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目次

科学技術・イノベーション動向報告
スイス編(2016年度版)

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1. スイスの科学技術・イノベーション政策の背景

1.1スイスの概要

 スイスの人口は833万人(2015年)で、そのうち外国人の比率は24.6%1 である 。国民一人当たりのGDPは8,000USドルを超え、世界的に非常に豊かな国の一つである。首都はベルンで、1848年の建国以来この地に首都が置かれている。九州よりやや小さい面積の国土には鉄道・道路が整備され、首都ベルンから、金融の中心チューリヒへ1時間、医薬創薬の拠点バーゼルへ1時間、時計産業から派生した精密機械工業で栄えるビエンヌ・フリブール地区まで1時間、EPFLのあるローザンヌ・ジュネーブまで2時間、と非常にコンパクトな国である。産業構成比は、第一次産業が1%、製造業が19%、サービス業が8割近く2と、日本やドイツに似てものづくりに軸足のある国家である。グローバル企業である、Roche、Novartisの製薬2社、世界最大の食品会社Nestlé、産業機械・重電のABBを支える、研究者やマネージャーといった人材だけでなく、高スキルな専門労働者を供給できるスイスは、欧州の平均と比較しても失業率が著しく低い3。政治体制は連邦制で、連邦議会は直接選挙による国民議会(Nationalrat)と州政府の代表による前州議会(Ständerat)二院制である。内閣は連邦参事会(Bundesrat)とよばれ、連邦議会から7人が選出される。7閣僚は1つの担当省をもち、1年ごとの交代制で大統領職を兼任する。もうひとつの特徴は直接民主制で、民意は年に2回行われる国民投票を通じて反映される。EUには非加盟だが、EFTA(欧州自由貿易連合)に加盟、さらにEUとの二国間協定をもって、EUの枠組プログラム等に参加してきた。

図表1-1 スイスの基本データ(2015年)

図表1-1 図表スイスの基本データ(2015年)

1.1.1 名目GDP

 世界銀行の統計によれば、スイスの2015年のGDPは約0.7兆ドルであり、日本の約1/6、米国の1/25にあたり、日本や米国と比べれば、経済規模は大変小さいといえる。

1.1.2 一人当たりの名目GDP

 同じGDPの比較でも、全体のGDPと人口一人当たりでのGDPでは様子が異なる。世界銀行の2015年のデータによれば、スイスは約8.0万ドルで一人あたりの名目GDPは主要国の中で最も高く、人口は日本の1割に見たいないほどしかいないため、国全体のGDPが日本の1/6という結果になっているものと考えられる。

1.1.3 経済活動別のGDP構成比(%)4

 世界銀行の2012年のデータより、経済活動別のGDP構成比(%)を示す。スイスの経済活動別のGDP構成比(%)は日本とスイスに近い割合であるといえる。

図表1-2 主要国の経済活動別のGDP構成比(%)(2012年)

>図表1-2 主要国の経済活動別のGDP構成比(%)(2012年)

出典:世界銀行

1.1.4 ジニ指数

 世界の所得格差の現状について、社会全体の不平等を測る指標としてはジニ係数(Gini coefficient)があげられる。ジニ係数は0と1の間を取り、ジニ係数の値が0に近ければ所得格差が小さく不平等が小さい社会といえるが、1に近づくと所得格差が大きく不平等な社会といえる。次に示すのは、ジニ係数を100倍し、パーセント(%)で表示したジニ指数(Gini Index)である。世界銀行のデータでは日本のデータが2008年までしかなかったため、2008年に近い、2010年のデータを用いている。2010年のデータを用いた理由としては、2010年には日本以外の国のデータは全て揃っており、他の年と比べて比較がしやすいことが理由である。スイスの数値を見ると32.7%であり、日本(32.1%)やドイツ(31.1%)に近く、中国(42.1%)や米国(40.9%)と比べるとそこまで高い位置にあるといえない。

図表1-3 ジニ指数の比較

図表1-3 ジニ指数の比較

出典:世界銀行

1.1.5 ジニ指数5

 The Fortune 2016 のGlobal500によれば、14位がGlencoreで収益が1,705億ドル、66位がNestléで収益が923億ドル、141位がZurich Insurance Groupで収益が606億ドル、167位がRoche Groupで収益が524億ドル、175位がNovartisで収益が510億ドル、257位がUBS Groupで収益が385億ドル、282位がSwiss Reで収益が357億ドル、286位がABBで収益が355億ドル、292位がCredit Suisse Groupで収益が352億ドルとなっている。300位以降も6社がランクインしている。概ね金融関係の企業が多いが、世界最大の食品メーカーであるNestlé、製薬のRoche、Novartis、重電のABBと順当にランキングしている。

2. 科学技術・イノベーションに関連する組織・制度

 スイスは連邦制国家で、26のカントン(州・準州)と2,408の地方自治体(市町村)から成る。国家建設の際、カントンが集まってスイス連邦を作ったことが始まりで、連邦政府よりも州、市町村政府の権限が強い。さらに住民が所属する共同体の意思決定に直接参加する直接民主制度を採る国であり、地域の独立制が非常に高いことが特長である。教育は原則として地方政府が所掌し、2校の連邦工科大学を除く高等教育機関は州が所掌している。州立の総合大学が10校、専門大学(Fachhochschule:FH)が7校(この他、私立のFHが2校ある)、14の教育大学が州の財政から支出されている。科学技術の助成機関は、主に基礎研究の促進を行っているスイス国立科学財団(Schweizerischer Nationalfonds:SNSF)と応用研究、起業家支援、技術移転を振興するスイス連邦技術革新委員会(Kommision für Technologie und Innovation:KTI)がある。連邦大学および4つの公的研究機関をまとめてETH-グループとして世界最高レベルの研究と教育の効率性の高い運用を実施している。このグループを管理監督する機関としてETH理事会が設置され、戦略を決定、推進している。

2.1行政機構

 連邦国家のスイスは連邦省庁の規模が大変小さい。科学技術イノベーションに関与しているのは、連邦経済教育研究省(WBF)下の教育研究イノベーション局(SBFI)、経済局(SECO)および連邦環境交通エネルギーコミュニケーション省(UVEK)である。

図表2-1 スイス行政機構図

図表2-1 スイス行政機構図

出典:連邦経済教育研究省

2.2行政機構

 スイス国立科学財団(SNSF)は社会科学から自然科学、工学まであらゆる分野の基礎研究の促進を行っている。スイス連邦技術革新委員会(KTI)については5章の研究開発にかかる施策・プログラムで詳述するので、ここではSNSFの組織と実施されているプログラムについて記す。

2.2.1 SNSFの概要

 第二次世界大戦後の1940年代後半に雇用創出のためのプログラムとしてスタートした。公式に設立された1952年当時は民間の基金であったが、現在は官民連携の体制になりスイスの主要な公的ファンディングを担っている。公的な部分の資金は連邦政府が拠出しており、カントン(州)政府は関与していない。SNSFの戦略目標は、①研究者にとってスイスが魅力ある研究環境であり続けること、②研究ニーズに対応した最適なファンディングを提供すること、③国際化を推進し、国際競争力の維持を支援すること、④研究と社会をつなぐこと、としている。基礎研究と応用研究ははっきりと区別することが難しい、ゆえに応用・開発を見据えた基礎研究をニーズに応じて助成していくことに重点を置いている。

 基礎研究の助成機関として、2014年に8億4,850万CHF(約920億円)を3,469プロジェクトに拠出している。内訳としては、25%が人文社会学系、38%が数学、自然科学、工学系、37%を生物、医学系となっており、バイオ・医学分野への比率が高いことが分かる。この8億CHF強という数字はスイスの総研究開発費185億の約5%を占めている。

2.2.2 戦略策定について

 SNSFの最高意思決定機関は基金理事会(Stiftungsrat)で、メンバーは連邦政府の代表、カントン政府の代表、大学学長らで構成されている。この直下に委員会が設置されており、この委員会が他の部局を統括している。次に重要な組織は、研究理事会(National Forschungsrat)で、ここではプロジェクトの評価を行っている。スイスおよび近隣諸国の大学教授約100人からなっていて、さらに領域別の①人文社会、②自然科学・工学・数学、③生物、医学、④プログラムの計4グループと、専門別の①キャリア支援、②国際協力、③領域横断プロジェクトの3つの委員会に分かれている。いずれのグループと委員会の長(計7人)が、運営委員会(Präsidium)を構成しSNSFの戦略策定に大きな役割を果たしている。事務局はのべ240人の職員がいて、実務的な部分を担っている。

 戦略決定プロセスとしては、先ず研究理事会の各グループおよび専門別委員会から提言が出され、研究理事会総会(100人全員)で検討される。その後、運営委員会で承認され、基金理事会の委員会、基金理事会と進み戦略決定となる。事務局は一連のプロセスを事務方としてサポートする。

図表2-2 SNSF組織図

図表2-2 SNSF組織図

出典:SNSF Portrait

2.2.3 SNSFのファンディングスキーム

 SNSFのファンディングは5つのスキームから成る。図表2-3を見ると、博士課程の学生から教授ポストを得るまでの若手研究者に厚い支援が実施されていることが分かる。(  )内は2014年度実績。

 プロジェクトは研究重点課題(NFS)に指定されたロボティックスや疾病の分子構造解析などの戦略的国際競争強化の領域を、プログラムは連邦政府が推進するエネルギー転換政策に伴う連邦研究プログラム(NFP)分野の研究に対して助成されている。採択率はプロジェクトのスキームで平均5割程度となっている。

