2006年12月
(ワークショップ報告書)「元素戦略」検討会報告書/CRDS-FY2006-WR-05
エグゼクティブサマリー

元素戦略とは、「元素」に焦点を当て、「サイエンス」に基づいて、新たな物質材料科学の基盤を築く戦略である。元素の持つ機能を深く理解し利用することにより、希少元素・規制元素の使用量の極限までの少量化や、豊富で無害な元素による目的機能の代替、種々の元素が発揮するこれまでにない新機能の探索等を行い、特定の元素に依存せずに材料の担う様々な機能を実現することを目的とする。機能の素単位に立ち返り、材料の機能を構築していくことを中心としており、これまで行われてきた経験的な元素利用も含むが、むしろ新しい研究開発手法のパラダイムを創出すること、及び、それによりイノベーションを創出することを意図する。元素戦略の構成として、「減量戦略」、「代替戦略」、「循環戦略」、「規制戦略」の4つが考えられる。JST研究開発戦略センターでは、「元素戦略」のコンセプトの形成に数年前より取り組んでいる。平成16年4月に行われた「科学技術未来戦略ワークショップ(夢の材料の実現へ)」で、コーディネーターの玉尾皓平名誉教授(当時は京大化研教授・現在は理研フロンティア研究システム長)のもとで、中村栄一教授(東大理)らにより「元素戦略」の言葉と基本的なコンセプトが案出された。その後の「分野融合戦略ワークショップ(平成17年6月)」では元素戦略の具体例の議論や汎用元素の戦略的利用に関する議論が、同じく中村栄一教授らにより行われた。「ナノテク・材料分野トップ有識者会合(平成17年7月)」においては、元素戦略の重要性を再確認し、JST研究開発戦略センターが作成したナノテクノロジー・材料分野の俯瞰図上への位置づけがなされた。さらに、「新材料統合設計探索ワークショップ(平成17年11月)」の中で、元素戦略も含めて議論がなされ、現代の錬金術やユビキタス元素戦略(汎用元素から新機能を見いだす元素の戦略的利用)等に関して、細野秀雄教授(東工大)らによって検討がなされた。これらの議論をうけて、この「元素戦略」検討会を行った。現代の多くの科学技術が問題解決型であり、社会からの求めに応じて解を提供する活動が目的指向として尊重されているが、一方、新しい科学技術の世界を創出することを視野に入れた活動も極めて重要であることが、本検討会で示された。

PDFダウンロード

関連報告書