2018年1月
(ワークショップ報告書)俯瞰ワークショップ報告書 未来のエネルギー社会のビジョン検討(第二回)/CRDS-FY2017-WR-07
エグゼクティブサマリー

 既存の概念を超えた変化が予想される2050年以降の科学技術を検討するためには、社会の姿をいかに具体的に洞察できるかが鍵になる。こうした観点から、未来のエネルギー社会のイメージおよびその社会で発生するニーズや脅威に対処する科学技術について議論するためのワークショップを企画・開催した。前回ワークショップ(2016年10月および11月実施)では自由討議形式をとったが、参加者間の意見の共有・統合の点で改善を図るため、今回はホライズン・スキャニング手法(スキャニング手法)を用いた議論進行とした。エネルギー分野に関連する学会所属の若手研究者に加え、人文・社会科学系の研究者等にも参加を募り、分野の枠を超えた議論を行う場となるよう設計した。

 一連の議論から浮かび上がってきた将来のエネルギー社会のイメージは次の通りである。まず2050年より早期に、時間や場所などの物理的制約や、社会的役割や規範などの制約に影響を受けない多様なニーズを尊重する「個」が出現し、これらの「個」の価値観や行動様式・選択により社会システムが変容する。2050年までには国際間紛争や地球温暖化などの人類の存続に関わる脅威への危機感が増す。さらに遠い未来には国の壁を越えた研究開発の連携が進む。

 こうした社会において必要とされるエネルギー関連の科学技術テーマとしては、利便性と環境負荷低減などの相反する課題解決のための技術や、エネルギーの使い手と作り手の境界や電力・交通などの境界の消失に伴う新社会システム運用技術などが提示された。また、技術開発の影の側面が人間に与える影響も挙げられ、それらへの対応としてサイバーセキュリティ技術の構築や環境配慮型社会システムへの移行の加速にも言及があった。その他、社会制度設計や社会的受容性、科学技術への過度の依存からの脱却などについても幅広い議論が行われた。科学技術に関わる専門家の社会的責任の観点から、国際的なルール作りの必要性を指摘する意見もあった。

 本ワークショップを通じて得られた未来のエネルギー社会のイメージや科学技術テーマについては、今後の活動の参考として実施可能性等を踏まえつつ、継続的に深耕と検討を進めていきたい。

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