図表2-3 SNSFの助成スキーム

図表2-3 SNSFの助成スキーム

出典:SNSF Portrait

2.2.4  国際化支援

 博士課程あるいはポスドクの早い時期に海外での経験を積むことを推奨した奨学金のシステムは手厚く構成されている。これらの奨学金を受けた研究者が、海外での研究滞在の後に帰国しなければならないという決まりはないが、実際は、スイスでの研究環境が良いため多くの研究者が帰国している。一方、スイスの大学は世界中の優秀な研究者に対しオープンとなっているため、帰国を希望するスイス人とスイスでのポストを望む外国人研究者は全く同じ条件で競争せざるを得ない。

 ドイツ、オーストリア、ルクセンブルク、フランスとLead Agencyという国際的枠組を新しく開始した。従来、二国間でそれぞれの国の公募が成立して初めて共同研究が始まったが、相手国の公募を待つことなく、自国のファンディング機関での審査をもってプロジェクト申請を可能にする、採択迅速化の試みである。

2.3高等教育

 公立の大学としては、2校の連邦工科大学をはじめとして、10校の総合大、7校の専門大学(Fachhochshule)、14校の教育大学がある。連邦工科大以外は州の財政下で運用されている。スイスで学ぶ学生の半分以上が世界大学ランキング200位内で教育を受けており、非常に高いレベルにあるといえる。一方で大学進学率はOECD平均値と比較しても非常に低い20%程度なため、学生一人当たりに割り当てられる教育費6は1万6,090USDとなっておりOECD諸国の中で最も高い。

図表2-4 大学ランキング(総合)7

図表2-4 大学ランキング(総合)

出典:連邦経済教育研究省

 現在、スイスの大学生数は12校合わせて14万人あまりで、うち約5割が女子学生、約4割が外国人留学生からなっている。外国人留学生の割合は修士より上の過程で多くなっている。これは学部の授業がドイツ語圏ではドイツ語、フランス語圏ではフランス語で行われているのに対し、修士および博士過程では英語で実施されていることによる。学部でも過半数の学生が英語での授業を希望した場合は授業を英語で行う場合もある。EUのボローニャプロセスに統合されたことで、学制は学士(Bachelor)、修士(Master)、博士(Doctor)に統一された。

 90年代に設立された比較的新しい大学が専門大学(FH)である。従来の職業高等専門学校がカリキュラムを一新して「大学」のステータスを得た。就労経験やドイツ語圏に見られる職業訓練と学科の授業を並行して受ける徒弟制度をベースにしたデュアル教育(Dualsystem)を修めた者を受け入れ、より高度な実践的な教育を施している。総合大学への進学が可能な普通科高校卒業資格(Matura)のみをもつ学生は、最低1年間の就労を証明しなければ入学を許可されない。

 なぜETHだけが国立(連邦大学)なのかを記述する。これはTessin州選出の教育相Stefano Fransciniの功績が大きい。1850年当時、ミラノは欧州の中でも先進的でリベラルな都市で、イタリア語圏出身のFransciniはミラノ大学に倣って複数のカントン(州)に分散したキャンパスを持つ連邦大学を作るべきだと主張した。しかし、Kanton政府の反対に遭って連邦総合大学の創設を断念、19世紀には科学として認知されていなかった学問分野であるの工学のみを専門とする大学を連邦大とすることになったと言われている。従って現在でもETHには医学部や人文社会学系の学部や学科がない。

 教育と研究環境の整備と活動の支援を公的な資金で徹底して行う一方で、イノベーション創出は最終的に産業界の使命であるという認識が徹底している。つまり、国と州はイノベーションを生むまでの環境整備と人材の供給および高等教育・研究機関から派生した知識が技術を社会に渡すまでを任務としている。大学推進調整法(Hochschulförderungs und koordinationsgesetz8)には、大学のミッションとして、教育、研究およびサービス(技術移転)と明記されている。とはいえ、歴史的にみれば産学連携や大学から産業界への技術移転はここ20年余りで急速に発展したきた流れである。設立の背景から、もともと産業界と近い関係にあった連邦工科大を除く総合大学は21世紀に入り、自発的に学内にTLOを設置して研究成果の実用化を計ってきた9。現在も、技術移転、産学連携の中心は2校の連邦工科大学と実務に即した教育と応用研究を行う専門大学(FH)である。連邦工科大に医学部がないため、バイオ関連事業での総合大学とグローバル企業の連携は増加傾向にある。

2.3.1 連邦工科大チューリヒ校(Eidgenösische Technische Hochshule Zürich:ETHZ)

 1855年開学の工科大学。学部制は採らず、自然科学、工学、数学、建築学などの分野で16の学科(Department)がフラットな組織を構成している。最先端研究で欧州を、世界をリードする一方で、スイス伝統の実践的職業訓練の精神が浸透していることで、実践的な教育、社会への知識や技術の応用に結びつく研究が行われていると言われている。

■ ETHZ基本情報(2014年)

 総学生数1万8,600人のうち博士課程に属するのは4,000人、ポスドクが1,200人程度で、教授は約500人となっている。年間予算16億CHFのうち民間資金を含む外部資金は、3.5億CHFと比較的高い比率である。これまでA.アインシュタインを始め21人のノーベル賞受賞者を輩出している。

 スイスで高校卒業資格(Matura)に受かれば点数に限らずETHZに入学が許可される。しかし1年終了時点で試験があり、60%が不合格となる厳しさである。この60%の学生は翌年テストの再受験が可能だがここでも4割は合格できず、2度の試験に落ちた場合は退学となる。マスター以上では英語の授業となるため、スイスの普通科高校では英語教育が以前にも増して熱心に行われるようになり、生徒の英語レベルは年々上がっていると言われている。

図表2-5 ETHZ基本情報(2014年)

図表2-5 ETHZ基本情報(2014年)

■ ETHZの組織

 大学の代表は総長(Präsident)で、その下に学長(Rektor)が置かれ、総長は教授の新規任命、研究、イノベーションを担当、学長は教育に関する権限を持つ。総長選は、ETHZ理事会が候補者を立て連邦参事会が任命するという過程を採る。2015年から総長はProf. Lino Guzzella、学長はProf. Sarah M. Springmanが務めている。

図表2-6 ETHZ組織図

図表2-6 ETHZ組織図

出典:ETHZ ウェブサイト

■ 基礎研究から起業まで一貫した支援体制

 ETHZでは博士課程、ポスドク研究者の財政支援だけでなく、優秀な研究者をETHZに留めるためのさまざまなプログラムが存在する。大学の教育および研究の質を維持するためには、3-4年で新しい頭脳が入れ替わることも必要だが、ハイリスクで長期的な研究を持続的に行うためにもポストの確保が重要と考えられている。例えば、下表のResearch Grantsは、1人の研究者もしくは最大3人の研究チームを1年50万CHFで3年間支援するETHZ独自の人材支援プログラムである。また日本の科研費にあたるSNSFのグラントは採択率が50%を超えており、基礎研究を続けるための環境としては申し分ない。加えて、RocheやNovartisといった世界企業をも凌ぐと言われる研究設備へのファンドも用意されている。開学の精神である「産業の支援」は現在でもETHZのミッションに強く活かされており、基礎研究に強みのある大学ながら、企業との共同ラボを始め、プロジェクトベースの産学連携、知的財産のライセンシングによる技術移転等、産業界とのつながりは非常に強い。加えてKTIやEUのプログラムなど、公的資金を利用しながら民間とのマッチングをする仕組みが上手く機能している。さらに最近では起業支援を積極的に行うなど、基礎研究の支援からイノベーション創出まで、さまざまなツールでの複層的なサポートになっていることが分かる。

 ETHZの独自プログラムは多くがETH基金(ETH Zürich Foundation)から拠出されている。ETH基金は、個人・企業からの寄付や投資からなっており、2003年に設立された法人である。

図表2-7 ETHZ組織図

図表2-7 ETHZ組織図

ETHZメインビルディング(ドーム)

ETHZメインビルディング(ドーム)

出典:Wikimedia Commons

■ ETHZの戦略

 今後10年間のETHZが特に重要な分野としてみているのは、①医学、創薬と周辺領域全般。医学部をもたないETHZは隣接するチューリヒ大や他の医学部を持つ大学と連携し、またバイオ全般、工学分野や情報分野と連携することで、スイスの主要産業に寄与すること。②データサイエンス分野は今後一層の発展をすると予測されることから、これらの研究をリードできるようにすること。③第一次から三次まで関わった産業革命に、第四次も積極的に関与するための時勢大製造技術、デジタル化に関わる分野④エネルギーは国家のそして世界の課題でもある。持続的なエネルギーそして環境研究はスイスの最大の関心でもある11

2.3.2 連邦工科大ローザンヌ校(Ecole polytechnique fédéral de Lausanne:EPFL)

 1969年設立の連邦2校目の工科大学である。フランス語圏でも長年、連邦工科大を開校したいという願いがあり、ようやくEPFLは設立された。もとはローザンヌ大にあった工学部がEPFLとして独立した形をとっており、ローザンヌ大には人文社会学系、法律系の学部のほか、医学部が残っている。2000年に、数学、物理、化学の学部がローザンヌ大から切り離され、EPFLに編入された。

■ EPFL基本情報(2015年)

 総学生数約1万人のうち博士課程に属するのは2,000人、ポスドクが200人程度で、教授は約300人となっている。外国人比率はETHZよりさらに上で、博士過程学生の8割、教授のほぼ全員が外国籍となっている。年間予算9.65億CHFのうち民間資金を含む外部資金は、約1/3でETHZ同様高い比率である。

