科学技術振興機構(JST)では、戦略目標「プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製」の下に3つの研究領域において研究を実施しています。
1) CREST 「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」
2) CREST 「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」
3) さきがけ 「ナノシステムと機能創発」
フォトリソグラフィ微細加工技術に代表されるトップダウンプロセスと自己組織化に代表される高度なボトムアッププロセスを統合化することによって、バイオとエレクトロニクスが融合したナノシステム、自己構造化による化学反応場を利用したシステム、生体分子の示す自己複製、自己修復等といった自律的に機能する分子システムなどの次世代ナノシステムとそのための基礎・基盤技術の創成を目指しています。
7年目を迎えた本年、3研究領域第3回合同公開シンポジウムを開催し、グリーン、ライフなど多様な分野にまたがる研究成果を報告します。企業、公的研究機関、大学等の研究者・技術者をはじめ多くの方々の相互刺激の場、新たなコラボレーション創成の機会となることが期待されます。
ご多用中とは存じますが、皆様のご参加をお待ち申し上げます。
本研究領域は、フォトリソグラフィ等のトップダウンプロセスと自己組織化に代表されるボトムアッププロセスの高度化と統合化を進めることによって、革新的な機能を発現する次世代ナノシステムの創製を目指すものです。
具体的には、トップダウンプロセスによって作られた微細な電子回路、MEMS・NEMS等のナノ構造デバイスと、ボトムアッププロセスによって生成されたバイオ・有機材料、自己組織化材料等との融合を図ることにより新たな機能を発現させる研究、または機能を有するボトムアップナノ構造体を工学的に応用可能なシステムとして構築する研究を対象とし、従来にない機能、性能をもつセンサ、アクチュエータ、バイオチップ、電子・光デバイス、エネルギーデバイス等の基盤構築を目指します。さらに、これらを集積・最適化した次世代ナノシステムの構築まで念頭に置いて研究を推進しています。
次世代ナノシステムを効率よく自在に創りあげるには、トップダウンプロセスとボトムアッププロセスとの有機的な結合が欠かせません。本研究領域では、分子レベルにおける精緻なナノ構造、機能をマクロレベルの材料の構造、機能に繋げる方策を探り、ボトムアッププロセスでしか達成されない特異な構造、機能をそなえた自立した高機能ナノ構造体を創出することをめざしています。
分子、超分子レベルでは、分子機械、分子モーター、人工筋肉など精緻な構造の構築、特異な機能の発現も報告されていますが、これらのナノ構造体を自己組織化、自己集積化し、マクロレベルの材料の構造、機能に繋げることには成功していません。分子触媒、固体触媒について言えば、精緻な分子・構造設計に加え、自己組織化、自己構造化により、多段階反応のワンポット合成などこれまでにない高度な機能をもった触媒の開発が望まれています。分子材料は、その多様性を活かすことによりいかようにも姿を変えるポテンシャルを持っています。このポテンシャルを見据えて、分子レベルにおいて実現している精緻な構造、機能(化学、物理刺激応答性、触媒機能、導電性、磁性など)を、ボトムアッププロセスにより、マクロなreal worldの材料に繋げる道筋をつけ、特異な機能をもった自立した高機能ナノ構造体を創出することを本領域の目的としています。
本研究領域は、ナノテクノロジーにおけるトップダウン手法の技術の高度化、精密なボトムアップ手法の駆使、あるいはそれらの手法の融合によって、要素の単なる総和や重ね合わせではない自律的、非線形的に新たな機能を生み出す(”創発する”)研究を推進し、次世代ナノシステムの構築を目指します。
具体的には、生命科学、物質科学、精密工学、電子工学、医用工学、知能情報工学などの様々な分野における、自律的機能創発のしくみの解析・解明、あるいは機能を創発するシステムのナノレベルでの設計・創製等、独創的・挑戦的な研究を対象とします。