Home > 研究代表者・研究課題 > 平成21年度採択課題 研究代表者・研究課題
平成20年度研究代表者
平成21年度研究代表者
平成22年度研究代表者
井上 治久 | iPS細胞を駆使した神経変性疾患病因機構の解明と個別化予防医療開発 |
江良 択実 | iPS細胞を用いた組織幹細胞誘導の確立と分子基盤の解明 |
斎藤 通紀 | 生殖系列におけるゲノムリプログラミング機構の統合的解明とその応用 |
高倉 伸幸 | 生理的細胞リプログラミング機構の解明とその応用 |
高橋 淑子 | 神経堤細胞をモデルとした生体内での細胞リプログラミング法の開発 |
妻木 範行 | 組織幹細胞/前駆細胞を誘導するディレクテッドリプログラミング技術の開発 |
西田 栄介 | 細胞リプログラミングと分化における転写調節機構 |
iPS細胞を駆使した神経変性疾患病因機構の解明と個別化予防医療開発
本研究では、アルツハイマー病、筋萎縮性側策硬化症患者iPS細胞から神経系細胞を分化誘導し、神経変性を生じる微小環境(ニッチ)を再現します。また、ニッチのミスフォールドタンパク質モニタリングによる疾患予防法の確立、遺伝学的解析によるニッチ制御分子同定と該分子機能のモデル動物での評価を行います。この研究により、現在これらの神経変性疾患制圧のために最も重要とされる『早期診断・早期治療』をより発展させた個別化医療開発が可能になることが期待されます。
iPS細胞を用いた組織幹細胞誘導の確立と分子基盤の解明
間葉系幹細胞、造血幹細胞、腎前駆細胞は、難治性疾患を根治することができる有用な幹細胞です。本研究では、iPS細胞からこれらの幹細胞を、中間段階の細胞を明らかにしながら誘導する方法を確立し、幹細胞の発生・分化の分子メカニズムを明らかにすることを目指します。本研究の成果により、幹細胞を用いた従来の研究と治療をより促進させると同時に、新しい治療方法の開発を加速させる基盤が産み出されることが期待されます。
生殖系列におけるゲノムリプログラミング機構の統合的解明とその応用 (H23年度をもって終了)
生体における秩序だったゲノムリプログラミング過程を内包する生殖系列発生機構の研究は、iPS細胞誘導機構の研究を相補し、両機構の解明は、細胞の運命決定・機能維持機構解明において高い相乗効果を生み出し、再生医療の実現に貢献すると考えられます。本研究課題では、マウスES細胞及びiPS細胞から、始原生殖細胞様細胞を誘導し、その細胞を精巣に移植することにより、健常な精子、さらには子孫を作成することに成功しました。本研究により、多量の始原生殖細胞様細胞を培養ディッシュ上で作成出来ることになりました。これはゲノムリプログラミング機構解明の重要な基盤となります。
生理的細胞リプログラミング機構の解明とその応用
体細胞のリプログラミングは個体内でも生理的および内因性に生じうることが徐々に明らかになってきました。本研究では、造血幹細胞が体細胞に遺伝子/蛋白を供給して幹細胞化を誘導し、障害を受けた組織の再生に貢献しているとの予備的実験成果に立脚して、この分子機序を明らかにします。また、体内でこのような幹細胞化を受け入れる特殊な細胞を定義し、単離することにより、造血幹細胞による組織再生の画期的治療法の開発を目指します。
神経堤細胞をモデルとした生体内での細胞リプログラミング法の開発
iPS細胞の発見は、一旦分化を遂げた細胞を他の細胞タイプへと転換させる技術に道を開きました。分化転換を直接生体内で行うことが出来れば、試験管内でのiPS化やその後の移植手術など複雑な過程を回避できるものと想定されます。本研究では、生体内での分化転換法を、神経堤細胞とよばれる神経の幹細胞をモデルとして確立することを目指します。この方法は神経以外の組織にも応用可能であり、次世代型の再生医療のモデルとして期待されます。
組織幹細胞/前駆細胞を誘導するディレクテッドリプログラミング技術の開発
皮膚細胞を一旦iPS細胞にフルリプログラミングした後に臓器細胞へ再分化させ、疾患臓器を再生させることが可能になりつつあります。一方、本研究では細胞リプログラミング技術を応用し、マウス皮膚細胞から直接、軟骨前駆細胞を作り出すことを目指します。この細胞は生体で均一な軟骨組織を作り、関節疾患に対する再生医療の材料を供給しうるものです。本手法では多能性の段階を経ずに目的の細胞を得るため、腫瘍化の可能性が低減し、均一な臓器組織を作りうると考えられます。
細胞リプログラミングと分化における転写調節機構
本研究は、T.細胞リプログラミング過程における転写プログラム変換の分子機構の解明、U.細胞分化の諸過程における遺伝子発現変換プログラムの解明、V.転写カスケードを用いて分化細胞から別の分化細胞へ転換させる自動プログラムの樹立とその機構解明、W.転写因子の作用機構およびエピジェネティック制御の調節機構の解明、を目標とし、iPS細胞から特定の組織、器官を作製する技術の分子的基盤を与えることを目指します。