 EPFLには全5学部(建築・環境工学部、機械・マテリアル・マイクロ工学部、基礎科学(化学・数学・物理学部)、情報通信学部、生命・バイオ工学部)の他、2つのカレッジ(マスターコースのみ)、技術系(MoT、ファイナンス工学、ベンチャー)と人文系(人文社会学、地域文化学、オントロジー、デジタル人類学)がある。後者のカレッジについては、ETHZは本来の工学領域ではないコースについても教授職を作り授業ができる体制にあるが、EPFLではこれらのコースはバーチャルでコース履修は必須だが、教授はローザンヌ大から派遣されている。学部の授業はフランス語、修士以降は英語の授業・試験となっている。

図表2-8 EPFL基本情報(2015年)

図表2-8 EPFL基本情報(2015年)

EPFL全景

EPFL全景

出典:Wikimedia Commons

図表2-9 EPFL組織図

図表2-9 EPFL組織図

出典:EPFLウェブサイト

■ EPELの改革

 2016年末に退任するProf.Patrick Aebischer(Dr.MD)総長の手腕によるところが大きいとされている。2000年に就任後、4期16年の任期中に学部の再編、新学部の創設、イノベーションスクエアの設立など多くの改革を成し遂げた功績が高く評価されている。ETHZと違い、学長(Rektor)ポストのないEPFLだからこそできた改革として、医工連携にあったといわれている。上述の基礎科学(数学、物理、化学)のEPFL移行と合わせ、内部の反対を押し切っての生命・バイオ工学科の新設は、今になってみれば先見の明があったといえる。Aebischer総長は80年代から90年代初頭にかけて米国のブラウン大学に奉職していた米国型の学部横断的な研究環境を、スイスの大学へ導入、整備した。2017年1月からは現副総長のProf. Martin Vetterli(電機工学) が総長に就任することが決まっている。

■ EPELのイノベーション・パーク事業

 開学以来、大学の知見を産業に活かすことはテーマであり続けている。1990年代以降EPFLの産学連携は、どちらかというと中小企業を対象としている。90年代にしきりに議論された「開かれた大学にすべき」は、中小企業に対してどう大学が技術移転をするかという話だった。中小企業の多くは研究開発能力がない。中小企業が必要とする研究は必ずしも先端研究ではないし、最新技術を必要としない。しかし、EPFLレベルの大学でも協力できることや、EPFLの研究者にとって面白いと思えることがないとは言えない。FHと中小企業の連携プロジェクトへの助成が多いKTIのファンディングも、EPFLと中小企業の事案でも数は少ないが利用されている。

 一方で、1991年に敷地内にサイエンスパークが作られた。現在は13の研究棟を構え、160社が入居している。うち、23社はNestléやCiscoといったグローバル企業だが120社のEPFL発ベンチャーも含まれる。Nestléは5年で5億CHF余りを投じ、健康分野の研究を行っている。EPFL Industrial Liaison Program: CASTがスタートしたのが1986年、マサチューセッツ工科大(MIT)にも同様の組織があって、それを参考に企業からの引き合いをまとめて引き受ける窓口の役割を果たしていた。この組織は現在も存在する。その後、91年に産官連携による財団、サイエンスパークが作られた。さらに95年にはスタートアップ支援の基金が作られた。2000年にAebischerが総長になると、産業界から人材を招き、副総長のポスト(VPIV)を与え、イノベーションに関わる機関を組織化した。敷地内Innovation SquareにはNestléが1棟まるまる研究施設を持っている。5年で5億CHF余りを投じ、健康分野の研究を行っている。EPFLのスピンオフとして有名なのは、ドローン技術で企業したFlyability。ドローンを球型のケースに入れて飛ばすことで、安全性を高め商業ベースに乗せた。

2.3.3  総合大学

 スイス最古の大学は1460年開校のバーゼル大学である。スイスにある10校の総合大学には、人社系学部である法学部、経済学部、文学部などの他、5校に医学部が存在する。連邦工科大同様、ボローニャプロセスへの統合で、Bachelor、Master、Doctorの学位となっている。授業は原則として大学が存在する地域の言語で行われるが、グルーバル化の進展に伴い外国籍教員の数が増えたり、スイス特有の課題12もあって英語での授業が徐々に増えたりしている。外国人留学生の割合は大学によって異なるが12%(ドイツ語圏ベルン大学)から67%(イタリア語圏ルガノ大学)となっている。

図表2-10 州立総合大学一覧

図表2-9 EPFL組織図

図表2-11 連邦工科大/州立大学 所在地(赤枠丸は連邦工科大)

図表2-9 EPFL組織図

2.3.4 州立専門大学

 専門大学(Fachhochschule:FH)は、職業訓練を受けている層(普通科高校卒業資格:Maturaを持たない)に高等教育を受ける機会を与え、より高いスキルを身につける機会を提供することを目的として90年代に設立された比較的新しい高等教育の制度。もともと、技術専門学校(Technikum)という名で開校していた複数の学校を統括し、複数キャンパスの専門大学としてスタートした。1995年に施行された専門大学法(Fachhochschulgesetz:FHSG)に従い設立されたが、職業教育や資格試験を連邦政府が所管していることから、同法は連邦政府が所掌、執行していた。つまりFHの学位はかつて連邦政府の認証資格だったが、現在は国家資格(職業資格)ではない。2012年に同法は、高等教育推進調整法(Hochschulförderungs- und -koordinationsgesetz: HFKG)に統合され、総合大学、教育大学と同じく、州による管理に移行、FH卒業資格は総合大学の学位(Bachelor/Master)と同じ扱いとなっている。

 FHと総合大学の違いは、総合大学が真理の追究、つまり基礎研究に軸足がある一方で、FHはより実践に近い応用研究を担っていることである。FHに入学を許可されるのは、デュアルシステムに基づいた職業訓練(Berufliche Grundbildung)を受け、さらに一般教養課程(Erweiterete Allgemeinbildung)を修めた二重資格(Doppelte Qualifikation)を持つ学生と定められている。この資格を職業高校課程修了証(Berufsmaturität)という。普通科高校(Gymnasium)を卒業した学生がFHに入るには最低1年の職業訓練(Praktikum)を経なければならない。

 FHのコースは原則として全日制で職業を掛け持ちして(デュアル制度)の授業はない。一部、修士の学生は企業に属しながら研究を続けることもできるが、その場合は本来2年の課程が1年間延長される。研究も限りなく実務に近く、FHでの研究助成は技術イノベーション委員会(KTI)の競争的資金が中心である。技術移転を積極的に行っておあり、各校では規模が小さいために連邦レベルの組織としてスイス技術移転協会13(Swiss Technology Transfer Association)が存在している。多くのFHでは技術移転のプログラムの他、スタートアップ向けのコーチングプログラムを提供している。2014年には全国のFHで公式なものだけでも677件の研究委託の合意がなされた。

図表2-12 州立専門大学一覧

図表2-12 州立専門大学一覧

図表2-13 州立専門大学 所在地

図表2-13 州立専門大学 所在地

2.4研究機関ETHグループ

 連邦政府の機関として連邦工科大2校と4つの研究機関を合わせた組織をETHグループ(ETH Bereich)と呼ぶ。スイス連邦工科大法(ETH法)で、ETHグループの6機関は連邦経済教育研究省直下に置かれて、効率的に世界最高レベルの研究とイノベーションを推進している。

 6つの機関を監督する組織としてETH理事会(ETH Rat)が置かれ、連邦参事会と連邦議会が通常4年間の課題を理事会に委任、それに応え理事会は目標達成のための具体的な戦略を作成する。現理事長はDr. Fritz Schiesser(Glarus州選出の元州議会議員/2016年現在)。この項ではETHZとEPFLを除く4機関を記述する。

2.4.1 ポールシェラー研究所PSI Paul Scherrer Institut

 中性子源、シンクロトロン源、ミューオン源を有する大型研究施設。物質、材料、エネルギー、環境、健康というテーマで最先端の研究が行われている。前身は1960年に設立された連邦原子力研究所(Eidgenössisches Institut für Reaktorforschung: EIR )。いくつかの研究機関が統合されたあと、 1988 年以来現在まで、基礎研究と応用研究を通じて、社会、経済、科学の分野の中心的問題について持続可能な解決に取組んでいる。2016 年に新しい大規模研究施設、X線自由電子レーザー施設SwissFEL を開設する。PSIではガンの陽子線治療も行っている。

図表2-14 PSI基本情報(2015年)

図表2-14 PSI基本情報(2015年)

2.4.2 2連邦森林雪氷景観研究所

 WSL Eidgenössische Forschungsanstalt für Wald, Schnee und Landschaft

 景観や森林、バイオダイバーシティ、自然危機や雪氷の状態と変遷を観察・監視し、地球環境の変化と自然の生態および文化的景観の活用と保護を研究している。ビルメンドルフの本部の他、ダボス、ローザンヌ、ベリンツォーナ、ジッテンに拠点を持つが、職員の約四分の一はダボスの WSI 雪氷雪崩研究所に勤務している。自然災害に対する優れた保護策を講じ、適時の警告を可能にしていくことや、連邦環境局(BAFU)との共同研究プログラムである『森林と気候変動』などの研究に取り組んでいる。

図表2-15 WSL基本情報(2015年)

図表2-15 WSL基本情報(2015年)

