2017年6月
(ワークショップ報告書)科学技術未来戦略ワークショップ報告書 未来エネルギーネットワークと需要科学 ~2050年超の一般家庭でのエネルギー需要構造の変革時代到来に向けて~/CRDS-FY2017-WR-02
エグゼクティブサマリー

 「未来エネルギーネットワークと需要科学」ワークショップでは、2050 年時点において一般家庭に太陽光発電(PV)等のエネルギー機器が大量導入されることで、電力システムの需給構造に大きな変化をもたらすことを前提としている。その上でその構造変化による課題を設定し、今後必要となる研究開発やその推進方法等についての議論を行った。
 この報告書では、①従前の計画的・集中的な系統運用は、複雑化する低圧配電系内の需給管理に必ずしも適していないのではないか、②需要家で消費と供給が混在し、エネルギー需要構造が複雑化し、このためエネルギー利用実態が不明になり、施策化が困難になるのではないか、の2 点の課題を設定し、それに対応するための研究開発の内容や推進方法等を整理している。
 上記の二つの課題の内、前者については、低圧配電系ネットワーク〜需要家において、より自由で自律的な電力融通、かつ系統側との連携協調などが容易となる、仕組みも含めた技術・システムの研究開発として、以下の項目に関する研究開発の提案があった。

  • 電力の自律分散型システムとICT による電力潮流制御技術
  • 家庭内の電力制御システム
  • ネットワークや家庭内のパワエレ機器や材料開発
  • 低圧配電系内の市場メカニズム/ 電子取引の仕組みや方法
  • 電力市場の制度設計のための評価用モデル

また、後者については、需要家のエネルギー需要構造の複雑化に対応した研究として、以下の項目に関する研究開発の提案があった。

  • エネルギー需要のモデル化(ボトムアップ型)、そのための計測、分析
  • エネルギー利用(供給・消費)に関わる行動経済学を用いた研究

全体を通して、推進方法やその他の主な意見は以下の通り。

  • 新しい社会制度をつくる場合に、オープンデータやオープンモデルは重要。そのビジネスチャンスを生かすために次のステップの開発を見通せるデータとモデルがあると、それだけでも広がる可能性はある。
  • 現在無いものを評価にするには、ミニチュアであっても実証実験が必要。
  • 2050 年に向けては海外に我々のつくった技術を売り、それが我々に返ってくるという視点で考えるべき。
  • アカデミアの先を見る想像力、発想力により、それをデモや実験でデータとして示していくべき。またシステムが本当に社会に対して有用かという警鐘を鳴らすのはアカデミアの役割であり、研究の必要性でもある。
  • 社会的弱者への対応は課題。行政等が弱者を助ける仕組みが必要。

今回のワークショップで得られた結果を踏まえて、関連した研究開発領域・その研究体制など、国として推進すべき研究開発課題を整理し、戦略提言につなげる予定である。

PDFダウンロード

関連報告書