2016年12月
(海外調査報告書)高い被引用回数の論文を著した研究者に関する調査報告書 ~中国の研究者を一例として~/CRDS-FY2016-OR-02
エグゼクティブサマリー

 研究開発戦略センター(CRDS)海外動向ユニットでは、我が国の科学技術・イノベーション戦略を検討する上で重要と思われる諸外国の動向について調査・分析し、その結果を研究開発戦略センター内外に海外の科学技術・イノベーション動向として情報提供を行っている。

 本報告書では、高い被引用回数の論文を著した研究者に関して、中国の研究者を一例として取りまとめている。

【調査の背景と目的】
 各国別の科学技術力を比較調査する際に活用されるデータとして、科学論文について分析した科学技術・学術政策研究所のベンチマーキングがある。直近のものは2011 年から2013 年までの科学論文が対象データである『科学研究のベンチマーキング2015』と題した調査資料であるが、これによれば被引用回数を考慮したトップ1%の論文数の比較で、中国は全分野で米国に次いで世界第二位、材料科学分野では世界第一位となっている。他方、我々が属するJST/CRDS による『研究開発の俯瞰報告書(2015年)等に基づく科学技術力の国際比較』によれば、ナノテク・材料分野などで中国は米国、欧州、日本と比較して後れていると日本の専門家が評価している。  そこで、この二つの報告書のギャップを念頭に、高い被引用回数の論文数と国別の科学技術力との関係について、中国の研究者を例として調査分析したものが今回の報告書である。

【調査結果から導かれる結論】
 今回の調査において、被引用回数の多い論文を著した中国の研究者では国際的な評価や研究レベルが必ずしも高くなく、被引用回数の多さが当該論文の科学的評価の高さと直接的に結びついていない可能性が高いことがわかった。つまり、中国の科学論文の被引用回数は従来の科学論文の被引用回数とは違う意味合いを持っていると考えられ、被引用回数の多さだけを持って当該の科学論文の質を評価することには注意が必要であり、中国を含めた国別の科学技術力の評価において被引用回数の多さを過大視することは避けるべきである、ということであろう。

 ただし、中国単独の科学技術力を経年的に分析する場合には、被引用回数は有力なツールと考えられる。

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