2.4.3 連邦材料試験研究所

 Empa Eidgenössische Materialprüfungs- und Forschungsanstalt

 ナノ構造物質およびナノ構造表面、環境・エネルギー技術、建築技術そしてバイオ・医療技術の各分野において産業界のパートナーやスピンオフと共同で、研究成果の社会実装を目指している。さらに社会のサステイナビリティーな発展に向けた学術的基盤も作り出しています。この外多数の産業プロジェクトやスイス国立科学財団 (SNSF)、技術イノベーション委員会 (KTI)、そして EU プログラムによって資金提供を受けたプロジェクトが 常時 300 件ほど 進行している。

図表2-16 Empa基本情報(2015年)

図表2-16 Empa基本情報(2015年)

2.4.4 連邦水科学技術研究所

 Eawag:Eidgenössische Anstalt für Wasserversorgung,Abwasserreinigung und Gewässerschutz

 自然に近い水源から完全技術化された排水管理システムにいたるまで、水に関する研究を総合的に行っている。 ここでの研究活動の焦点は、人類が水を使用することで、どのように水中生態系の機能維持し抵抗力を回復させ、バランスを保っていくことができるかである。デューベンドルフにある敷地内に36の試験用の池を備えたヨーロッパでも唯一の施設を構築、2016 年にはこの施設の利用が開始される。

図表2-17 Eawag基本情報(2015年)

図表2-17 Eawag基本情報(2015年)

2.5教育制度

 義務教育は9年、その後で見習い雇用契約を企業と結び、特定の職業訓練を受ける教育と大学進学を前提とした普通科高校での教育とに道が分かれる。OECDのデータ14によると、普通科高校への進学は24%とOECD平均35%と比較すると極めて低い数字である。むしろ職業訓練を受けるコースの方が一般的で7割を超え、大学進学コースを選択する方が稀である。これは、生涯賃金に差があまりないこと15、職業訓練に進んだ後も、途中で職業を変更したり研修を受けて職能を上げたりする機会が多様で選択肢が多いこと、伝統的に手に職をつけ自立して収入を得ることに社会的価値を置いていることなどが上げられる。職業高校課程修了証(Berufsmaturität)を得て、専門大学や総合大学に進学する生徒も含めれば進学率は40%を超えると言われている。

図表2-18 教育制度

図表2-17 Eawag基本情報(2015年)

出典:SBFI

3. 科学技術・イノベーション政策の歴史

 70年代、ブレトンウッズ体制が崩壊したころ、フラン高、アジア(日本)の台頭などスイス経済は構造的な問題を抱えていた。そこで国際競争力を持続的に維持するために、特定の産業を支援しないことと、製造業の高付加価値化という方針がとられた。これらは現在にも継続して取られているスイスの競争政策である。一方で、連邦政府は1991年、次の6つの戦略的研究重点分野(Schwerpunkt-programme der Forschung)を選定し、2期8年に渡り支援した。助成総額は、第1期が3億5,700万CHF、第2期が2億9,300万CHFで、あくまで政府は、次のイノベーションを創出しうる分野の支援と環境の整備を行うことに徹するという、研究開発、イノベーション政策のベースになっている考え方である。

図表3-1 戦略的重点分野テーマと予算額

図表2-17 Eawag基本情報(2015年)

 戦略的研究重点分野プログラムは、その後連邦研究能力センターと国家研究プログラムプログラムに引き継がれた。

3.1連邦研究能力センターと国家研究プログラム

3.1.1 連邦研究能力センターNational Centres of Competence in Research(NCCRs)

 NCCRはドイツ語では、国家研究重要課題(Nationas Forschungsschwerpunkte:NFS)といい、中長期的な視点からスイスの経済や社会にとって戦略的に大きな意味を持つと考えられる研究を推進している。2000年にスタートした同プログラムは、大学もしくは研究機関が自発的に応募申請した研究課題を海外の専門家を含んだ有識者会議にて検討し採択、連邦議会の承認によって助成開始となる。最長12年(1期4年x3回)の拠点型ファンディングプログラムである。助成の対象は大学と研究機関に属するの研究グループで、関連する研究ネットワークも含まれる。各NCCRには拠点大学/研究所(Leading House)が認定され、加えて1ないし2つのCo-Leading Houseが指定されている。2001年から現在まで、一部終了した課題も含め36課題が採択されている。

 拠点の採択にあたっては、

  • 卓越した国際的に評価の高い研究の実施
  • 知識、技術の移転
  • 同時に教育と機会の平等を実現すること、に重点を置いている。

 助成はSNSFに委託して実施されるが、大学側は自己資金と外部資金を追加的に投入できる。これは自律的かつ持続的な研究拠点の形成に寄与し、最先端の基礎的研究だけでなく、特許の取得やスタートアップ創出、若手研究者のキャリアアップなど副次的な効果を上げている。1NCCR当たりの助成金額は平均3,500万CHF/年、2001年から2013年までの累計で外部資金も合わせた全体額は23億CHF、参加した研究者はのべ6,000人あまりとなっている。


 現在21のNCCRsが助成されている。

図表3-2 助成中のNCCRs(2016年現在)

図表3-2 助成中のNCCRs(2016年現在)

3.1.2 国家研究プログラムNationale Forschungsprogramme (NFP)

 NFPは、重要な社会的課題を科学的に解決するという目的で1974年に導入された。NFSとの違いは、課題解決型(Needs oriented)な研究テーマの設定であることで、実社会に活きる知識や技術であることに大きな価値を置いている。連邦参事会(Bundesrat)はNPFに平均5年で1千万~2千万CHFを拠出している。NFPに採択される条件は、

  • 領域横断的な研究テーマであること
  • 個々のサブプロジェクトには明確な達成目標があること
  • 技術移転に軸足をおくこと、である。

 2016年までに合計75のプログラムが採択されている。国家プログラムという名称がついているが、研究テーマの選定は基本的にボトムアップであり、学会や科学コミュニティが教育研究イノベーション局(SBFI)にプロポーザルを出し、局内、省内での検討プロセスを経て、連邦経済教育研究省(WBF)から連邦参事会に予算要求される。新規プログラムの実施はSNSFに委託され、他のテーマおよびサブプロジェクトとの調整や運用の方針を決めた上で公募実施の運びとなる。テーマは科学技術に限らない。NFP第一号(NFP01)のテーマは、1975年の「心血管疾患の予防」だった。


 現在助成中(一部公募中)のNFPは、次のとおり。

図表3-3 助成中のNFP(2016年現在)

図表3-3 助成中のNFP(2016年現在)

4. 現在の科学イノベーション政策の全体像

 政府の政策は強い者をより強く、国際競争力の維持のために継続的なイノベーションを生み出すための環境を整えるという考え方に基づいている。さらにもう一つの軸は、政府が決めるトップダウン型の科学技術・イノベーション政策ではなくボトムアップの原則に立脚した研究開発が実施されている。

4.1公的機関の役割

 スイス連邦憲法(64条)には、科学研究とイノベーションの推進は重要な連邦政府の任務とある。連邦政府の基本的な姿勢は、基礎研究環境の整備と人材の育成に重点を置いている。基礎研究を助成するSNSFへの拠出額と技術移転および応用研究開発のファンディングを実施するKTI16への拠出学は約7:1になっていることからも明らかなとおり、産業化まで距離のある基礎的な科学は公的な支援、一方応用を前提としたイノベーション創出は産業界の使命であるという認識が徹底している。 応用研究は研究者および企業が自らのイニシアティブで実施するボトムアップが原則で、政府からの戦略的な分野・領域は指定されない。基礎研究にしても研究者や研究機関の自由ならびに自己責任で決められる。前項のNFSでは大きな方向性は示されるが、研究テーマの選択は各研究者に委ねられている。

 スイスでは、企業に対する政府からの直接的な研究開発助成がないだけでなく、税額控除もない。それでもグローバルな企業がスイスに拠点を置き続けるのはなぜか。世界経済フォーラム(WEF17)のGlobal Competitiveness Index2015-2016によると、総合で1位、労働市場の効率、技術成熟度、ビジネス洗練度、教育システム、研究機関などの指標でいずれも1位である。また、国際経営開発研究所(IMD18)のWorld Competitiveness Scoreboard 2016では総合2位で、とくに評価が高い要素は政府の効率性(2位)、中でも制度的な枠組が1位となっている他、インフラストラクチャ3位で、内訳では科学的なインフラと健康と環境がいずれも4位で高評価である。これらの指標から見えるとおり、スイスは交通/輸送、治安、IT通信網、高等教育および高いスキルの労働力、規制緩和の進んだ市場などイノベーションを生む素地がよく整備されている。世界最先端の研究を行い優秀な人材を輩出する高等教育機関がスイスの強さの一つである。2章で見たように異なるレベルで必要に応じた人材を育成し、産業界の需要に応じて適切に高いスキルの人材供給する仕組みの運用を政府が努力して続けている。僅か800万人のスイス人だけでは最先端の研究やグローバル企業の要求レベルに合った人材を持続的に生み出すことができないことは明らかなため、研究者および大学の教員の外国人比率は増えている。魅力ある研究機関としての大学にするため、世界的に優秀な研究者をリクルーティングし、連邦工科大などでは博士課程の学生の5割以上が外国人留学生である状況になっている。

