2015年12月
(調査報告書)分野別の科学技術イノベーション政策の俯瞰の試み/CRDS-FY2015-RR-05
エグゼクティブサマリー

我が国では、少子高齢化、環境・エネルギー問題等の社会的課題解決に向けて、科学技術イノベーション(STI)への期待はますます高まっている。一方、厳しい財政状況から公的研究資金の総額は停滞しており、今後、その拡大を望むことは難しい状況であるといえる。こうした限られた公的研究資金の中で、重要な分野や効果的な施策に重点的に資金を配分していくための政策が求められているといえる。

これまで、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)では研究開発戦略立案のための基礎資料の一つとして、各研究開発分野の俯瞰報告書を定期的にまとめている。これら俯瞰報告書は、各研究開発分野の研究開発の現状に関する全体像を整理し、主要な研究開発領域を把握するとともに研究開発の方向性などを提示したものである。しかし、効果的な研究開発戦略及びSTI政策の立案には、そうした研究開発の現状等に関する情報に加えて、STI政策の現状を理解しておくことが不可欠であると考えられる。

このような観点から、CRDSではSTI政策の俯瞰に取り組んでおり、STI政策の全体をA)科学技術イノベーション推進基盤(体制・システム等)とB)個別分野(ライフサイエンス分野、環境・エネルギー分野等)の二つに大別して政策の俯瞰を試みている。このうち、STIの体制整備やシステム改革に資するA)STI推進基盤政策については、2015年2月に中間報告書として取りまとめている。
一方、STI政策を構成するB)個別分野(ライフサイエンス分野、環境・エネルギー分野、等)を対象に政策の俯瞰も試みている。今回、2013年度の分野別の政策について試行的に調査したので、本報告書にその結果を取りまとめた。環境・エネルギー、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、情報科学技術分野に関する、①戦略・政策、②施策、③制度・事業、④研究開発課題から構成されるSTI政策の全体像把握の取組の流れを示すことを基本方針として、各分野の戦略・政策、施策及び制度・事業(2013年度)を把握し、分野の領域(10-30程度)に基づいてこれらを整理した。

こうした取組は、推進すべき政策の抽出や政策連携を検討する際の基礎データになると考えている。更に現在、我が国の研究開発の評価は、その構成要素であるプログラム評価を踏まえて実施することとされており、本報告書の俯瞰の試みは、こうした研究開発評価の取組にも資すると考えられる。

なお、こうした分野の政策俯瞰の取組は初めての試みであり、データ収集の困難さ等から対応が不十分なところもあると思われる。しかし、分野別のSTI政策の俯瞰及びその作業プロセスを示すことは、今後、関係者によるSTI政策の俯瞰や予算措置の動向把握に向けた取組の推進力になると考えている。

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