直敏先生(中嶋チーム 九州大学)らは、アルキル長鎖をもつ、SWNT溶解能力の高いポリフルオレンユニットとキラルなビナフトールユニットの組成を変えたコポリマーを用いて、右巻き、左巻きのエナンチオマーが混在する合成単層カーボンナノチューブ (SWNT)混合物からのSWNTエナンチオマーの認識・分離について調査しました。その結果、エナンチオマーの認識挙動が、ビナフトールユニットの高濃度域で反転することがわかりました。この成果は、"Recognition and one-pot extraction of right- and left-handed semiconducting single-walled carbon nanotube enantiomers using fluorene-binaphthol chiral copolymers"の表題でJ. Am. Chem. Soc., 2012, 134 (30), pp 12700-12707 DOI: 10.1021/ja304244gに掲載されました。

2012年6月18日
2012年6月12日(火)に、第2回公開シンポジウムを開催致しました。
多数のご参加ありがとうございました。

2012年5月16日
原田明先生(原田チーム、大阪大学)らは、分子認識に基づくマクロな材料集積の形態を、溶媒の組成変更によって 変化させることに世界で初めて成功しました。分子認識による自己組織化は、材料科学の幅広い分野で期待される有望な技術です。 蛍光物質ピレンを結合したゲストゲル(Pyゲル)と大きさの異なる環状オリゴ糖を結合したホストゲル(αCD、βCD 及びγCDゲル)を用いて、 水とジメチルスルフォキシドの混合溶媒中で材料の集積の変化を調べました。その結果、ジメチルスルフォキシド濃度の増加とともに、 ピレンの単量体が増加(2量体が減少)し、サイズが小さいβCDゲルとホスト−ゲスト結合し易くなることがわかりました。この成果は、 "Switching of macroscopic molecular recognition selectivity using a mixed solvent system"の表題で、 Nature Communications(Vol.3,Article number:831,DOI:doi:10.1038/ncomms1841)に掲載されました。また、大阪大学、JST で共同プレス発表されました。

2012年5月7日
有賀克彦先生(有賀チーム、(独)物質・材料研究機構)らは無機物のナノメートル厚のフレーク状物体(ナノシート)でできた 伸縮自在のカプセルを新たに開発しました。このカプセルは、熱をかければ収縮・膨張し、また、いろいろな pH で調整すれば、 薬物の通り道となる外壁の孔(ナノシートの隙間)の大きさを変えることもできます。その結果、抗がん剤DOXの放出持続時間を従来の 単純構造のポーラスカプセルに比べて、数倍長くすることに成功し、機械的に安定な、DDSの移送用カプセルとして利用できることがわかりました。 この成果は、科学雑誌「Small」のオンライン速報版(May 7, 2012 DOI:10.1002/smll.201200317)、 "Flake-Shell Capsules: Adjustable InorganicStructures"の表題で掲載されました。また、(独)物質・材料研究機構から プレス発表され、日経産業新聞、共同通信、北海道新聞などで 報道されました。

2012年3月22日
戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ)の平成24年度の新規募集を 開始しました。この研究領域の概要及び研究総括方針はこちらです。

2012年2月23日
2012年6月12日(火)に、第2回公開シンポジウムを開催します。
詳細・参加登録は、左記「イベント情報」をご覧下さい。

2012年2月28日
山口茂弘先生(山口チーム、名古屋大学)、若宮淳志先生(京都大学、さきがけ「太陽光と光電変換機能」領域早瀬修二総括)らは、3つのアリール基からなる環状平面構造の中心にホウ素をもつ化合物の合成に成功しました。この化合物は、ホウ素原子の垂直方向に立体保護基がないにもかかわらず、空気、水および強酸に対して安定です。また、フッ化物イオンで処理すると、平面型構造およびボール型構造に可逆的に変化することがわかりました。電子受容性のホウ素を中心にもつこれらの平面構造化合物は、電子移動度が高い電子輸送性材料として、太陽電池などの有機エレクトロニクス分野への展開が期待されます。 この成果は、"Planarized Triarylboranes: Stabilization by Structural Constraint and Their Plane-to-Bowl Conversion" の表題で、J. Am. Chem. Soc., Article ASAP, DOI: 10.1021/ja211944q, Publication Date (Web): February 28, 2012に掲載され、JST、名古屋大学及び京都大学から共同プレス発表されました。 また、日経産業新聞、化学工業日報、日刊工業新聞で報道されました

2012年1月23日
杉山弘先生(杉山チーム、京都大学)らは、DNAオリガミと呼ばれる1辺100nm程度の長方形平面構造体に進行方向のガイドとなるDNAでできた「レール」が複数分岐したものを作成し、そのレールに沿ってDNA分子モーターを思った位置に移動させることに世界で初めて成功しました。さらに分岐点で、進行方向を人為的にコントロールし、ナノスケール下での分子の動きを制御し、高速原子間力顕微鏡(AFM)を使って数ナノメートルの解像度で観察することに成功しました。本成果により、あらかじめ設計したナノ・メゾ空間での分子の動作のコントロールが可能となり、ナノ・メゾ空間での分子の輸送や分子ロボットの開発につながるものと期待されます。 この成果は、ロンドン時間2012年1月22日(日本時間23日)に英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」オンライン版で公開されました。また、京都大学からプレスリリースされ、朝日新聞、京都新聞、日刊工業新聞で報道されました。

2012年1月4日
原田明先生(原田チーム、大阪大学)らは、光照射により分子の形が変わるゲスト分子とそのゲスト分子と結合するホスト分子(α-またはβ-シクロデキストリン)をそれぞれ固定した別々のゲルに導入して、これらのゲルがホスト−ゲスト相互作用の強さに応じて特異的に接着し、紫外線を照射すると離れ、可視光線を照射すると再接着する材料集積システムを開発しました。 光照射でゲルの集積をOn/Offスイッチ制御できるシステムを構築するとともに、さらにホスト分子が光照射によって変化したゲスト分子の構造を認識して、相互作用のより強いホストとゲストの関係にある組み合わせに切り替わる(スイッチ)挙動を初めてマクロスケールで観察することに成功しました。
この成果は、"Photoswitchable gel assembly based on molecular recognition" の表題で、Nature Communications doi:10.1038/ncomms1617 Published 03 January 2012に掲載され、大阪大学及びJSTからプレス発表されました。 また、日本経済新聞、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、MSN産経ニュース、日刊工業新聞、日経産業新聞で報道され、NHKでも放送されました。

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