4.2唯一の例外:トップダウンのエネルギー研究

 2011年の福島第一原発事故を受け、スイス連邦参事会は原子力発電からの撤退を発案し、連邦議会により承認された。2050年までに脱原発を進め、再生可能エネルギーによる発電に移行すると表明していた。先日(2016年11月)の、国内5基の運転停止時期を2029年に早めることの是非を問うた国民投票では、反対多数で否決された。とはいえ、再生エネルギーへの転換は必須の路線であり、国内電力の40%を原子力に依存するスイスではエネルギー独立性の確保のためにも、同分野の研究推進は国の政策として取り組んでいく理由がある。ゆえに、スイスの研究開発はボトムアップの原則が徹底しているが、唯一の例外が連邦政府の計画«スイス共同エネルギー研究19»である。ETHグループは同戦略に対し、学術的な知識を蓄積すべく複数のコンソーシアムを組織している。連邦政府はETHグループ支援の他にも、エネルギー研究のための8つの研究センター(SCCER20)を設置した。このSCCER はエネルギー政策転換に伴う技術的、社会的、政治的な課題へのソリューションを探求ししている。連邦政府は2013年から2016年に合計7,200万CHFをSCCERに投資している。

図表4-1 助成中のSCCER(2016年現在)

図表4-1 助成中のSCCER(2016年現在)

4.3科学技術・イノベーションのインプット

4.3.1 研究開発費(総額PPP)

 研究開発費の総額(購買力平価)について、2013年のUNESCO21 統計で見てみると、スイスは133億ドルである。スイスはGDPが低いこともあり、主要国の中では総額としては非常に小さい額であった。

4.3.2 研究開発費の対GDP比

 主要国の研究開発費の対GDP比(%)について、2013年のUNESC22統計で見てみると、1位韓国は4.1%、日本は3.5%、スイスは3.0%などとなっている。ただしスイスの値は2012年のものを用いている。スイスは日本に次ぐ3%を実現しており、主要国の中では研究開発費の対GDP比は大きいほうだといえる。

4.3.3 研究開発費の対GDP比

 OECDの統計から2012年のスイスの総研究開発費(購買力平価)のセクター別による負担割合と使用割合、およびそのフローを示したのが次の図である。 研究開発費(負担)については、企業が82億ドル(61%)、政府が34億ドル(25%)、高等教育機関が1.6億ドル(1%)、民間非営利が1億ドル(1%)、海外が16 億ドル(12%)であった。研究開発費(使用)については、企業が94億ドル(69%)、政府が1億ドル(1%)、高等教育機関が38億ドル(28%)、民間非営利が2億ドル(2%)であった。

図表4-2 総研究開発費のセクター別負担・使用割合(2012年)単位100万CHF

図表4-2 総研究開発費のセクター別負担・使用割合(2012年)単位100万CHFF

BFSデータ(2014)をもとにCRDSが作成

4.3.4 研究者総数(FTE)

 研究者総数(FTE)について、2012年のUNESCO23統計で見てみると、スイスは3.6万人であった。スイスは人口が少ないこともあり主要国の中では研究者総数は少ないほうである。

4.3.5 人口100万人あたりの研究者数

 人口100万人あたりの研究者数について、2012年のUNESCO24統計で見てみると、スイスは4,481人であった。

4.3.6 研究者の組織別割合

 研究者の組織別割合について、2012年のUNESCO統計で見てみると、スイスは企業に所属する研究者の割合が50%を下回っており、企業に所属する研究者の割合は他の主要国と比べた際に、あまり多くないといえる。

 スイスでは、企業に所属する研究者と大学に所属する研究者の差は小さい。

図表4-3 研究者の組織別割合(%)(2012年)

図表4-3 研究者の組織別割合(%)(2012年)

出典:UNESCO25

4.4科学技術・イノベーションのアウトプット

4.4.1 論文数(総数)

 文部科学省科学技術・学術政策研究所がトムソンロイター社(現.Clarivate Analysis社)のデータを元に分析した「科学研究のベンチマーキング201526」によれば、2011年から2013年に発表された全分野における科学論文数におけるスイスのシェア2%で世界17位となっている。

4.4.2 論文数のシェア(総数)

 これを、10年ごとの経年変化で見たのが次表である。世界順位はそれほど大きな変化はないが、シェアは1990年代に増加したものの2000年代にはあまり変化がないことが分かる。

図表4-4 スイスの科学論文数の世界順位とシェアの変化

図表4-4 スイスの科学論文数の世界順位とシェアの変化

出典:文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学研究のベンチマーキング2015」

4.4.3 論文数(1%論文)

 上記の「科学研究のベンチマーキング2015」で、論文の質に関係するとされる引用度を考慮した順位を見たい。文部科学省科学技術・学術政策研究所がトムソンロイター社のデータを元に分析した「科学研究のベンチマーキング201527」によれば、2011年から2013年に発表された国地域別Top1%論文数におけるスイスのシェアは5.6%で日本(5.5%)を上回っている。

4.4.4 論文数のシェア(1%論文)

 これを、10年ごとの経年変化で見たのが次表である。世界順位はそれほど大きな変化はないが、シェアを増大させてきているのがわかる。

図表4-5 スイスの科学論文数の世界順位とシェアの変化

図表4-5 スイスの科学論文数の世界順位とシェアの変化

出典:文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学研究のベンチマーキング2015」

4.4.4 QSランキング

 イギリスの調査会社QS社は、毎年世界の大学の国際比較を実施しており、その結果を「World University Rankling」として公表している。最新版2015/16版28で400位以内に入ったスイスの大学は8校である。

 連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)が9位、同ローザンヌ校(EPFL)が14位と英国を除いた大陸欧州では最高位である。同時にETHZはドイツ語圏、EPFLはフランス語圏では世界第学ランキングいずれも1位となっている。他の総合大学も非常に高い評価で、200位までに10校ある総合大学のうち5校がランクインしている。QSランキングに対しては様々な見方があり、これをもってスイスの大学を総合的に評価することは難しいが、他の欧州諸国や日本と比べても高等教育のレベルは高いといえる。

図表4-6 大学ランキング(QS)におけるスイスの大学の位置

図表4-6 大学ランキング(QS)におけるスイスの大学の位置

4.4.6 ノーベル賞(1996年~2015年の20年間)

 Kurt Wüthrich29は2002年に化学賞を受賞している。1938年スイス生まれであり、受賞時の所属はチューリッヒ工科大学(スイス)とザ・スクリップス・リサーチ・インスティテュート(米国)であった。Rolf M. Zinkernagel30は1996年に医学・生理学賞を受賞している。1944年スイス生まれであり、受賞時の所属はチューリッヒ大学(スイス)であった。

4.4.7 特許出願数(国籍別)

 WIPO 統計31に基づき、2000年~2014年における主要国の特許出願件数の推移を示す。主要国それぞれについて、自国及び他国に出願した件数を合計したものが次のグラフである。全体として近年、中国の出願件数が急激に増加していることが特徴的であり、米国・日本の後に、韓国・ドイツが続いている。2014年、スイスの特許出願数(国内+海外)は4万4,417件であった。

図表4-7 主要国の特許出願件数の推移(2000年~2014年)

図表4-7 主要国の特許出願件数の推移(2000年~2014年)

出典:WIPO/Statistical Country Profiles

5. 研究開発にかかる施策・プログラム

 80年代にスイスでは、産業分野の選択と集中を行い7つから8つの産業クラスター拠点を形成して国際的にアピールすべきか否かが大議論となった。結果としてこれらは否定されクラスターは作られなかった。資源を集中するという方法は一見、効率が良さそうに見えるが、特定の技術や産業が既に流行を過ぎて斜陽モードに入ると立ち直るのに大きなエネルギーが要る。スイスの時計産業は国家政策ではなかったものの、かつては生産量、質共に世界一を誇っていた。しかし、日本やアジアの諸国が台頭し競争力を失って大問題になった。こうした反省を踏まえ、スイス(連邦)政府は、特定の産業に戦略的な投資、助成といった支援をせず、あくまで市場に任せる形で、産業発展のための環境整備に徹することにしている。

 この項では、イノベーション創出支援を行っているKTIと2015年に連邦政府がスタートしたイノベーション・パークプログラムについて記述する。

5.1技術イノベーション委員会(KTI)のプログラム

図表5-1 KTI支援の基本的な構成

図表5-1 KTI支援の基本的な構成

 KTIは年間約2億CHFを応用研究開発に助成しているが、これは総研究開発費の1%にあたる。スイスでは、国や州が特定の産業に助成することはなく、応用研究を含めた研究開発は企業の経営判断でなされるべき、という原則が徹底している。KTIはあくまでイノベーション環境を改善する役割に徹し、補助金として企業に直接助成することはない。KTIの助成プログラムは、唯一の例外を除いてボトムアップの原則で採択する。産学連携のプロジェクトの場合、大学にのみ資金を提供し、産業側は50%の資金負担(+インカインド)が義務となっている。ボトムアップ型支援の唯一の例外が、エネルギー分野へのファンディングで、これだけは政府がテーマを特定しトップダウンで助成している。

図表5-2 KTIの助成プログラム一覧

図表5-2 KTIの助成プログラム一覧

 産学連携プロジェクトは昨今、複数の大学と複数の企業のコンソーシアムになる場合が多い。応募にあたっては、企業側はKTIにビジネスプランを提出する。ここでは、①はたしてこのプロジェクトは収益につながるか、②市場へのインパクトがあるか、③コンソーシアムで行われる研究開発で企業が国際競争力をもてるか、が採択のポイントとなる。助成分野は、工学全般、マイクロ・ナノテクノロジー、ライフサイエンスの3分野と、実現技術(Enabling Technology)の4分野である。KTIが助成する機関は次のとおりで、産業界は中小企業が、アカデミアではFHが多い。

図表5-3 KTIの助成プログラム一覧

図表5-3 KTIの助成プログラム一覧

図表5-4 助成対象研究機関

図表5-4 助成対象研究機関

5.1.1 スタートアップ支援

 KTIは大学生と研究者を対象とした、アントレプレナー講座を開いている。いくつかのレベルに分けて、必要な情報を提供し、スタートアップに関心のある層の呼び起こしを行っている。さらに、この中から実際に起業することを決めた人たちに、コーチングという形で、知財、財務、海外進出のノウハウを教え、支援している。海外進出については、KTI Market Entry Campsという拠点が世界各地(ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドン、ケンブリッジ、オクスフォード、上海、バンガロール)にあり、現地でのパートナーマッチッングのサポートを実施している。ただし、この拠点を利用するようなスタートアップはごく僅かのトップ集団に限られる。スタートアップ支援もボトムアップであれば原則として技術分野に限らずどのセクターでも応募可能だが、研究からスピンアウトした事業であることが条件となっている。ただし助成の規模が小さいこともあって、成長するフェーズになった場合の支援に限りがあるという問題がある。米国のようなVCも欧州にはそれほど選択肢がない。そこで、経済局(SECO)とKTIは次のような議論をしている。スイスには個人が所得の中から一部を払い込み、公的年金に追加的に受け取れる積み立て年金基金(Pensionskasse)があるが、低金利政策の影響で利回りが悪く、現在は不動産を中心に投資を行っている。Pensionskasseは公的年金ではないものの、公的な性格が強いため、これを基金としてベンチャー支援を行えないかという検討である32。スタートアップは成長フェーズの資金調達で、複数のVCから資金を集めなければならないという問題に直面しており、解決策が早急に必要である。スイスのマーケット自体は大変小さいため、拡大フェーズはつまり海外進出ということになる。こうなるとまとまった資金が必要になりリスクも大きい。 実際の金融支援の枠組として、KTIと民間企業が出資するCTI Invest33が存在する。

図表5-5 KTIスタートアップ支援コース一覧

図表5-5 KTIスタートアップ支援コース一覧

5.1.2 中小企業支援

 WTT(Wissens-und Technologietransfer)-Supportという名称の技術移転を目的としたプログラムは中小企業向けで、元企業の研究開発部門長、省庁OBがイノベーション・メンターとなって中小企業に助成プログラムへの応募や研究開発のパートナー探しに対する助言をする仕組みである。スイスに限らず、EU全域には欧州レベル、連邦政府レベル、州レベル、場合によっては自治体レベルにそれぞれ助成プログラムや応募可能な複数の補助金があるが、多くの中小企業は情報リテラシーが低く、また調査する時間もない場合が多い。そこで、KTIでは大小さまざまな助成プログラムに精通した専門家を配して、中小企業を支援している。研究分野や業種別の専門家ではなく、地域毎に1メンターという形で配置されており、スイス全土で15人のメンターが活動中である。

図表5-6 WTTサポートプログラム

図表5-6 WTTサポートプログラ覧

5.1.3 テーマ別ネットワーク(NTN)

 連邦議会の任期(4年)毎に、30ほどのイノベーションテーマ候補の中から8つ程度を抽出して、優先的に研究開発を実施している。今期(2013-2016年)は以下の8つのテーマ・ネットワークが選ばれている。研究開発にはアカデミアと産業界の両方が参加することが前提となっている。例えば、Carbon Compositeには、現在10大学と80の企業が参加している。参加企業は協力大学の施設を使うことができたり、連携プロジェクトを立ち上げたりと活動している。日本の「地域クラスター」と比較できるかもしれないが、もう少しゆるいネットワーク的性格のものである。

  • Carbon Composite   Swiss Biotech
  • Swiss Photonics    Swiss Wood
  • Innovative Surface   Swiss Food
  • Inartis(Life Science) Network Logistics

5.1.4 5.1.4 専門大学(FH)支援

 FHでも(応用)研究がなされているFHと総合大学の棲み分け、とりわけFHが研究で果たす役割とその存在感が増していることもあり、実際、FHを卒業した学生と総合大学で博士課程を終えたばかりのポスドクでは、初任給はFHの方が上だとも言われている。ドイツでは技術移転というとフラウンホーファーの名が挙げられることも多いが、スイスでは1つの機関や組織がこの役割を担っている訳ではない。例えば、80年代にマイクロエレクトロニクス研究のために設立されたNeuchatelのCSEM(Centre Suisse d’Electronique et de Microtechnique)はミニフラウンホーファーともいえる組織である。しかし、フラウンホーファーのように産業界からの研究開発委託費が年間研究予算の40%~50%を占めている機関ではない。加えて、研究開発サービスを提供している公的機関はなく、こうしたサービスは既に多くの民間企業が提供している。

5.2イノベーション・パーク(Innovationspark Schweiz)34

 5箇所のイノベーション・パークを認定、産学連携研究開発を推進する拠点として2015年にスタートした。チューリヒ地区、アーレ川流域(PSI)、バーゼル地区、ビール地区、ローザンヌ地区。拠点として連邦政府が整備するのではなく、ラベルを付与して、民間企業を集積させる措置。特に、研究機関、大企業が同じサイト内にいることでスタートアップにとって魅力のある環境整備を目指している。

図表5-7 イノベーション・パーク 所在地

図表5-7 イノベーション・パーク 所在地

 総研究開発費の7割を民間が支出していることから、政府にはイノベーション環境の整備と、産業立地の支援を担うべきという声が大きくなっていた。2006年頃からいくつかの施策が試みられ、2012年の連邦研究イノベーション推進法(Bundesgesetz über die Förderung der Forschung und der Innovation: FIFG)改正を経て、連邦制を採るスイスの状況を鑑みた上で複数の拠点を認定することになった。当初、2校の連邦工科大学を中心としたチューリヒおよびローザンヌに「ナショナル・イノベーション・パーク(Nationaler Innovationspark)」の名称で設立されることとなったが、その後、ビール=ビエンヌ地域に1拠点追加された。2016年にはさらに2箇所が追加となり、現在5箇所のイノベーション・パークが運用されている。


 運営の体制は法人化したSwitzerland Innovation(理事長Ruedi Noser)が担っており、SBFIが助成している。それぞれの拠点の重点領域は次のとおり。

図表5-8 イノベーション・パーク 重点領域一覧

図表5-8 イノベーション・パーク 重点領域一覧

5.3SNSF・KTI合同ファンディングプログラム:ブリッジ(BRIDGE)

   BRIDGE

 運営の体制は法人化したSwiスイス国立科学財団(SNSF)とスイス連邦技術革新委員会(KTI)は、イノベーション創出を目的として、研究とイノベーション促進法(FIFG)第3条に基づいた合同プログラム「ブリッジ(BRIDGE)」を新規にスタートさせた。同プログラムは将来的に応用の潜在的可能性があるものの、未だ研究開発の余地がある新技術や、アイディアに対して助成を実施するもので、2つのサブプログラムから構成されている。

①プルーフオブコンセプト(Proof of Concept)

      助成対象は若手研究者(修士課程以上)で、独自のアイディアや発明を応用につなげるべく研究を続けたいと考えている者。期間は12ヶ月間で、一定の手続きを経れば6ヶ月の延長が認められる。研究は、連邦工科大、総合大、専門大および研究所に属して行うことが条件で、助成額は人件費と研究にかかる実費で、最高額13万CHF。加えて所属機関への間接経費(15%)が支払われる。分野は不問

②ディスカバリー(Discovery)

      助成は個人もしくは研究コンソーシアムに行うとされており、上記のプルーフオブコンセプトと比較するとより経験豊富な研究者を対象としている。基礎研究と応用研究をつなぎ、より確実にイノベーションにつなげていくことを目的に設定している。このスキームでは技術分野に特化してファンディングが行われ、助成期間が4年間ということだけが発表されている。

      2016年10月にプルーフオブコンセプトの公募が始まり、後者のディスカバリーは2017年初等の公募開始を予定している。これから始まるプログラムのため、未だ実績は不明。

6. EUの政策との関係

 スイスは地理的にヨーロッパ大陸の中央に位置し、EUの加盟国に囲まれている。それゆえEUおよびEU加盟国はスイスにとって非常に大切なパートナーであり、EUにとってもスイスは重要な通商相手である。しかしスイスはEUに加盟しておらず、原則として二国間の部門別協定に基づいてEU政策を決定している。1972年の自由貿易協定に始まりさまざまな協約が結ばれネットワークが構築されてきた。スイスの国民はこれらのバイラテラルな協定を複数の国民投票を経て支えてきた歴史がある。


 対EU政策の沿革

1972年
自由貿易協定 EFTA締結
1992年
EER(European Economic Area)加盟案の国民投票-否決
1999年
Bilateral Agreements I35人材流動性、公共調達などに関する二国間協定
2004年
Bilateral Agreements II36シェンゲン協定・ダブリン条約の承認、農産物、環境、教育に関する協定
2014年
大量移民制限案可決
2015年
連邦議会は外交官であるJacques de Wattevilleを担当に任命し、EUとの交渉を開始

6.1 EUのフレームワークプログラムへの参加

 スイスの研究者は1984年からプロジェクトベースでEUの同プログラムに参加している。同プログラムの目標はEU域内の共同研究の推進と産学間の連携強化にあって、EU加盟国および欧州経済領域(EEA)と欧州自由貿易連合(EFTA)に加盟する国々に参加を認めている。

 スイスは1999年の協定締結(2002年の施行)以降、「アソシエイト」国としてEUのEuratomプログラム、ITER37プロジェクト、Erasmus +とフレームワークプログラムへの参加を認められた。第6次フレームワークプログラム(FP6/2003-2006年)では、スイスに支払われた助成金(総額7億9,500万CHF)のうち25.5%を企業(14%が中小企業、11.5%が大企業)が受託し、プロジェクトベースでは約1/3を大学と企業が連携して実施した。その他、総額の34.1%をETHドメインの連邦工科大学と研究所、27.6%を大学が、残りを専門大学やNPOが受け取っている。フレームワークプログラムへの参加はスイスの民間企業の応用研究やイノベーション創出に寄与したと認識されており、非常にポジティブに受け止められている。参加企業のうち7割は、「フレームワークプログラムがなければ、同様のプロジェクトには参加しなかった」と回答している他、5割の企業が成果を新製品や新サービスにFP6へのスイス側の拠出は7億7,500万CHFで、1,900万CHFあまりのプラス収支となった。さらに7,500万CHFがスイス国内に拠点のあるCERN等の国際機関に拠出されており、スイスはEUのフレームワークプログラムからかなりの恩恵を受けているといえる。

 同様に第7次フレームワークプログラム(FP7)でも受託額は24億8,200万CHF、拠出額は22億6,300万CHFでスイスの収支はプラスになっている。企業への助成金は21.9%(中小企業へは12.9%)とFR6よりも若干減り、ETHドメイン39.2%、大学28%と大学および研究機関の資金が増えた。38

6.2 大量移民制限イニシアティブの行方

 2014年2月の国民投票で海外からの大量移民受け入れに上限を設けるというイニシアティブが可決され、即日憲法が改正された。この改正により、これまでEUとの二国間協定で人材流動性を保証してきたEUとEFTA加盟国の国籍保持者も制限することになった。これに対しEUは経済関係ではなく、学生交流プログラムErasmus +およびフレームワークプログラムHorizon2020に対しスイスの参加を中断する決定を直後に行った。その後連邦政府は公式・非公式にEUとの交渉を続ける一方、EUの制裁的な動きに対する対抗策を講じている。例えばEUの欧州研究会議(ERC)から受けていた研究助成金の代わりとなるスイス国立科学財団(SNSF)の奨学金を用意した他、2016年末まではHorizon2020に部分的に参加できるようにすることでEUと合意した。39

 改正された憲法121a条の施行(2017年2月9月)までに、内政面で新移民システムの整備と外交的には二国間で締結されている条約のうち違憲となりうるものを改正する必要がある。対EUでは、上述の合意の条件として、「ヒトの自由移動に関する協定」に対する解決策が見つかり、新規EU加盟国であるクロアチアにスイスへの移民の自由を保障する場合に限ると明記されているため、現在連邦政府はなんとかソフトランディングの道を賢明に探している。しかし、6月の英国のEU離脱案可決(BREXIT)によってEUが態度を硬化させており、先行きは不透明である。最悪のシナリオはEUとの交渉が決裂し、以前のような「アソシエイト」の立場を失って第三国の扱いになればフレームワークプログラムでは拠出はないもののいかなるステータスも持たずあくまで1参加国としての関与になる。

7. EUの政策との関係

 スイスはドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインと国境を接している。隣国ドイツとの関係は深く、スイス国民の2/3がドイツ語を母語としているように文化的、経済的に関わりが深い。スイスの国民経済を支えるのが化学、機械産業であることはドイツの産業構造に似ており、また座学と実践を並列して教える教育制度(デュアル・システム)もドイツの制度に近い。

7.1 日本との関係

 2007年に署名された日・スイス科学技術協力協定の下で、日・スイスの共同研究は促進されてきた。現行の二国間プログラムにおいて重要なツールの一つが、スイス側、日本側交互開催しているナノサイエンス・エネルギー研究分野のワークショップである。2016年、JSTはスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)、スイス連邦材料試験研究所(Empa)と協力し3月にスイスのデューベンドルフ、10月に東京で二国間ワークショップを開催した。これまでJSTでは、戦略的国際科学技術協力推進事業(SICP)の枠組みの中、ライフサイエンス分野でETHZと共同公募を行い、両国の国際研究交流を支援してきた。今後は、二国間で相乗効果が見込める新たな研究分野の探索と両国のさらなる研究交流の促進を目的とし、戦略的国際共同研究プログラム(SICORP) の枠組みで公募を予定している。

 また、イノベーション分野における接点も最近強化されてきた。2013年に技術革新委員会(CTI)と文部科学省(MEXT)がシュピーツにおいて開催したシンポジウムにおいて、イノベーション分野における協力の促進に向けた取り決めが署名された 。40

7.2 7.2 諸外国との関係

7.2.1 ドイツとの関係

 1855年にPolytechnikum”という名で開校したスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は、国家の近代化、工業化に資する技術者、研究者を育成することを目的としていた。実情は、アルプスを通過するゴッタールト・トンネル掘削のためのエンジニアが不足していたため、ドイツから優秀なエンジニアを確保し、当時エンジニアリング分野で世界最先端の技術を有していたドイツ人にスイス人技術者の育成を委ねていた41。現在(2015年)、ETHZの教授のうち66%が外国籍で、うち45%がドイツ国籍者である 。42

 スイスには医学部のある大学はベルンを含め5大学(チューリヒ、ローザンヌ、ジュネーブ、バーゼル)。現状はスイスの病院で働く医学博士の40-45%が外国籍(うちほとんどはドイツ国籍、東欧諸国も増えている)となっている。多くは出身国で博士号を取得し、労働条件のよいスイスで就労している。

7.2.2 ドイツとの関係

 米国に本社を置くIBMは米国以外では初の研究開発拠点をチューリヒに置いた(1962年)。IBMチューリヒセンターは、1986年にビーニッヒとローラーが走査型トンネル顕微鏡の発明でノーベル物理学賞を、翌年ベドノルツとミュラーも高温超伝導の発見のために同じく物理学賞を受賞するなど、高いレベルの研究で知られる。他にも、グーグルは米国外のオフィスとしては最大のエンジニアリング拠点をスイスに置いており、2016年、チューリッヒオフィスに機械学習(Machine Learning)専門研究チームを設立し、人工知能、自然言語理解、機械知覚などの研究に取り組むことを発表した。スイスの多くの州では法人税率と所得税率が極めて低い。法人税は州によって大きく違うが、12~24%であり、他の欧州諸国に比較して低いといえる。これはグローバル企業を引きつける重要な要素ではあるが、チューリヒは21.17%であり、決定的な理由ではない。むしろ世界レベルの連邦工科大学を有し優秀な人材を供給できるチューリヒという立地がものを言っている。

 日本企業もサンスター株式会社が2002年にグローバル本社をスイス(ローザンヌ)に設立、その後日本で上場(大商1部)を廃して2007年にSunStar SAを持ち株会社、 SunStar Suisse SAを事業会社としてスイスに拠点を移した。同社はオーラルケア企業としてのブランド確立とビジネスの国際化に伴う優秀な人材の確保という観点からスイスの拠点化を進めたということである 。43

8. 科学技術上のトピックス

 産学連携、大学間連携、産々連携など研究開発のネットワークが機能しているスイスにおいて、昨今の新しい動きとして個人が設立した基金で大学から産業への知識・技術移転を行う組織がいくつか生まれている。ジュネーブのCampus Biotechに2013年におかれたWyss Center44では、ジュネーブ大およびEPFLの世界最先端の脳神経領域の知見と工学分野のノウハウを統合して、5年以内に臨床への応用を目指して研究開発を推進している。 基金創設者のHansjörg Wyss氏はベルン生まれのエンジニアで、医療用デバイス、人口股関節を留める医療用ボルトの開発を始めとした複数の特許で財を成した。現在は米国に在住し、個人の資産で世界に3つのセンターを設立している。ハーバード大にあるセンターでは創薬・分子生物学研究、ETHZはトランスレーショナル医療、ジュネーブのCampus Biotechは脳神経工学研究を実施、これまでスイスが得意としている創薬における産学連携だけではなく、医療と工学を融合させて新しい産業に結びつけるという野心的な取組で3-5年以内に市場化を目指している。スイスでは基礎研究も営利志向(Profit Oriented)であり、個人の寄付を元にした基金で研究を行う米国型をベースに、産業化の可能性がある分野を見極めて戦略的に研究開発を実施する仕組みである。

 センター長は米国出身のDr. John Donoghue(ブラウン大教授)で、ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)研究で実績がある人物である。副所長には、同じく米国から、DARPAでPOの経歴があるDr. Tracy Laabsが就任している。実際のプロジェクト運営には、経営、財務、知財、翻訳、各分野の専門スタッフがプロジェクト毎に組織されて動員される。技術的なサポートにはWISE(Wyss Internal Special Experts)Teamを作り、技術と治験に関する規制など研究開発の部分をコンサルティングしており、メンバーも大学の研究者と企業の同領域専門家の両方から成る。具体例として、ジュネーブ大学のAnne-Lise Giraud教授のプロジェクトを上げる。学習障害の一種で、難読症(Dislexia)といわれる疾病の原因となる脳機能障害を突き止めた同教授の研究を、Wyss Centerのチームが運動機能回復、脳へのデバイス埋め込み、投薬など多角的アプローチから検討し、機能障害克服へ向けたソリューションをトップ研究者の知識を結集して解決していく取り組みである。現在は脳にチップを埋め込む方向で検討されているが、未だ基礎研究のレベルにあるため、一般企業では迅速な産業化は難しいとされている。そこで市場化一歩手前のステージを支援するのがWyss Center.の役割として支援いる。Giraud教授は工学や臨床治験の知識がないが、Wyss Centerの専門家チームがサポートすることで、医療分野の脳神経学と工学分野が融合する新しい試みとして期待されている。

 Wyss氏個人のファンドから6年で1億CHFの寄付があり、これが資金となっている。今後は、スタートアップ支援で得るライセンシングや、コンサルティング料、さらには投資した案件の株式所有によって配当を受けられる見込みである。2016年末現在、進行中のプロジェクトは18件である。

Campus Biotech

Campus Biotech

© 在京スイス大使館

おわりに

 人口僅か800万人余りで、肥沃な土地も資源ももたない小国がなぜ何年にもわたって複数の国際競争力ランキング上位に居続けられるのか。解を整理すると、(1) 大学、研究機関、企業が自己決定に基づく研究イノベーションの推進を徹底していること。イノベーションの創出には、自由な競争、イノベーションプロセスに責任を持つこと、成果を生むために必要な措置を取ることである。担い手はスイス人に限らず、世界中から集められ、大学の研究は25%が、企業の研究者の4割が外国籍である。次に(2)社会の変化に素早く対応する社会の柔軟性があること。世界的に高学歴化の流れがある中で、いまでも職業訓練をベースにした「デュアルシステム」が浸透しているスイスは、一見、非常に保守的な社会であるという印象だが、実際は教育のカリキュラムが2-3年で見直しがなされ、社会の需要に応じた授業が行われている。さらに、大学でも古き良き伝統が残る一方で、ICT教育の推進や学部の撤廃(ETHZ)、領域横断的な学科設立(EPFL)など、新しい独自の措置が積極的に実施されており、これらが社会のダイナミズムにつながっていると考えられる。とりわけ(3)連邦制度、直接民主主義制度を背景に、各州や地方自治体が推進する産学連携、地域のクラスター、研究コンソーシアム等、数々のネットワークが機能し、研究開発イノベーションの主要なアクターが、それぞれの役割を十分に果たし、共に成果を生むという素地ができているといえることである。

図表0-1 研究の担い手

図表0-1 研究の担い手

 スイスには基礎研究から市場までをつなぐ研究開発が一貫して存在し、グローバル企業と小企業のどちらにも連携するパートナーが存在している。グローバル企業とEHTZ/EPFLおよび総合大学との連携戦略に関しては、政府は直接的な関与をしていない。一方、中規模(250人未満)、小規模(50人未満)企業と高等教育機関の共同研究や委託研究は大企業に比べると数的には少ない。むしろ共同開発のパートナーは主に企業で、高等教育機関を外部パートナーとしているのは中企業が16%、小企業が14%にとどまっている45。そこで連邦政府が実施しているのが、技術イノベーション委員会(KTI)の各種プログラムである(5章参照)。さらに、州や自治体レベルでの同様の施策も複数存在する。例えば、チューリヒの西30kmにあるアールガウ州のイノベーション政策は、次の4本の柱から成っている。

    (1)州内にあるPSI(Villingen)における基礎研究の成果を産業へつなげること
    PSIの自由電子レーザーSwissFELの新設に州も拠出している。

    (2)廃業に伴う空地などを利用し産業団地、サイエンスパークを整備してハイテクを企業誘致

    (3)産学連携の枠組みによる応用研究への助成の実施。連邦政府のKTIプログラムと同様、大学側へ100%助成、企業側は同額以上のマッチングファンド。KTIは30万~50万CHFのファンドだが、同額以上を用意するのは一部のKMU には厳しい場合がある。そこでAargau州のファンドは10万CHFに設定されている。

    (4)ハイテクセンター・アールガウの設立(Hightech Zentrum Aargau)46


 ハイテクセンター・アールガウ(2013年3月開設、100%州が出資)の産業支援は、KTIのメンタープログラムに似て、州内(人口70万人規模)を14人の専門家がスタートアップや新技術の産業化支援を行っている。加えてアールウ州Bruggにある州立専門大学(北西スイス専門大学:FHNW)は前身の技術専門学校(Technikum)時代から州内のABB、Alstromや隣州バーゼルのRoche、Novartisや地元の中小企業に高いスキルの優秀な専門労働者を供給し続けてきた。現在は単なる人材源としてではなく、地元企業の研究開発パートナーとしての存在感を徐々に増し、連邦政府のKTIプログラム、自治体レベルの施策等、複層的なプログラムによってイノベーション政策が実施されている。

ジュネーブの町からみたレマン湖

ジュネーブの町からみたレマン湖

© 在京スイス大使館

 国家の規模や制度があまりに違うため日本の政策への示唆は多くない。しかし、積極的に国際化し人材育成、人材登用を行う仕組みと世界中から優秀な研究者、労働者を集め続ける努力はわが国にとっても学ぶことが多いのではないだろうか。

9. 参考資料

  • 1 スイス連邦統計庁www.bfs.admin.ch/
  • 2 UN, National Accounts Main Aggregates Database2015
  • 3 2016年10月現在の失業率は3.2% /www.seco.admin.ch/
  • 4 Agriculture, value added (% of GDP)を第1次産業、Industry, value added (% of GDP)を第2次産業、Services, etc, value added (% of GDP)を第3次産業としている。
  • 5 http://beta.fortune.com/global500/list/filtered?hqcountry=Switzerland 収益:Revenues($M)
  • 6 OECD: Bildung auf einen Blick2014
  • 7 QS: www.topuniversities.com/ THE: www.timeshighereducation.com/
  • 8 https://www.admin.ch/opc/de/classified-compilation/20070429/index.html
  • 9 原山優子 スイスにおける技術移転の現状2001
  • 10 Binnig and Rohrer Nanotechnology Center(BRNC)はIBMチューリヒセンター内に2011年設立されたジョイントラボ。共同研究や独自の研究を行え、10年間のリース契約をIBMと結んでいる。
  • 11 2016年5月 ETHZでの担当者インタビューによる。
  • 12 ドイツにはドイツの政治制度を学ぶコース、フランスにはフランスの社会を学問の対象にしたコースがあるが、スイスは規模が小さすぎて学問にならない。そこで政治学総論のような科目は英語で授業を行うようになってきている。(2016年5月ベルン大でのインタビューによる)
  • 13 www.switt.ch
  • 14 OECD Education at a Glance 2016
  • 15 15歳から職業訓練学校に進めば、普通科へ進学した人が大学に入るまでの5年間さらに大学在学中から就職するまでのほぼ10年間分(120ヶ月)の給与を先に受け取っていると云うことになる。当然大卒者あるいは博士号取得者の給与所得の方が多いが、もらえる期間がそれだけ少ないため最終的な差は大きくない。但し、同じく15歳から仕事をする場合は職業によって給与に差はある。たとえば建設現場で単純な作業をする場合と、銀行での複雑な業務をする場合では大きく給与が違う。
  • 16 KITについては第5章で詳述
  • 17 www.weforum.org
  • 18 www.imd.org
  • 19 Coordinated Energy Research Switzerland www.ccem.ch/
  • 20 Swiss Competence Centers for Energy Research
  • 21 スイスは2012年のデータを使用。購買力平価(GERD in ‘000 current PPP$)による比較。
  • 22 GERD as a percentage of GDPによる比較。スイスは2012年のデータである。
  • 23 Researcher (FTE: Full-time equivalence)による比較。
  • 24 Researchers per million inhabitants (FTE)による比較。
  • 25 Researchers(FTE) Business enterprise(%) Government(%) Higher Education(%)による比較。
  • 26 整数カウントでの値を示している。整数カウントとは、国単位での関与の有無の集計する方法であり、例えば、日本のA大学、B大学、米国のC大学の共著論文の場合、日本1件、米国1件とカウントする方法である。
  • 27 Top1%補正論文数で見ている。「科学研究のベンチマーキング2015」によれば、Top1%論文数のシェアだけでなく、論文数自体の時系列変化を見る必要が生じてきたため、全論文数の1/100の件数になるように補正済み。
  • 28 米国、英国、ドイツ、オーストラリア、フランス、カナダ、中国、日本、オランダ、台湾、韓国、スイス、イタリア、ロシアにのみ注目し集計しており、全ての国を集計したわけではない。
  • 29 www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2002/wuthrich-facts.html
  • 30 www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/1996/zinkernagel-facts.html
  • 31 www.wipo.int/ipstats/en/statistics/country_profile/
  • 32自国及び他国に出願した件数を合計したものである。
  • 33 2016年5月KTIでのインタビューによる。
  • 34 www.cti-invest.ch/
  • 35 www.switzerland-innovation.com/
  • 36 www.eda.admin.ch/dea/en/home/europapolitik/ueberblick/bilaterale-1.html
  • 37 www.eda.admin.ch/dea/en/home/europapolitik/ueberblick/bilaterale-2.html
  • 38 国際協力によって核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設
  • 39 スイス連邦議会www.admin.ch/gov/de/start.html
  • 40 一連の経緯は「スイスのイノベーション力の秘密 競争力世界一の国に学ぶ」江藤 学/岩井晴美著に詳しい
  • 41 www.mofa.go.jp/
  • 42「スイスのイノベーション力の秘密 競争力世界一の国に学ぶ」江藤 学/岩井晴美著
  • 43 www.ethz.ch/
  • 44 2016年9月20日SanStar SAにおけるインタビュー
  • 45 www.wysscenter.ch/
  • 46 Forschung und Innovation inder Schweiz 2016
  • 47 www.hightechzentrum.ch/